今後に影響を与える米最高裁の3つの重要な判決――人種差別、学生ローン免除、LGBT

最高裁、重要な3つの裁判に判決

連日、米最高裁が重要な判決を下しており、今後の情勢に影響を与えそうです。

まず「公正な入学を求める学生vsハーバード大学」
これはアファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)に関する問題で、入試における人種差別を取り上げたものです。最高裁は大学側を違憲だと判断しました。

次に「バイデンvsネブラスカ」
バイデン政権が目玉として掲げた「学生ローン免除」を、最高裁は違憲だと判断しました。

3つ目は「303クリエイティブLLC.vsエレニス」
これは差別禁止と、合衆国憲法修正第1条「言論の自由」との間で争われたもので、最高裁はキリスト教系デザイナー側の主張を支持しています。

3件とも、結果的に保守派寄りの判断が下されたことで、左派は憤慨し爆発しておりますが。でも冷静に見れば、最高裁の判断は妥当とも思えるともいえるものです。

公正な入学を求める学生vsハーバード大学

この案件は、世界でもトップクラスと言われるハーバード大学の入試において、アジア系アメリカ人の合格率が著しく不利だとして、公正な入学を求める学生(SFFA)が提訴したものです。

もう一つ、ノースカロライナ大学の同様の訴訟も併せて審議されました。

アファーマティブ・アクションとは、民族や人種や出自で差別されている人たちに、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指すものです。

このアファーマティブ・アクションが、ハーバード大学では極端でした。

表を見ると、同じ10ランクにおける合格率は
・白人→15.3%
・アジア系アメリカ人→12.7%
・黒人→56.1%
・ヒスパニック→31.3%
(全体14.6%)

と、黒人とヒスパニックに極端に有利になっており、アジア系は最も差別されていました。しかも、白人でさえ差別されていたのです。

ハーバード大学のような名門大学が、白人やアジア系の志願者を犠牲にして、黒人やヒスパニック系の入学者を人為的に増やすために長年行ってきたというのが浮き彫りになりました。

ハーバード大学は判決に不服か

最高裁は、大学が特定の人種を優遇することは憲法修正第14条に違反するとして、ハーバード大学のケースは6対2(1人棄権)、ノースカロライナ大学のケースは6対3でそれぞれ原告側を支持する判断を下しました。

ジョン・ロバーツ裁判長は意見の中で、「人種差別を撤廃するということは、人種差別のすべてを撤廃するということだ」と書いており、多様化を訴えながらもむしろ差別を助長している大学側を暗に否定しています。

これは「LGBTを認めろー」と言いながらも、女性競技に元男性が参加して強さを見せつけ、むしろ女性を差別しているのと同じ構図に見えました。

一方ハーバード大学は声明を発表し、「この決定に従う」としているものの、人種についての論文を使用することは認め、反発の姿勢を見せています。

これを見ると、教育界における左派の浸食は、もはやかなり深いところまで浸透しているというのを物語っています。

「言い換えれば、ハーバードは人種差別体制を継続するために大学の小論文を利用するということだ」↓

「バイデンvsネブラスカ」

2020年の大統領選挙で、民主党のジョー・バイデン候補は、学生ローンを1人あたり最大1万ドルまで帳消しにすると公約を掲げました。

そしてその公約通り、2022年の中間選挙前に、Z世代=ミレニアル世代の票を集めるため、学生ローンの大規模な免除を一方的に発表しました。

これは総計4000億ドル(57兆円)を超え、アメリカ国民の税金が使用されることになります。学生ローンの債務者にとってのみラッキーではあるが、その他の関係ない米国民にとっては納得のいくものではありませんでした。

2022年9月、ネブラスカ州、ミズーリ州、アーカンソー州、アイオワ州、カンザス州、サウスカロライナ州は、ローン免除プログラムが三権分立と行政手続法に違反しているとして、ミズーリ州東部連邦地方裁判所に提訴しました。

2022年10月に地裁判事は、各州には訴える資格がないとして訴えを棄却しています。各州側は控訴し、2022年11月14日に、第8巡回区控訴裁判所が差し止め命令を認めました。

バイデン政権は2022年11月18日に、差し止めの取り消しを求めて最高裁に上告しました。

政権にローン免除の権限はない

最高裁は6月30日、6対3で学生ローン免除プログラムを却下しました。

2022年に教育省長官は、2003年の学生高等教育救済機会法(HEROES法)に基づき、初の学生ローン免除プログラムを設立しました。

このプログラムは、連邦学生ローン残高約4,300億ドルを帳消しにし、2,000万人の借り手の負債を完全に取り消し、残りの2,300万人の負債額を引き下げるというものでした。

今回最高裁の判事たちは、HEROES法の条文は、(教育省)長官のローン免除プログラムを認可するものではないとし、政権が債務救済を行なう権限はないと述べました。

最高裁の判断を受けてバイデン大統領は、学生ローンを救済するための新たな措置を講じる、と発表しました。

詳細についてはまだ不明です。

「303クリエイティブLLC.vsエレニス」

コロラド州で「303クリエイティブLLC.」という会社でビジネスを展開しているWebサイトデザイナーのロリー・スミス氏は、結婚式の告知サイトを作ろうと思っていました。

しかし同性婚のためのサイトを作ることは、キリスト教の信仰に反するとして、同性婚サイトを作る意思がないことをサイトで告知しようとした。その代わりに、他のデザイナーを紹介しようと考えていたという。

しかしコロラド州には差別禁止法があり、自分のやろうとしていることがこの法律に抵触することがわかりました。

そこでスミス氏はこの法律の停止を求めて、コロラド州を州連邦地方裁判所に提訴しました。

コロラド州公民権課は、一般市民にサービスを提供する事業者は、性的指向に関係なくすべての顧客にサービスを提供する必要があると主張しました。

結局地裁はスミス氏に不利な判決を下し、スミス氏は第10巡回区控訴裁判所に控訴したが、2対1で地裁の判決が支持されたため、最高裁に上告しました。

いかなる作品の制作を強制されることはない

最高裁は、コロラド州の差別禁止法が憲法修正第1条の「言論の自由」条項に違反するかどうかというテーマに限定しました。

そして6月30日、最高裁は6対3でスミス氏を支持する判決を下しました。

ニール・ゴーサッチ判事は「ビジネスパーソンは、自分の価値観に反し、いかなるクライアントのためにも制作しないような芸術作品の制作を強制されることはない」と述べました。

またこのケースでは、彼女がデザインしたいWebサイトが彼女自身の表現であることは明らかであり、憲法修正第1条によって保護される、としています。

この判断はLGBT権利の後退と見なされ、ヒューマン・ライツ・キャンペーンやアメリカ自由人権協会を含むいくつかのLGBT擁護団体が、LGBTの顧客を差別するものだと反発しました。

この判決はちょうどLGBTプライド月間で下されており、今後、スミス氏の会社がLGBT活動団体などから嫌がらせを受けないか懸念されます。

以上、最高裁が重要な3つの審理を判断したという内容でした。

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