史上最高1200万ドルで和解
現地9月15日、ケンタッキー州ルイビル市のグレッグ・フィッシャー市長は、警官に撃たれて亡くなったブレオナ・テイラー氏の遺族に1200万ドル(約12億6千万円)を支払うことで和解したと、複数のメディが報じている。
この和解金額はルイビル市の歴史上、警官の違法行為で支払われるものとしては最大金額とのこと。
City of Louisville will pay $12 million to #BreonnaTaylor's family in wrongful death suit: https://t.co/lseWOgSH1g pic.twitter.com/zzcvfEDpL4
— Complex (@Complex) September 15, 2020
抗議の声が広がる
人の命を助ける緊急救命士だったブレオナ・テイラー氏(26才)は、現地2020年3月13日の深夜、自宅で寝ているときに捜査中の麻薬取締捜査官3名によって8発以上の銃弾を受けて死亡した。
このときの捜査は誤捜査だったことが判明しており、各地で抗議活動に発展していた。
先ごろ大坂なおみ氏がテニスの全米オープンで、ブレオナ・テイラー氏の名前を含む7名の黒人犠牲者の名前入りのマスクを着用していた事が話題になった。
またF1チャンピオンのルイス・ハミルトン氏は、優勝したトスカーナGPで「ARREST THE COPS WHO KILLED BREONNA TAYLOR(ブレオナ・テイラーを殺した警官を逮捕しろ)」と書かれたTシャツでアピールした。
Formula 1 world champion Lewis Hamilton wore this shirt while winning the Tuscan Grand Prix on Sunday — which marked 6 months since #BreonnaTaylor was killed by police.
He said: "There's someone that got killed in her own house. And those guys are still walking free." pic.twitter.com/KIerOZswWF
— AJ+ (@ajplus) September 14, 2020
誤捜査で犠牲に
事件の経緯については以前書いたので、そちらも併せてご参照いただければ。
麻薬の捜査中だった3名の警官が、実際は事件に関係のなかったテイラー氏のアパートに深夜ノックなしで押し入り、一緒に寝ていたボーイフレンドが自己防衛のために発砲したことで警官が20発以上応射し、そのうち8発以上がテイラー氏に命中し、命を落としていた。
実際の犯人=ジャマルカス・グローバーは、テイラー氏のアパートから16kmも離れた場所で同じ日に逮捕されている。
また誤捜査により犠牲者が出ているにも関わらず、警察の報告書はほぼ空白で出されていた。
この誤捜査に関わった警官は
ブレット・ハンキソン氏
ジョン・マティングリー氏
マイルス・コスグローブ氏
の3名で、このうちブレット・ハンキソン氏については6月に解雇処分、他の2名については休職のみだった。また警察署長スティーブ・コンラッド氏は辞任をしている。
Just a casual reminder that the cops who killed Breonna Taylor are still walking free pic.twitter.com/VhI1v6aWSu
— Matt “Matt” Watson (@matthwatson) August 30, 2020
警察改革につながる
遺族は、警察による過剰な暴力行為・不当な死・重大な過失などで訴えを起こしていた。今回の和解では、警察の捜査手法についても改革することが含められた。
ノック無しの礼状についてはルイビル市議会で禁止が可決され、法案が米国議会に提出されるという。
また新たにアフリカ系アメリカ人女性のイヴェット・ジェントリー(Yvette Gentry)氏が、暫定的にルイビル警察署長に任命された。ジェントリー氏は初の黒人女性署長だという。
The mayor of Louisville, Kentucky, has appointed a new interim police chief. Yvette Gentry will be the first Black woman to serve in that role, according to a CNN affiliate. https://t.co/nMAnGNGGxR
— CNN (@CNN) September 7, 2020
警察不正は認めず
しかし警察の不正については認めておらず、関与した警官は逮捕も起訴もされていない。また解雇された元警官ハンキンソン氏は、処分を不服として訴えを起こしているという。
遺族側のベン・クランプ弁護士は、ブレオナ・テイラー氏には「Pressure applied,」(圧力がかかった)という言葉しかない、と語っている。
またこの和解に関しては「黒人の前例となる」と言い、「刑事司法制度には完全な正義を求めたい」としている。
またブレオナ・テイラー氏の母タミカ・パーマー氏は、警官の刑事告発を求めているという。
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