ハマス攻撃、やはりイランがゴーサインを出した――米もイスラエルも察知できず、歴史的な失敗を犯した

やはりハマス攻撃の裏にはイランがいた

やはりハマスの攻撃にはイランが絡んでいたとの情報が出ています。

昨日の記事で、イスラム原理主義ハマスによるイスラエル攻撃のバックに、イランが付いている可能性について書きました。↓

ハマスがイスラエルに大規模攻撃、第三次世界大戦か――バイデン政権はイランに60億ドルを提供

2023年10月8日

というのも、ここまでの大規模な攻撃をハマス単独でできるとは考え難いと言われており、イランもこの攻撃を支持していることから、イラン黒幕説が浮上していました。

それとバイデン政権がほんの1ヶ月前にイランに60億ドルを与えていること、ウクライナに支援した兵器やアフガニスタンに残してきた米軍の兵器が反イスラエル勢に渡り、この攻撃に使われている可能性があったとの情報もあります。

そしたら案の定、10月8日にウォール・ストリート・ジャーナルは、「イランはハマスのイスラエル攻撃を計画し、先週の月曜日の会議で攻撃にゴーサインを出した」とする速報記事を報じました。

8月から計画され、月曜にゴーサインが出た

WSJの記事によると、イランの治安当局者が、ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃を計画し、先週月曜日(10/2)にレバノンのベイルートで開かれた会議でゴーサインを出したと伝えています。

なんでもイランは8月からハマスと協力して、空、陸、海への侵攻を計画しており、少なくとも隔週で会談し、話し合ってきたという。そして作戦の詳細は、イラン革命防衛隊(IRGC)の将校、ハマス、レバノンのシーア派過激派組織ヒズボラ、など4つの過激派グループの代表によって練られたと説明しています。

このIRGCの計画は、北部のヒズボラとパレスチナ解放人民戦線、ガザとヨルダン川西岸のパレスチナ・イスラム聖戦とハマスという、あらゆる側面からイスラエルを締め上げることができる多面的な脅威を作り出すことだという。

またイランが攻撃された場合、イラン、レバノン、イエメン各地からイスラエルへミサイル攻撃で応戦し、さらにシリアからイスラエルにイラン人戦闘員を送り込み、イスラエル北部と東部の都市を攻撃する計画だという。

今回の攻撃は、いまイスラエルがベンジャミン・ネタニヤフ首相の連立政権をめぐる内政分裂に気を取られており、その隙にダメージを与えることを意図していたようです。

さらに米国が、サウジアラビアとイスラエルの関係を正常化するために仲介していた協議を、中断させる狙いもあったという。

米国もイスラエルも攻撃を察知できなかった

この攻撃計画を、米国、イスラエルの諜報機関が察知できなかった”怠慢っぷり”が浮き彫りになっています。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、NBCの報道番組『Meet the Press』で「これは誰も予想していなかった攻撃だ」と語りました。

MC「イスラエルの情報当局もアメリカの情報当局も油断していたことを認めますか?」

ブリンケン「これは誰も予想していなかった攻撃だ。」

MC「では、諜報活動の失敗だったのか?」

ブリンケン「それを調べる時間は十分にある」

・・・失敗とは認めたくないようです。

イスラエルの諜報機関の失態

一方イスラエルには「モサド」と「シン・ベート」という諜報機関・安全保障機関があります。2つともベールに包まれている組織です。

  • 「モサド」→イスラエル諜報特務庁。対外諜報、諜報活動、特務工作を担当する首相直轄の情報機関
  • 「シン・ベート」→イスラエル総保安庁。治安維持活動や防諜活動を担当する首相直轄の情報機関。別名「シャバック」とも呼ばれる

このうち、特にシン・ベートはガザ地区やヨルダン川西岸地区における反テロ活動のための諜報活動を行っているという。

イスラエルはガザ地区に、盗聴器、隠しカメラ、スパイを張り巡らせていたという。しかし、それでもこの大規模攻撃を察知できなかった失態は、なぜ起こったのか。

それは諜報機関のメンバーが、政府のやり方に抗議・抵抗していたから、と言われているのです。

すでに書いたように、ここのところイスラエルのネタニヤフ政権は内政分裂でバタバタしていたという。その理由は司法改革にあるようです。

本来の諜報活動がそっちのけだった?

ネタニヤフ首相率いる政党「リクード」は、右派の宗教政党ユダヤ・トーラ連合、シャス、宗教シオニスト党、ユダヤの力、ノアムなどとの連立で、全120議席中64議席の過半数を獲得し、政権が成り立っています。

この連立政権はイスラエル史上、最も右寄りで宗教的な政権と言われていますが、2022年12月に樹立して以来、司法制度の改革に着手しているという。

この司法改革が「威圧的で非民主的」と言われているのです。なにせ最高裁が下した決定さえ覆すことができるようにするという。それはもしかしたらネタニヤフ首相自身、汚職や贈収賄で裁判中というのがあるからかもしれません。

こうした政権の威圧的な司法改革に反発して、モサドのデビッド・バルネア長官は、職員に抗議デモに参加することを許可したという。

つまり政府に抗議するため、本来の諜報活動がそっちのけだった可能性がある。

また21歳の米空軍兵ジャック・テイシェイラが、チャットアプリ「Discord」にリークした米軍の最高機密文書によれば、モサドの指導者たちは、イスラエル政府を断罪するよう呼びかけていたり、モサド幹部やイスラエル市民に政府の司法改革案に抗議するよう提唱したいたという。

国防総省の最高機密文書をリークしたジャック・テイシェイラ――逮捕の経緯とは

2023年4月16日

イスラエルにとって「歴史的な失敗」

中東の専門家デビッド・カルファ氏によれば、この攻撃はイスラエルの不意を突いたものであり、イスラエルの諜報機関にとって「歴史的な失敗」だという。

今回の攻撃は、1973年10月のヨム・キプール戦争以来、イスラエルはこのような本格的な地上侵攻に直面したことはないとのこと。

もともとイスラエルは常時警戒態勢にあり、いつでも戦いに出られるよう準備していたという。しかし諜報機関の分析と予測に誤りがあった。

イスラエルの諜報機関が想定していたシナリオは、レバノン南部のヒズボラを経由した北からの侵攻だったが、実際は陸、海、空を使って立体的に行われ、完全に不意を突かれたという。

しかもイスラエルが司法制度をめぐる政治的変動に気を取られてる隙に行われ、ハマス側もその脆弱性につけこんでこの攻撃を実行した意図を隠していない。

現在、イスラエル軍自身もショック状態にあると言っています。

イランはバイデン政権からの60億ドルを使って攻撃か

また昨日の記事で書いたように、イランは米国バイデン政権から60億ドルを提供されており、それが今回の攻撃に使われた可能性は、さらに色濃くなっている。

バイデン政権は、食料・医薬品・農産物といった人道支援のために60億ドルを提供しました。しかしイランのような国がそれを額面通りに使うのか。

ブリンケン国務長官は、既出の『Meet the Press』で、この60億ドルの資金について質問されました。

MC「イランはこの資金が来ることを知っていて、他の資金をこの攻撃に使ったのかもしれません」

ブリンケン「イランは残念ながら常にテロ支援に資金を使い、集中してきたのだ」

いやテロに使われるとわかっていてやったのか・・・あまりに無責任では。

さらにイランのエブラヒム・ライシ大統領はNBCニュースのインタビューで、この60億ドルを「必要ならどこでも使う」と発言しているのです。

Iranian president says Tehran will spend the $6 billion released in prisoner exchange ‘wherever we need it’/NBC News

60億ドルだけでなく、米軍の兵器も使われている

資金だけではありません。

あの”世紀の大失敗”と言われた、2021年8月の米軍のアフガニスタン撤退で、現地に残してきた米軍の軍備や兵器が、ハマスの攻撃で使われたと伝えられています。

イスラエル国防軍(IDF)の高位司令官によれば、バイデンの悲惨な撤退後、アフガニスタンに残されたアメリカの兵器は、ガザ地区で活動するパレスチナ人グループの手に渡ってしまったという。

まさに「気違いに刃物」という諺がぴったりでは。

当時トランプ氏は、米軍撤退の際に残した兵器について、「無能だ」と批判していました。どうやらそれが現実になったようです。

世紀の大失敗は、あのときだけで終わらなかったということです。この失敗はその後も尾を引いて、世界の大惨事を引き起こしたという意味で罪深い。敵に塩を送ってしまうことになった。

これは誰が責任を取るんでしょうか。

タリバンは、アフガニスタンに残された米軍の兵器と大量の現金を公表しています。↓

1週間前、「中東はこの20年間で最も静かな状態にある」

1週間前、バイデン政権の国家安全保障アドバイザーのジェイク・サリバン氏は、中東が「この20年間で最も静かな状態にある」と主張しました。

「そして私たちが言ったのは、中東地域の緊張緩和、非エスカレーション、そして最終的な統合を望んでいるということだ。イエメンでの戦争は19ヶ月の停戦状態にある。今のところ、米軍に対するイランの攻撃は停止している。イラクにおける我々のプレゼンスは安定している」

これ本気で言ってるとしたら、間抜けとしか言い様がない。

しかし米国もイスラエルも、本当にうっかりハマスの攻撃を見逃していたのか。そんなことがあり得るのか。

もしかして意図的に見逃したって事はないのか。

これは今後の展開に注目するしかありません。

米国人4名が死亡、7名が行方不明

いずれにしてもハマスの攻撃で、少なくとも4人のアメリカ人が死亡し、少なくとも7人が行方不明のままだと確認されています。

攻撃当日、現地で音楽フェスが行われており、武装勢力が襲撃したため多数の死傷者が出たという。米国人の行方不明者の何人かはこのフェスに参加していたとのこと。

そのうちの一人は、23歳のカリフォルニア州出身のハーシュ・ゴルバーグ=ポリン氏と判明しています。ポリン氏は連絡が途絶える前、両親に「愛してる」「ごめん」とメールを送ったという。

両親によれば彼はウェイターとして働きながら、生涯の夢であったインド旅行の資金を貯めていたとか。

バイデンはハマス攻撃翌日にBBQを楽しむ

そんな歴史的な失敗の中で、まったくもって不謹慎な話が出ています。

ジョー・バイデン大統領はハマス攻撃の翌日の日曜、ホワイトハウスでバーベキューを楽しんだというのだから呆れてしまう。


デイリーメールによると、ある番記者がホワイトハウスの芝生からバンドの演奏の音を聞いたという。

そこでホワイトハウスの報道官に何が起こっているのか尋ねたところ、「大統領とファーストレディが、ホワイトハウスのエグゼクティブ・レジデンスのスタッフとその家族を招いてバーベキューを開催しています」という答えが返ってきたとのこと。

ちょうどその時ホワイトハウスの塀の外では、パレスチナ支持派のデモ隊が「フリー・ パレスチナ」と唱えながら、アメリカがイスラエルへの援助を削減するよう要求していました。

アメリカ大統領と世界の安定

真面目な話、アメリカの大統領が替わるだけで、これほどまでに世界が不安定になってしまう。トランプは戦争を起こさなかったが、バイデン政権になった途端に世界は不穏になっている。

しかも中国がいつ動き出すかわからない。

トランプは中東和平を仲介していましたが、バイデン政権になった途端、それを全てひっくり返しました。

奇妙なことに米軍はバイデン政権の政策であるLGBTを推し進めている。それはいま必要なことか。

つい最近も米軍はステルス戦闘機F-35を見失った。これは大失態ではないのか。

米軍はコロナワクチン強制で8000人が除隊した。このうち再入隊を希望しているのはわずか43人だという。しかも新規人員募集に対して応募者が少ないようです。

アメリカはどんどん弱くなっているように思えます。これは水瓶座時代を目前に控え、それを予見しているという意味で非常に興味深い事です。

ところで共和党は新しい下院議長を一刻も早く決める必要があります。そうしないと混乱がますます大きくなるのでは。

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2023年4月1日
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