女子体操・宮川選手が暴露会見――パワハラはコーチじゃなくて協会っていう衝撃

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女子体操の宮川紗江選手が、速見佑斗コーチからパワハラを受けて懲戒処分になった問題で、自ら記者会見を行った。そこであらためて速見氏からのパワハラを否定し、処分の軽減を求める一方で、体操協会の強化本部長からのパワハラを逆告発した。

コーチじゃなく協会からのパワハラ

しかし「またか」っていう、レスリング・ボクシングなどこのところデフォルト化しているアマチュアスポーツ組織のパワハラは、もはや“山羊座冥王星時代の風物詩”となりつつある。

宮川選手によると、パワハラはコーチじゃなくて実は協会幹部からっていう、ある意味衝撃的な暴露になってきた。速見コーチからは1年以上前に手で叩かれたり髪の毛を引っ張ったりというのがあったことは認めたが、それは本人にとってパワハラではなく、怪我の危険があるときや、気が抜けた練習をしていた時に限っていたという。

 「(速見氏に)暴力の話が出ている。あのコーチはダメ。だからあなたは伸びない。私なら速見の100倍教えられる」と詰問された宮川は、暴力行為の証言を求められたが拒否。「先生を家族も信頼して一緒にやっていく」と答えると、「家族でどうかしている、宗教みたいだと高圧的に言われた。家族もコーチも否定され、おかしくなってしまいそうだった」と明かした。

体操女子・宮川、協会からパワハラ受けた 18歳「勇気」の主張/スポニチアネックス

そもそも「100倍教えられる」っていう「100」が何基準なのかよくわからないんだけど。時間なのか何かの数値なのか。いずれにしても彼女が受けたパワハラは、速見コーチからではなく、協会の幹部からだったという。少し前にここでこの問題について書いたけど、その時すでに組織の怪しさを指摘していたが、やっぱり出てきたかという感じだ。

余談だけど、この会見で明らかになったことによると、協会が速見コーチ本人に事情聴取するときに、協会は弁護士の同席を断ったという――むしろそっちの方が宗教っぽくね笑?

この問題の裏の筋書き

でこの会見でいろいろと衝撃証言が出てくる中で、どうやらこれは、宮川選手と速見コーチとの師弟リレーションシップを引き剥がした上で、宮川選手を自分のクラブに引き抜こうとしている筋書きが見えてきてしまった――「朝日生命体操クラブ」の所属選手として。ちなみに宮川選手はこれまで「セインツ体操クラブ」の所属だ。

 その5日後に今度は、塚原女子強化本部長の付き人から「朝日生命の寮が1つ空いているから使ってもいいのよ」「朝日生命も近いし(塚原)本部長もいる」と、優しい口調で朝日生命への移籍を薦められ、専任コーチの電話番号を伝えられたという。それでも宮川選手は、「私の心はまったく動かされませんでした」と無視を決め込んだ。

体操女子・宮川選手18歳衝撃告発で見えてきた不可解なコーチ暴力処分の陰謀/THE PAGE

これに関して1988ソウル五輪・1992年バルセロナ五輪体操メダリストの池谷幸雄氏が

「自分のクラブから代表選手が出ることの価値ですよね。それがどれくらいすごいことか皆さんも分かると思う。自分のクラブから出場する選手を多く作りたかったのではないかと思います」
と推測。自身の体操クラブに小学校時代から所属する教え子で、17年世界選手権の金メダリスト・村上茉愛選手(22)も引き抜かれそうになったとし、

「勧誘されているということは、うちの村上茉愛もありましたから、そういう部分はあるというのはちらほら聞きますよね」

体操「引き抜き」疑惑に「うちの村上茉愛も」 池谷氏が明かす/J-CASTニュース

と、引き抜きが村上茉愛選手にまで及んでいたことを告白している。これって常套手段なんだね。

女帝?――体操協会・女子強化本部長

ここで名前が出てきた本件の筋書きのキーパーソンと言うか、今回初めて名前が明らかになった人物――協会の塚原千恵子・女子強化本部長というのが上掲記事「100倍」発言の人物と思われ、「朝日生命体操クラブ・女子チーム監督」という、もう一つの肩書を持つ人物である。さらに加えると「塚原体操センター副校長」という肩書も併せ持つ。
wikipedia/塚原千恵子

 塚原本部長に対し、最初に恐怖を感じたのは2年前の冬。日本協会の「2020東京五輪特別強化選手」制度がスタートしたが、強化方針が具体的でないという理由で宮川は名を連ねず。すると16年12月19日、同強化本部長から宮川の自宅に電話があり、「2020に申し込みをしないと協会として協力できなくなる。五輪にも出られなくなるわよ」と言われた。脅迫に近い内容のため、コーチや家族と相談し、日付と内容をメモした

体操女子・宮川、協会からパワハラ受けた 18歳「勇気」の主張/スポニチアネックス

これを読んで「あーまた出ちゃったよ暴走の2016年」とか思っちゃったんだけど笑。これってもう、この人か関連組織のホロスコープに柔軟サインがあるってことじゃない――もちろんビンゴだけど笑。

この2020東京五輪特別強化選手の強制に対して宮川選手は

「頭が真っ白になった。従わねばならないのかなとも思った」と言うが、「これに参加すれば、速見コーチと引き離され、2020のコーチに教えられて朝日生命に入れられる」という不信感が募ったため、そのパワハラ発言に屈することはしなかったが、その“反抗”が塚原女子強化本部長の逆鱗に触れた。

 宮川選手は、NTCの使用を制限され海外派遣を見送られた。

体操女子・宮川選手18歳衝撃告発で見えてきた不可解なコーチ暴力処分の陰謀/THE PAGE

ともかく、オリンピック出場を引き合いに出すのは権力の横暴であり卑怯だ。目指している選手にとって選択肢を与えないことになるし、真の実力勝負というフェア精神が損なわれる。

もうね、協会幹部と同スポーツの民間組織との兼任は禁止した方がいい。利権固持・権力誇示っていうコジコジにつながる元凶でしかない。

以前にも問題になった人物

ちなみに1984ロサンゼルス五輪で10点満点を出して金メダルを獲得した森末慎二氏が、過去に塚本智恵子氏の問題を告白した。

 事件は、1991年の全日本体操選手権で千恵子氏を中心とする審判団の採点法に不満が爆発し出場選手中91人中55人が大会をボイコットした。これによって当時強化部長だった千恵子氏が辞任した

森末慎二氏、27年前の女子体操ボイコット事件を告白…「全部上が朝日生命の選手になった」/スポーツ報知

これってレスリング、ボクシングと同じパターンだよね。自分の息がかかった選手に有利な処遇をするっていう。その裏には、将来の自分の地位保全も見えたりするわけだし。

今アマチュアスポーツ組織ばかりに起こる問題の要因

で今、なぜアマスポーツ関連ばかりにこういう事が立て続けに起こっているかと言うと、山羊座冥王星ってのがまず前提にあるのはもちろんだけど、その上でやっぱり「2020年東京五輪」があるからだろう。

オリンピックビジネスは国・行政・メディア・スポンサー・広告業界などが絡んで、とかく莫大な金が動くわけで、つまりどこのアマスポ組織も、またその幹部も、自国開催というこんなにビッグなビジネスチャンスは二度とない、って鼻息荒くなっているからね。

そもそも元来はアマチュアスポーツの祭典だったオリンピックが、1974年にアマ限定を撤廃し、その結果こんなにも商業主義になったのは、1988年ロサンゼルス五輪からのことだ。それから各地の招致合戦が激化した。

そんな大人のビジネスの世界に、高尚なアマチュアスポーツ精神みたいなのは吹き飛んでしまうんだろう。利権やそれを目論んでの派閥の覇権争いとか・・・もうね、そもそものオリンピックの主旨から完全に逸脱して、魑魅魍魎の世界。

もちろん金もだけど、それに伴い指導者や組織にとっても、名前や評価を爆上げするこれ以上のチャンスはないわけで、それによってその後の運命が開ける、っていう保証を得られるようなものだとしたら、たとえ常識を超えてでも「ぜひモノにしなければ」っていう心理が働くのは世の常だ。投資話にノッて騙されるのはたいていそういう動機だからね。

宮川選手――跳馬とゆかで世界と戦える、選ばれし逸材

しかし逆に言えば、こういう事が言える。
つまり宮川紗江選手というのは、そうまでしても「自分のクラブに引き抜きたい」っていうレベルの選手だってこと。なぜなら彼女は体操の中でも「跳馬」と「ゆか」のスペシャリストって言われている。

実は日本の女子体操界は、これまで「跳馬」と「ゆか」が伝統的に弱かったという(体格的な問題らしい)。そんなウィークポイントを払拭してくれる可能性と実力のある選手だから、暴走してでも自分のところの所属選手にしたかった、という思惑が見えてしまうのだ。

そんな中、日本が苦手とする跳馬とゆかで世界と戦えるのが、世界選手権初出場となった宮川である。

世界選手権前、宮川は「バイルズと戦いたい」と話している。跳馬ではバイルズのD6.3に迫るD6.2の大技を難なくこなし、ゆかではH難度2つに加えて世界でも数少ない前方系の連続技を実施、さらに最後に伸身ダブルというパワー溢れる高難度の構成を持つ。

日本では数少ない、Dで得点を叩き出せる選手なのだ。

日本体操女子の裏テーマ/GymnasticsNews

こういう世界レベルの選手を「ウチが育てた選手よ」というフレーズが、後のち後輩選手たちにどれほどの効果をもたらすか。それが「私なら速見の100倍教えられる」って途方もない飛躍論理になったのか。

だとしても、速見コーチのパワハラでっち上げはどうなんだ?って話だが。

塚原千恵子・女子強化本部長のホロスコープ

塚原千恵子氏:出生ホロスコープ

塚原千恵子氏:出生ホロスコープ

ちなみに塚原千恵子氏のホロスコープをあげておく。

双子座と獅子座に天体8個っていう時点で、「アマチュア組織の管理者」としての適性はどうなんだろう?って個人的には疑問に思ってる。これだと自分動機の論理が出ちゃうじゃない、どうしたって。しかも獅子座13度の土星・冥王星だからね。

まあこれ以上、言及するまでもないけど。

想定外?宮川選手の逆襲

ただ、協会側はたぶん宮川選手に対する見通しの甘さがあったと思う。宮川選手を、これまでの選手と同様「言うことを聞くだろう」と見下していたとすれば、それは甘かったのではないか。おそらく協会は今回の宮川選手の反発は想定外、と思ってるかもしれない。

宮川紗江選手:出生ホロスコープ

宮川紗江選手:出生ホロスコープ

宮川選手のホロスコープは前の記事でも触れたが、こうしたパワハラみたいなのを引き寄せるエネルギーは彼女自身が持っているものであり、それはある意味消化していかなければならない。

しかし別のポイントの事を言うと、このホロスコープには射手座に火星・冥王星があって、それが水瓶座の海王星・天王星とアスペクトしているんだよね。これは独立性・従順しないっていう定番アスペクトだし、非常に力強い。それに対して、このホロスコープには「同調」の水の要素は一つもない。

そもそも火星は運動能力なので、逆に言えばこの火星がパワフルだからこそ、彼女はスポーツ選手としての資質がずば抜けているのだろうし、この火星は少々のケガやプレッシャーにはへこたれない。

さらに言えば、この火星は特に侮れない。下手したら相手をギャフンと言わせるかもしれない――だって18才の女の子が、日本代表を左右できる権限を持つ組織相手に、個人一人で立ち向かうなんて普通はできないことだ。弁護士を用意して、相手の脅迫のような発言はメモにとって、っていう周到さ――もちろん、その行動ができるのは別のホロスコープ的要素があるわけだが。

いずれにしても彼女のこうした勇気ある行動に対して、今後、同じような事をしている独裁的なアマスポ組織は戦々恐々としてるかもしれない(もちろん隠蔽に走るだろうけど)。

ともかく宮川選手にしてみれば、現在は不安で練習に集中できず「専属コーチ無しで怪我しないように体を動かすだけ」しかできていない、という状況から一刻も早く改善してあげるべきだろう。


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2023年4月1日
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