ガザについてのイスラエル政府文書がリークされる
10月28日にイスラエルの文化誌『Mekovit』が、ガザ地区の今後の計画について書かれたイスラエル政府の文書をリークしました。
この文書は10月13日にイスラエル情報省が発行したものらしく、10月7日にハマスが攻撃を開始していますから、それから1週間以内に出されていたということになります。
文書によれば、イスラエル/ハマス戦争が終結した後のガザ地区のパレスチナ人民族の将来について、3つの選択肢のうち好ましいものとして、ガザ地区の全住民を北シナイ、つまりガザ地区とエジプトが接する地域に移送する計画が挙げられています。
「速報:
#mekomit が暴露したところによると、240万人のパレスチナ人をガザ占領地からエジプトなどに強制送還するという指令が、10月13日にイスラエル情報省によって公式に承認された。戦争犯罪の始まりである!」↓
BREAKING: @mekomit expose shows that the directive to deport 2.4 million #Palestinians out of occupied #Gaza and onto #Egypt and beyond has been officially endorsed by #Israel's Ministry of Intelligence on 13 October. A war crime in the making! pic.twitter.com/5BFsOzSpj3
— Itay Epshtain (@EpshtainItay) October 29, 2023
ガザ住民をシナイ北部に移住させる計画
文書では、スラエル情報省の強制送還指令には4つの段階があるという。
1.ガザ北部を立ち退き、地上作戦を許可するようパレスチナ市民に呼びかける。
2.ガザ北部から南部へと順次、地上作戦を展開する。
3.ラファを横断するルートを空けておく。
4.シナイ北部にテント村を設立し、エジプトにパレスチナ人を移住させるための都市を建設する。
これによりシナイ北部にテント村と新都市を設立して強制送還された住民を収容し、エジプト国内に数キロに及ぶ閉鎖的な安全地帯を設けるよう勧告しています。
またここに強制送還されたパレスチナ人は、イスラエル国境付近のいかなる地域にも戻ることは許されないという。
#Israel's Ministry of Intelligence deportation directive outlines the four stages: 1. A call on #Palestinian civilians to vacate north #Gaza and allow for land operations; 2. Sequential land operations from north to south Gaza; 3. Leaving routes open across Rafah; 4. Establishing… pic.twitter.com/P38LJKrf2j
— Itay Epshtain (@EpshtainItay) October 29, 2023
実際のイスラエル軍の行動がこの文書に基づいている
ただこの文書があるからといって、その勧告が実行されるとは限らないという。
というのも発行元である情報省は、イスラエルの情報機関を管理しているわけではなく、独自に研究や政策文書を作成し、政府とその安全保障機関の検討用に配布していると言われています。
とはいえ、イスラエル政府高官の最近の発言や、ガザでのイスラエル軍の行動をみると、この計画が実際に実行されていることを示唆するものとなっています。
たしかに10月7日以来、イスラエル政府高官はパレスチナ人に対し、迫り来る地上侵攻に備えてガザ南部に移動するよう繰り返し警告を発しています。
イスラエルはガザを完全に包囲し、食料、水、燃料、電気を遮断している状態で、この包囲網は、8000人以上のパレスチナ人(その大半が女性と子ども)を殺害したイスラエルによる激しい爆撃と相まって、ガザが居住不可能になる恐れがあります。
そのため、あらかじめガザ住民を移動させる計画が描かれています。
リークしたのはリクード党員
イスラエル情報省の役人は、10ページに及ぶこの文書が本物であることを確認したが、「メディアに漏れるはずはなかった 」と述べたという。
ある右翼活動家によれば、この文書はイスラエルのリクード党員によってリークされたものだとのこと。リクード党はベンジャミン・ネタニヤフ首相が党首を務める政党です。
そしてリークしたのは、「イスラエル国民がガザからの移設案を受け入れる用意があるかどうかを探るためだった」という。
またこの文書では、「計画に同意するよう」ガザ人を動機付けし、土地を放棄させるための専用キャンペーンを開始することを推奨しています。
「アッラーは、ハマスの指導者のせいで、あなたたちがこの土地を失うことを確信された」・・・さも神の啓示であるかのように諭すんですかね。
イスラエルの国際的評判を傷つけないよう注意喚起
さらにこの計画では、政府はイスラエルへの敵意を助長したり、イスラエルの評判を傷つけたりしない方法で、西側諸国に移送プログラムを宣伝する広報キャンペーンを開始しなければならないとしています。
「ガザからの住民の強制送還は、国際的な支援を受けるために必要な人道的措置として提示されなければならない。そのような強制送還が正当化されるのは、市民が残った場合に予想される死傷者数に比べて、市民の死傷者数が少なくなる場合である」と文書には書かれているとのこと。
その上で、米国を利用してエジプトに圧力をかけ、ガザの住民を受け入れるようにすべきであり、他のヨーロッパ諸国、特にギリシャ、スペイン、カナダに、「ガザから避難してくる難民の受け入れと定住を支援するよう働きかけるべきである」と述べています。
そして最後に、もしガザに住民が残れば、イスラエル軍によるガザ占領の間に多くのアラブ人の死者が出ることになり、ガザ住民の国外追放以上にイスラエルの国際的イメージが損なわれることになる、と文書は注意喚起しています。
「以上の理由から、情報省の勧告は、ガザにいるすべてのパレスチナ人のシナイへの永住を促進することである」
はたしてこの計画通りにいくのか。
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