今さら聞けないタイトル42の期限切れって何?

CBP Photography, Public domain, via Wikimedia Commons

タイトル42の期限切れ

「タイトル42」期限切れ騒動について書いておきます。米現地5月11日にタイトル42の期限が切れ、不法移民が大量に米国に押し寄せて大問題になっております。

バイデン政権発足以来、アメリカでは不法移民の入国が爆増してて、そのきっかけはバイデン大統領が南部国境のカベ建設を凍結し、移民を受け入れる姿勢を打ち出したことでした。なぜバイデン氏は不法移民を受け入れるのか?考えればわかることです。

そもそも国境のカベが作られることになった理由は、不法移民の密入国、人身売買、麻薬の密輸、武器の密輸、犯罪者やテロリストの入国などを防ぐ事でした。ただカベがあっても、海を渡って入国する移民も多く、完全とは言えない状態でした。

そんな中で、唯一不法入国を防ぐ方法がタイトル42だったのです。

しかしそのタイトル42も期限切れを迎え、不法移民が国境に大挙して押し寄せ、カオス状態になっています。

タイトル42とは

タイトル42とは公衆衛生法の事であり、1944年に制定されました。

外国からの伝染病の侵入を防ぐために定められたもので、世界的なコロナパンデミックの中で、公衆衛生緊急事態としてトランプ政権下の2020年3月から適用されました。

タイトル42では、不法に入国しようとした者を追い返すことができました。その数は270万人と言われていますが、リピーターも含まれるので実態は不明です。

しかしパンデミックが落ち着くに伴い、2022年4月にCDC(米疾病管理予防センター)が「移民を追放し続ける公衆衛生上の根拠はない」としたことで、終了が発表されました。

これに対してルイジアナ州の連邦判事が終了を阻止する命令を出したため、いったん延期されました。

ところが左派ワシントンDCのエメット・サリバン連邦判事がこの判断を違法としたため、再び2022年12月に終了する事になりました。

最終的には連邦最高裁が5対4でサリバン判事の決定を阻止し、一時的にタイトル42が維持されることになりました。

その期限が2023年5月11日午後11時59分をもって迎え、それを待ってコロンビア、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、メキシコなどから入国を目指す人たちが押し寄せており、最近では中国からの移民も増えているという。

バイデン政権で移民が急増

グラフを見ると、バイデン政権が就任した2021年1月以降、明らかに不法移民の数が急増してます。それまではひと月5万人以下だったのが、15万人以上になりました。

2020年:赤
2021年:青
2022年:黄色
2023年:黒

もちろん移民の中には貧困や暴力や政情不安から逃れ、少しでもいい暮らしがしたいと思って移ってくる人も多いのですが、それに紛れて麻薬や人身売買のカルテルが暗躍していると言われています。

2022年度に国境警備隊は200万人以上の逮捕を記録し、過去最高となりました。そのため、移民を処理する政府機関の能力と、国境地域のリソースに深刻な負担がかかっています。

そんな中でタイトル42が終了したため、今まさに混乱を招いているのです。

アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官は「これは国境開放を意味するものではない」と釘を刺しましたが、あまり効果を見せていないばかりか、カルテルが「5月11日以降に国境が開かれる」といった嘘のウワサをばら撒いているという。

失効したらどうなる?

タイトル42が失効して以降は、タイトル8と呼ばれる標準的な移民手続きになるようです。

タイトル8では、より多くの移民が亡命を申請し、自国へ戻ることにより「信頼できる恐怖」を審査されることになるという。つまり国に戻れば恐怖が待っているという証明があれば、亡命申請が出来るということですね。

これに適格と判断された者は釈放の手続きが取られ、移民裁判所に出廷しなければならないが、そうでない者は自国に強制送還されるとのこと。

また不法に入国した移民は速やかに排除され、その後、不法に米国に再入国したことが発覚した場合、5年または10年の入国禁止措置がとられるようです。

さらに5月10日にバイデン政権は、移民がメキシコなどの第三国で保護を求めず、アメリカ国内に向かう途中で許可なくアメリカに入国した場合、亡命の資格を失うという規則を確定させました。対象者は、強制送還され5年間の米国からの追放に直面することになるという。

不法移民にスマホ支給

バイデン政権は現在、不法移民たちにスマホを支給しています。

これは裁判を待つ移民たちを追跡するためのもので、毎月電話によるチェックが行われ、顔認識、GPS監視、音声識別などを利用するためのものだという。

しかし中には裁判が2027年、2032年、2035年といった、だいぶ先の日程が指定されている者がいるようです。

ABCニュースによれば、支給されたスマホは30万台以上で、1日当たり36万ドルの税金が投入されていると報じています。月1000万ドル超ですね。

しかも裁判の日になってもバックレて出頭しない移民も多く、出頭しなければそれでおしまいなのだそう。このスマホの支給は「コストのかかる失敗」だと言われてます。

テキサス州の対応

国境に位置するいくつかの街は、タイトル42の失効により緊急事態宣言を発令しています。

国境に接するテキサス州のグレッグ・アボット知事は、国境に州兵を動員しました。

またテキサス州は不法入国した移民たちをバスに乗せ、ニューヨーク州やカマラ・ハリス副大統領の自宅前などに送りつけています。

ワシントンDCでは、不法移民者たちの滞在・食費・ケアなどのために800万ドルの負担を強いられているという。

ワシントンDCのカマラ・ハリス副大統領邸前に到着↓

サンクチュアリ都市の憂鬱

ワシントンDC、ニューヨーク州、カリフォルニア州、マサチューセッツ州などの左派州は「サンクチュアリ(聖域都市)」を名乗っていていて、移民を受け付けると宣言しており、断ることは出来ないのです。

ニューヨークではすでにパンク状態といわれ、ホテルなどが移民収容で溢れてしまったため、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は閉鎖されたハドソンバレー刑務所に移民を移すことを検討しているほど、状況は切迫しているという。

ただ刑務所に移民を収容するようには見せたくないので、改造の必要があるとのこと。

「私たちは今、率直に言って助けが必要な状況にあります」「これは国家的な問題であり、私はホワイトハウスを訴えたし、真の移民制度改革が行われていない議会の問題でもある。しかし、私は今、州の経済エンジンが機能しなくなるような危機を扱っているのです。」

「Go Woke, Go Broke」――Wokeに目覚めれば、破綻する。

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