万里の長城をも制覇するスケートボード
むかし万里の長城をスケートボードで飛び越えた、ダニー・ウェイというぶっ飛んだライダーがいました。
良い子の皆さん、危険ですので万里の長城超えだけはマネしないでください。(笑)。
ま、それ以前に許可が下りない気がしますが。
スケボー人気が沸騰
スケートボード・ストリートでの堀米雄斗選手や西矢椛(もみじ)選手の金メダル獲得で期待が高まった女子スケートボード・パークは、実力的には岡本碧優(みすぐ)選手だったかもしれませんけど、たまたまハマらなかったためにミスが出てしまった感じでした。
でも他のライダー達に肩車される光景は、いいものを見させてもらった気分です。
今回オリンピックで日本人ライダー達が活躍したことによって、巷のスケートボードスクールや体験会に申し込みが殺到しているみたいです。
金メダル効果、スケボー人気沸騰…「格好いい」体験会や教室に殺到https://t.co/I1Tur0j7Tq#オリンピック
— 読売新聞オリンピック・パラリンピック (@Yomiuri_gorin) July 29, 2021
日陰の存在から一気に太陽の下へ
よくXスポーツなどと言われるサーフィンやスケートボード、スノーボード、BMXなどのジャンルは、残念ながら過去の日本においてはグラスルーツでしか環境が用意されてきませんでした。つまり企業や政治の支援はなく、愛好者や有志達が手弁当で環境を用意していかなければできなかったのです。
上の記事にあるように、これまで日本ではスケートボードは公園などから締め出されてきました。安全面や、公園の器物破損(手すりなど)、またそれらをひっくるめた公共マナーの問題などからです。
今では一般的になったスノーボードですら、一時はスキー場から締め出された時期がありました。コースを滑走制限したり、ライセンス制を強いたり、中には全面禁止のスキー場さえありました。
もちろんそれは多数を占めるスキー愛好家に忖度した政策でした。多勢に無勢、スキーヤーの方が圧倒的に優先されたのです。
しかし時の流れというのは愚かな人間の考えとは裏腹なもので、やがてスノーボード人気が沸騰し、それに対してスキーヤーが減ったため、環境側が方向転換せざるを得なくなったのです。背に腹はかえられないんですね。
今だから言えることですが、過去の日本には新しいチャレンジに対するアンテナとか度量がありませんでした。
アメリカの戦略
面白いのですが、こうした新しい市場経済というのは創り出すものであり、アメリカはそれをしてきたのです。
練習できる環境作りはもちろんですが、アメリカは単にスポーツとしてだけでなく、ギアやファッションやアート、映像、カルチャーなどもひっくるめたライフスタイルとして打ち出していきました。もちろんそれはスケートボードに限りません。
その戦略の中には、メディアがリードしてXゲームのような巨大な大会を毎年運営したり、スポーツメーカー・アパレル・ゲームなどもぞくぞく参入して、世界中を巻き込んで一丸となって大きなピラミッドを作り上げていくかのようでした。そして長い年月をかけて巨大なマーケットへと成長させてきたのです。
メディアが出来上がります。スポンサーが付きます。メディアには専門のフォトグラファーやエディターが要ります、解説者も要ります、イベント屋も絡みます。DJや音楽ももちろんです。屋台もあるでしょう。仕事や雇用が生み出されていきます。それ専門の学校なども出来るかもしれません。
また副産物として、起業を目指すアントレプレナー達が参入しやすい土壌も出来上がっていったのです。Tシャツ一つ・ニットキャップ一つで参入できるマーケットが出来ていきました。
そして必ず、トニー・ホークやマーク・ゴンザレスなどといった、憧れのスケーター達の存在がありました。彼らはアイコン化していったのです。それらは肖像ビジネスになります。
日本の閉鎖的環境
一方、これまで公園から締め出されてきた日本のスケートボーダー達は、やむなく自分たちで場所を捜したり手製で作ったり、志のある人たちが用意した民間の施設などで練習してきました。
お世辞にも整ってるとは言えないそのような環境の国の中から、五輪でアメリカ選手を凌いでメダルを取る選手が出てくるのですから世の中は興味深いです。
金メダルを獲った四十住(よそずみ)さくら選手は、地元の和歌山でスケートボードを練習する場所がなかったため、隣の大阪やさらに遠い神戸まで、母親が運転して送り迎えをしながら練習してきたとのことです。
挙げ句の果てに、自宅の庭にコンクリートを敷いて練習場を作り、赤ん坊のいる隣人から新生児の間は勘弁してくれと頼まれた件が「美談にするな」と逆に炎上してますが、元はと言えば環境がなかったために、やむにやまれずと言うのがあったかもしれないです。(まあ迷惑には変わらないですが)
四十住さくらの母、夢支えるため赤ちゃん誕生の隣人に手紙「どうか滑らしてもらえないでしょうか」 https://t.co/0SQRmrHQkk #tokyo2020 #東京五輪 #olympics pic.twitter.com/IN8lUFDnZU
— スポーツ報知 五輪取材班 (@hochi_sports) August 4, 2021
有能か無能か
五輪特需でスクールや体験会が盛況している――スケートボードをスタートするのに、まずスクールというのが日本人的です。本来、もっと手軽にできるアイテムだったはずです。
おそらく今後、二匹目三匹目のドジョウを探しにいろいろな企業が参入し、また場合によっては自治体などもバックアップしてくるかもしれません。
ただ、だとしてもまるで受け身であり、市場を創り出してはいません。これが有能なのか、はたまた無能なのかは皆さんの判断にお任せします。
これだけは言えるのは、これまで根っこを絶やさず引っ張ってきたのは、有志達なのです。そこには「スケートボードが大好き」という揺るぎない心があっただけです。
日本ではやっぱり野球なのでしょうか。もちろん個人的に野球は好きです。ただ野球人口は衰退の一途をたどっています。メジャーリーグでさえ人気が低迷しています。日本人プレーヤーの大谷選手を持ち上げてなんとか盛り上げようとしていますが。
そして相変わらず高校野球は根性論です。エースは灼熱の甲子園で何百球投げるのですか?負けてもライバルから肩車はありますか?
そこに未来はありますか?
最後に
・・・さて、ダニー・ウェイが飛んだような万里の長城での巨大ジャンプランプの建設や、そのための中国への許可申請は、今後日本でも起こりうることでしょうか。
アメリカはやっぱりデカいんだなあという気がします。
いろんな意味で。
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