マイケル・ジャクソンも生きていれば還暦――マドンナとの対象的な人生

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2018年8月29日はマイケル・ジャクソン生誕60周年だったそう。生きていれば還暦ということだけど、残念ながら2009年にこの世を去ってしまったので。マイケルは先日ここで取り上げたマドンナとは同じ年令で、二人とも時代を象徴したアーティストだったが、結果は対象的な気がする。

極限に肥大化したスーパースター

マイケル・ジャクソンといえば史上最も売れたアーティストランキングにおいて、ビートルズ、エルビス・プレスリーに続く第3位であり、続く4位がマドンナというのは先日の記事で書いた。ただしこのランキングは古い時代のものは推計だったりするので、目安的ではあるが。

しかし間違いなく言えるのは「マイケル人気は未だ不動」ということ、また彼の死後、ファンになったという人も多い。それを表す数字として、マイケルが死んでからの9年間に稼いだ額は1,400億円を超えるという。これはもちろん歴代のセレブNo.1だろう。ただし借金も相当残っていたみたいだが・・・これもなんだか彼のホロスコープを象徴しているように思える。

一方でこういうのって、死後商売というか「マイケル利権」にたかるビジネスというのを物語ってもいる。これらが必ずしもクリーンな印象ではないのが残念だ。最近では死後リリースされたアルバムの音源が、本当に本人のものなのか疑わしいと、ソニー及び遺産管理団体とファンとの間で係争騒動になっていた。これについては娘のパリス・ジャクソンなども言及していたらしく、ジェイソン・マラカイというマイケルの歌マネも得意なシンガーの声だ、と物議になっていた。
ソニーとマイケル遺産管理団体、アルバム本人歌唱疑惑巡る裁判で勝訴/Bloomberg

いずれにしても死後でさえこれだけのビジネスバリューがあるのだから、ともかく全盛時のマイケルの売れ方の凄まじさは筆舌に尽くし難く、彼の後に続いたアーティスト達がこれまでどれだけブレイクしたかわからないが、誰一人としてマイケル程の売れっぷりにはとうてい及ばないと思う。ライブでは常に失神者が続出し、世界で最も売れたアルバム「スリラー」はギネス認定されており未だに破られていない。
(ちなみにマイケルのライブでいかに失神者が多かったかはライブinブカレストで一目瞭然)

そんな肥大化したスーパースターであった一方、隠し子騒動、整形疑惑、肌の色、児童に対する性的虐待疑惑、ソニーとの裁判など、ゴシップに事欠かない人生でもあった。

貧困だったジャクソン家

マイケル・ジャクソンは1958年8月29日、インディアナ州ゲーリーで10人兄弟の8番目(六男)として生まれた。ゲーリーという街は、鉄鋼業界華やかなりし1900年代初頭に「USスティール」社が新工場を建設したことから、労働者の街として栄えた。黒人比率が非常に高い場所でもある。

当時の鉄鋼業界は戦争需要や車社会の発達と共に右肩上がりに発展していったが、マイケルの生まれた頃にはその勢いもなくなり、やがて1990年代に入ると、ゲーリーは全米有数の犯罪都市になってしまう。

父ジョセフ(通称ジョー)・ジャクソンはUSスティール社に勤める貧しい労働者で、家はベッドルームが2つしかなく、母キャサリンはパートタイムをしながら家計を支えていたという。そんな家で10人兄弟を育てたのだから、当時のジャクソン家の暮らしぶりは想像に難くない。父ジョーは勤務以外にもバンドでギターを演奏し家計の足しにしていた。

父との確執

マイケルはそんな父ジョーとの折り合いが悪かったことでも知られる。それはジョー自身も認めており、子供達への体罰はほぼ日常的にあったようだが、特にマイケルが心に受けた傷は大きかった。後年暴露されたことだが、マイケルがそこに寝ているにもかかわらず、父や兄たちがファンの女性を連れ込んで行為に及んでいることもあったという。

そんなわけでマイケルの父に対するわだかまりはついぞ一生消えなかった。それは彼が残した遺言書に、父ジョーへの財産配分が一切なかったことからも明らかだ。本来ならジョーは、ジャクソンズ、マイケル、ラトーヤ、ジャネット等の音楽ファミリーのゴッドファーザーとして、リスペクトされてもおかしくなかったはずだが。

またマイケルの死に際に一緒にいたとされる、元主治医のコンラッド・マーレイ氏が父ジョーのことを「史上最悪の父親の1人」と後に非難している。

ビデオでマーレイはジョーを「史上最悪の父親の1人」と非難。「マイケルは父親にされた残酷な行為を語ってくれた」「マイケルに高い声を維持させるため父親が化学的に彼を去勢したという事実は言葉では語れない」。

マイケル・ジャクソンの元主治医、「マイケルは父親に去勢されていた」/ELLE

ただ、そもそもマーレイ氏自体の信用にも問題あるけど。

マイケル・ジャクソンのホロスコープ

ジャクソン家はそんな貧しい暮らしの中で、父ジョーの主導によって男兄弟に音楽を教えてバンドを組ませた。当初のバンド名は「ジャクソンブラザース」で、演奏のみのバックバンドだったが、そこにマイケルが6~7才の時、一番年下でヴォーカルとして加入し「ジャクソン5」と新たに名前を変えてナイトクラブなどで演奏活動していたという。ジョーはバンドマネージャーとして、また息子たちのスパルタ父として君臨した。

実はマイケル・ジャクソンは生まれ時間に諸説あった。上述のように貧しい家の生まれであり、兄弟が多いなどもその要因としてあったろうが、現在astro.comでは、マイケルの母の証言により、19:33生まれというのが一般的のようだ。

マイケル・ジャクソン:出生ホロスコープ

マイケル・ジャクソン:出生ホロスコープ

この出生時間によってホロスコープを作ってみると、マイケルが生まれたとき東の空には魚座があって、地平線から月が上ろうとしていた。これが後にマイケルが「癒やし」や「人道活動」に目覚めていった要因の一つになったろう。この月は5ハウスのカスプに由来しており、つまり自己表現というルーツがある。「Heal The World」「Earth Song」などの作品は、そうした自己表現の源泉から湧き出たものだと思う。

ただしこの月は、彼が生まれた瞬間に天頂にあった土星から90度で押さえつけられており、これがつまり父ジョーから受けた圧迫を示していることになるが、それよりもジョー本人の土星が、マイケルの月に90度ということの方が大きいかもしれない。

11才でのデビュー

ジャクソン5のレコードデビューは1968年1月だったが(マイナーデビュー)、その後デトロイトのモータウン・レコードと契約し、1969年10月に「I Want You Back」でメジャーデビューを果たし、いきなり全米チャート1位になる。後のソロでの大成功の陰に隠れているが、デビュー後のジャクソン5の人気は相当なものだったという。

この時マイケル11才、日本で言えばまだ小学生で、占星術的には水星の年令でありこのホロスコープでは6ハウスになる。6ハウスは仕事のハウスで、しかも緩いがMCに120度になっている。そもそもこの図は6ハウスに天体が多く集まっていて、彼の人生において、かなり仕事にウェイトが偏ることを示している。

こうして若くして順調にキャリアをスタートしたかに見えたが、しかしモータウン・レコードとの関係は長く続くことはなかった。方向性の違いから両者は袂を分かつことになり、CBSレコードと契約をすることになったが、商標権の問題によりこれまでの「ジャクソン5」という名称が使えなくなり、バンド名を「ジャクソンズ」と改めた。

ソロ転向~凄まじい売れっぷり

その後レコーディングやツアー活動を続け、1979年にマイケル・ジャクソン名義での初のソロアルバム「オフ・ザ・ウォール(Off The Wall)」がリリースされた。それまでもソロシングルはあったがアルバムは初めてで、これが800万枚の大ヒットとなる。

マイケル:ソロアルバムリリース

マイケル:ソロアルバムリリース

この時トランジットの海王星がちょうどMCにあり、生まれの土星と重なっていた――つまり自分を縛り付けていた立場からの逸脱である。縛られていたグループからの脱却とも思えるし、同時に父の影響からの離脱という意味もあったろう。

同時にこの時は土星・土星90度でもあった。マドンナの時もそうだったが、自分がそれまでの殻から飛び出す時に、かなりのハードアスペクトだった、ということは人生においてよくあることだ。イージーでは甘んじてしまうことがよくあるが、ハードアスペクトは行動を起こす動機になる。

そして1982年12月1日に「スリラー(Thriller)」が発売された。このアルバムは結果的に12週連続1位となり、すでに述べたようにギネス認定もされ、それまでの常識を覆した作品になった。

このアルバムからシングル化された「ビリー・ジーン(Billie Jean)」、「今夜はビート・イット(Beat It)」、「スリラー」などの曲は、その売れ行きもさることながら、それまでのMV(ミュージックビデオ)のレベルにおいて革命的な作品になり、「音楽は聞くだけじゃなくて映像でも楽しめる」という流れを作ったのはミュージックシーンにおける大きなレボリューションであり、MTVなどで連日のように放映された。
余談だがスリラーのMVでマイケル本人が着ていた赤いジャケットは、彼の死後、約1億4500万円で落札されたという。

だんだんとズレていったスーパースター

その後は、あえて書くまでもなくマイケルの快進撃が続くわけだが、すでに書いたように少しづつ何かがズレてもいった。

整形疑惑は早くから言われていたが、ホロスコープで検証するならば金星・火星のハードアスペクトに天王星が関わっていること、1ハウスの月がもともとハードアスペクトであること、などが何らか影響していると思う。

例えば元々ダンゴ鼻だったマイケル(というかジャクソン家の血筋だけど)が、1979年にステージで鼻を骨折し手術せざるを得なかった時は、月にも金星・火星にもトランジットがハードで、この手術後、鼻筋がどんどん細くなっていった。この細い鼻は妹のジャネット・ジャクソンの整形疑惑にも影響したと思われる。

また1984年、ペプシコーラのCM撮影中に、火が髪の毛に引火し火傷を負った影響で、マイケルが後に整形手術や鎮痛剤を手放せなくなったきっかけとして知られているが、この時も月と火星・金星がハードアスペクトだった。ちなみにこの映像は今でも残っている。

その後も肌の色が白くなっていくなど、外見的なマイナーチェンジが頻繁に起こっていったが、そもそもこのホロスコープは太陽が7ハウスにあるために「対外的な自分」というものを意識していたはずだ。太陽の隣には冥王星があってその意識は過剰で、しかも乙女座初期であり、防衛心とともに細かいディテールにこだわったというのもあるだろう。ちなみに乙女座は医療にも関係する。

決定的なマドンナとのホロスコープ的相違

しかし素のマイケルは月・土星スクエアという、元来は自信の崩れやすい人間であり、それを補完するために外見の改造に走ったという見方は当然できる。この辺は月・冥王星だったマドンナとは決定的に違うところであり、決して同列には語れない。またマドンナのホロスコープは東側に天体が多かった(ロンドンでも同じ)。それに比べ、マイケルのホロスコープは圧倒的に西側が多い。

マイケル:ネバーランド・リロケーション

マイケル:ネバーランド・リロケーション

後年マイケルが、裁判沙汰に多く巻き込まれていったのも、7ハウスの太陽だからかもしれない。彼は売れてからカリフォルニア州のネバーランドに移り住んでいたので、リロケーション図は太陽ほか獅子座の天体に至るまですべて7ハウスになる。

マドンナのようにうまく立ち回ればよかったのに、と思うかもしれないがそれは違う。マドンナのホロスコープは生まれながらにして自己本位にエネルギーを使えたのに対し、マイケルは人に巻き込まれる資質を自ら持っていた。つまり彼の名声に近寄ってくるハイエナのような輩は絶えなかったと思われ、それに振り回され続けただろう。

マイケルの死

マイケル:死亡時

マイケル:死亡時

マイケルは2009年6月25日に亡くなったが、このとき月・土星・土星のTスクエアだった。

マイケルの死についてはさまざまな説が未だに消えない。それは生前マイケルが「殺される」と周囲に語っていたこと、それを取材した専属カメラマンがマイケルより先に死んだこと、マイケルの死の真相を調べていた弁護士が拳銃自殺したこと(しかし拳銃は見つかっていない)、マイケルの死因となった薬物プロポフォールを処方したマーレイ医師が早期釈放されたこと、マーレイ医師には7000万円以上の借金があったこと、公演予定だった「THIS IS IT」のリハーサルがなぜか撮影されていて、死後映画になったこと、などさまざまな物議を呼んでいる。

まあこいうのは8ハウス海王星だからかな、と思うけど。

いずれにしても、今後これほどのスーパースターが現れるかどうか。
R.I.P

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2023年4月1日
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