エプスタイン氏疑惑の情報が徐々に顕に
2019年8月に勾留施設内で自殺したとされる米富豪ジェフリー・エプスタイン氏の未成年買春容疑をめぐり、共謀者として逮捕された「マダム」ギレーヌ・マックスウェル氏の裁判が2021年7月から始まることが決定したというのは以前書いた。
7月2日にマックスウェル氏が逃亡先のニューハンプシャー州で逮捕されて以降、このエプスタイン氏事件についてまたメディアが賑わしくなり、さまざまな情報が飛び交うようになっている。
個人的にそれらを非常に興味深く読ませてもらっている。中にはマックスウェル氏が逮捕されたことにより、被害者が続々と名乗りを上げているとの情報もあった。一説によるとその人数は100名近いとも言われているが、それがもし事実なら、これまで報復が恐ろしくて手を挙げることができなかった犠牲者が多数いたということだろうか。またそれだけこの事件が深刻なもの、というのを示しているのだろうか。
他にも情報は色々あるが、今回大きな動きがあり各メディアが大々的に取り上げているので、それについて書いてみる。
過去の民事裁判資料が開示
その動きというのは、過去の民事裁判の機密資料が公開になったことだ。現在マックスウェル氏を訴えている当時未成年だったバージニア・ロバーツ氏の、2015年に争われた民事裁判の非公開裁判文書が、現地7月23日木曜日から公開されている。(この民事裁判は2017年に和解済み)
Men who Ghislaine Maxwell directed Virginia Giuffre to engage in activities with, according to Giuffre's deposition:
– Alan Dershowitz
– Glenn Dubin
– Stephen Kaufmann
– Prince Andrew
– Jean Luc Brunel
– Bill Richardson
– Marvin MinskyOther names, many more names, redacted. pic.twitter.com/bPLztoIkEP
— Cernovich (@Cernovich) July 31, 2020
公開することについて、もちろんマックスウェル氏側の弁護士は抵抗していたが、マンハッタン連邦裁判所のロレッタ・プレスカ裁判官は、80以上あるという文書(数百ページ)の大部分の開示を決定したのだった。
この中にはエプスタイン氏とマックスウェル氏のメール記録もあり、2015年1月のメールが残っているため、マックスウェル氏の「10年以上エプスタイン氏とは関わっていない」という主張に矛盾するものとなっている。
○リコン島でクリントン元大統領を見た
またヴァージン諸島にあるエプスタイン氏所有のリトル・セント・ジェームズ島のキャビンやプールサイドでは、乱交が絶え間なく行われており、マックスウェル氏も毎日のように女性たちと性的行為をしていたという記録もあるようだ。
またロバーツ氏は、島でビル・クリントン元大統領を見たと証言しているもよう。そのとき彼女はエプスタイン氏に「なぜクリントン氏がこの島にいるのか」と質問したという。エプスタイン氏は「彼は私に借りがある」とジョークっぽく笑いながら言ったそうだが、果たしてジョークなのかその真意はわからなかったとしている。
Jeffrey Epstein hosted Bill Clinton on his private island, documents reveal https://t.co/cIzDExRuCq pic.twitter.com/RFmrNpaf7T
— New York Post (@nypost) August 1, 2020
ちなみにクリントン氏の事務所は、エプスタイン氏のプライベートジェットでヨーロッパ1回・アジア1回・アフリカに2回行ったことを認めているが、エプスタイン氏の犯罪については「何も知らない」という声明を出している。
他にもVIPの名前が
さらに文書には他にも元ニューメキシコ州知事ビル・リチャードソン氏、MITの科学者マービン・ミンスキー氏(故人)、アンドルー王子、金融関係グレン・デュビン氏、ハーバード大学法学部教授アラン・ダーシャヴィッツ氏、大手モデルエージェント共同創業者ジャン・リュック・ブルネル氏、そして「もう一人の王子」の名前もあるという。
このうちブルネル氏、アンドルー王子、ダーシャヴィッツ氏、デュビン氏は否定している。
またエプスタイン氏のプライベートジェットに搭乗した人物として、モデルのナオミ・キャンベル氏やハイディ・クルム氏、アル・ゴア元副大統領、シンプソンズの共同制作者マット・グローニング氏、ジャック・クストー氏の孫娘アレクサンドラ氏などがリストアップされているようだ。
※エプスタイン氏はジャック・クストー氏の海洋調査プロジェクトに資金提供をしていたとの疑惑もあるが、クストー氏側は否定している。
ロビー活動?
またロバーツ氏は、アンドルー王子と3度性的行為を強要されたと告発しているが、それについてエプスタイン氏からは、アンドルー王子との事を逐一報告するように指示されていたと語っているようだ。
王子の要求には何でも応じるように言われ、性的行為の内容の詳細も報告させていたという。これは王子にとって不利な証拠を集めようとしていたのではと言われている。
Jeffrey Epstein allegedly tried to blackmail Prince Andrew by forcing an underage girl to have sex with him, according to newly released court documents https://t.co/RojaPdV1W5
— matthew weaver (@matthew_weaver) July 31, 2020
また、こうしてさまざまなVIPに同じように行うことによって、エプスタイン氏は有利な情報を得ようとロビー活動を行っていたのではないかとも。※先程のクリントン氏の「借り」とは・・・
ちなみにアンドルー王子はこれらの疑惑を全て否定、2010年にニューヨークでエプスタイン氏との交流を絶ったと主張している。
謎の解明
徐々に事実が解明されていくのだろうか。
なぜエプスタイン氏があれほどの財を成すことができたのか、その方法はヘッジファンドだけなのか、そしてなぜ政財界・科学界・皇室などVIPたちとの人脈を持つことが出来るに至ったか、の謎が解明されようとしているかもしれない。
そして勾留施設内で死亡した件について――自殺と発表されているが本当なのか。あの日なぜ勾留施設の警護が手薄になっていたのか。なぜ監視カメラが故障していたのか。一度目が失敗していたのに。
さらにエプスタイン氏の師匠と言われるホッフェンバーグ氏の話はマジなんだろうか。もし事実ならとんでもない話だが。
最後に
エプスタイン氏がこの世を去った今、これらの解明の鍵を握るのは、明らかに来年予定されているマックスウェル氏の裁判だろう。しかし果たして正常に行われるのだろうか。
トランプ大統領はマックスウェル氏について「I just wish her well, frankly,」(ただ彼女が元気でいることを望む、率直に)コメントしていたが、これはどういう意味なのか。
それで思ったのだが、マックスウェル氏のホロスコープは「暴力的な死」が暗示されていなくもない・・・
無事に来年の裁判が開催されることを期待する。
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