JFK暗殺時のシークレットサービスが沈黙を破る――オズワルド単独犯行説は辻褄が合わない

White House Press Office (WHPO), Public domain, via Wikimedia Commons

JFKシークレットサービスの暴露

ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺時に身辺警護をしていたシークレットサービスのポール・ランディス氏が、事件後60年ぶりに口を開いたという。

その中で爆弾証言も飛び出しています。

ランディス氏は、1963年11月22日の暗殺事件当日、ジャクリーン・ケネディ夫人の警護を任されていたとのこと。

最初の銃声を今でも覚えているという。

一瞬、爆竹の音か、タイヤが飛んだだけかもしれないと一縷の望みを抱いたと言うが、誰よりも銃のことをよく知っていたランディス氏は、心の中ではわかっていた――それが銃声だということを。

そしてすぐに銃声が1発、もう1発・・・JFKはその場に倒れました。

現在88歳だというランディス氏は、多くの助言と自身の反省を経て、回顧録を執筆する決心に至りました。

ランディス氏は今日に至るまで、暗殺を直接目撃した事によるPTSDを克服できなかったと述べている。そのときの衝撃が繰り返しフラッシュバックするため、その記憶を閉じ込めようと、もがいてきたのだと。

そして書かれた回顧録『The Final Witness,』(最後の目撃者)が10月10日に出版される予定になっています。

この回顧録は、これまで信じられてきた定説を覆すかもしれないという。ウォーレン委員会によって「リー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行」と結論づけられたこの事件は、”犯人は1人ではなかった”と疑ってきた人たちを勇気づけることになるかもしれないとのこと。

魔法の弾丸

事件を調査したウォーレン委員会の公式見解によると、JFKは後方のテキサス教科書倉庫ビルの6階から、オズワルドが6.5ミリのマンニッチャー・カルカノライフルで撃った3発の銃撃よって殺害された、と結論づけています。

1発目は外れ、2発目はJFKおよび同乗していたテキサス州ジョン・コナリー知事の2人に命中し、最後の1発がJFKの頭部を貫いたと主張している。

物議になったのは2発目です。オリバー・ストーン監督の映画『JFK』を観た人なら記憶しているかもしれないが、裁判のシーンでギャリソン検事が問題視していた弾丸がこれでした。

この弾丸は、

  • まず後部座席のJFKの背後に命中
  • JFKの喉の前方を突き抜ける
  • そのまま前座席に乗っていたコナリー知事の右肩に命中
  • 肋骨に当たり、右胸から出て、右手首を貫通し、左大腿部に命中

たった1発の弾丸が、これだけの仕事をやってのけたというのです。

ホントに1発の弾丸でJFKとコナリー知事を傷つけたのか?実は犯人は複数いたのではないか?

懐疑論者たちはこれを「magic bullet=魔法の弾丸」と呼んでいます。

Bradipus, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

辻褄が合わない

ランディス氏は、この「魔法の弾丸」説は辻褄が合わないという。

その日ランディス氏は、JFK夫妻が乗ったリムジンの真後ろの車で警護していた。

銃撃の後、取り乱すジャクリーン夫人を落ち着かせようとなだめたが、このときランディス氏は後部シートの背もたれ上部で弾丸を見つけたとのこと。

ランディス氏はこの弾丸が重要な証拠になると考え、回収してそのままJFKのストレッチャーに置いたと主張しています。

しかしウォーレン委員会は、この弾丸は「コナリー知事のストレッチャーから発見された」とし、コナリー知事の大腿部から落ちたもので、これがJFKにも命中した魔法の弾丸だと主張しているもよう。

今日の今日までそれが信じられてきました。しかしランディス氏は、実際に見つけた弾丸はJFKの座席の後ろにあったものだと主張しています。

また緊急医療に当たった医師たちは当初、JFKの喉の傷は弾丸が正面から侵入したときのものであり、喉から背骨に当たった可能性があるという。

もし弾丸がJFKの喉に正面から入ったのであれば、真後ろの教科書倉庫からオズワルドが撃ったものとは考えられない。

これは他にも狙撃犯がいた可能性を示すものだという。

単独犯行を信じていたが、気が変わった

結局ランディス氏は最後までウォーレン委員会に呼ばれることはなかったという。そしてウォーレン委員会は結論を出し、事件はそのまま終了しました。

ランディス氏はJFK暗殺事件でトラウマを抱え、6ヶ月後にシークレットサービスを辞めたという。

それ以来、表立った活動から遠ざかり、暗殺についての記事や情報を読むことを拒否し、メディアからの取材依頼もほとんど避けてきたという。そして最終報告書を見ずに、ウォーレン委員会は正しいことをしたに違いないと思い込み、長いことオズワルドの単独犯行だと認識していたという。

ところが2010年頃になって、シークレットサービスのジェラルド・ブレイン氏の仕事に参加した時に、暗殺事件で罪悪感と孤独を感じていたのは自分だけではなかったことを知った。

さらに2014年に友人から贈られたジョサイア・トンプソン著『Six Seconds In Dallas(ダラスの6秒間)』を読んで、全てが変わったという。この本に掲載されていた弾丸が、自分が発見してJFKのストレッチャーに置いたものだとわかった。

ランディス氏は「この時点で、私は自分自身を疑い始めている」

魔法の弾丸説は死んだ

付け加えると、不可解なことにJFKの遺体は、運ばれたダラスのパークランド記念病院で検死解剖されず、すぐに大統領専用機「エアフォース1」に乗せられてワシントンDCに運ばれてしまいました。

このときダラス警察の検死官とシークレットサービスの間で、一悶着あったとのこと。

後に検死解剖がダラスで行われなかったことで、陰謀論を生み出す要因になりました。これはワシントン側の解剖医でさえ同じ事を主張しているという。

JFKの甥で、2024年の大統領選挙に出馬しているロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、このランディス氏の暴露によって「魔法の弾丸説はもはや死んだ」とツイッターXに投稿しています。

「JFKのシークレット・サービスを守っていたポール・ランディスによる最近の暴露は、ウォーレン報告書の最後の孤独な擁護者であるニューヨーク・タイムズ紙にさえ、その不合理さをついに認めさせた」↓

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