コロラド州最高裁、トランプを投票から除外しろと判決――各所の反応まとめ

United States Federal Government, Public domain, via Wikimedia Commons

コロラド州最高裁「トランプを投票から除外しろ」

コロラド州が、2024年の投票用紙からドナルド・トランプ氏の名前を記載しないとの決定を下したことに対し、さまざまな反応が出ています。

これは12月19日にコロラド州の最高裁判所が判決を下したもので、合衆国憲法修正第14条3項を理由に、トランプ氏を投票用紙から除外する決定をしたものです。

「コロラド州最高裁は、ドナルド・トランプ前大統領を2024年の投票対象から外すという衝撃的な判決を下した」↓

合衆国憲法修正第14条3項

以前も書きましたが、修正第14条3項は”暴動や反乱に関与したものは、二度と公職に就くことが出来ない”と規定したものです。

今回のコロラド州最高裁の判決は、トランプ氏が2021年1月6日の国会議事堂乱入事件を主導した、という理屈の上に成り立っています。

そもそも修正第14条は、南北戦争後(1860年代)に成立したもので、反乱を起こした南軍の軍人や指導者が公務員職に就くことを禁じる目的で制定されました。

つまりコロラド州最高裁は、トランプ氏が国会議事堂の反乱を起こしたと勝手に設定したわけですが、これまでそのような事実が証明された事はありません。

それどころか、この件の弾劾裁判でも無罪になっています。

Second impeachment trial of Donald Trump /Wikipedia

左派メディアでさえ「驚くべき判決」と言っている

しかも同様の設定でトランプ氏の出馬無効を訴えていた訴訟を、連邦最高裁が今年10月に却下しています。↓

最高裁、トランプの大統領選出馬を阻止する訴訟を却下――反トランプ派の負けが決定

2023年10月3日

なのでコロラド州最高裁の判決は、簡単に言えば「嫌がらせ」以外の何ものでもないでしょう。

それともう一つは「トランプ大統領再選をなんとしても阻止したい」ために、憲法を無視してでも押し通したいという左派の”藁をもすがる”願いからきていることは間違いない。これは法治国家への冒涜です。

その証拠に、左派メディアの筆頭格であるCNNでさえ「stunning decision=驚くべき判決」と見出しを付けています。

ちなみにこの判決は1月4日まで保留され、トランプ氏が連邦最高裁に上告するまで保留されることになっています。

当然のごとくトランプ陣営は、コロラド州判決を受けて連邦最高裁に「速やかに上告する」と表明しています。

民主党の反応

この判決についてジョー・バイデン大統領は、トランプが「1月6日の反乱を支持した」と述べました。

同じく民主党のカリフォルニア州のエレニ・クナラキス副知事は、2024年の投票からトランプ氏を除外するため「あらゆる法的選択肢を検討」するよう求めました。

クナラキス氏は12月20日付けでシャーリー・ウェバー州務長官宛に書簡を送り、「この決定は、わが国の法の支配を尊重し、民主主義の基本的支柱を保護するものである」と述べ、コロラド州と同じ理由で前大統領が投票に不適格かどうかを「判断する義務がある」と述べました。

いったいどちらが法の支配を遵守しているのか。

共和党の反応

共和党の大統領予備選に立候補しているビベック・ラマスワミ氏は、この判決を「民主主義への攻撃」と非難し、共和党の候補者全員が名前を削除すればいい、そうすればこの判決の効果は無効だ、と他の共和党候補にも呼びかけました。

これに対してコロラド州の共和党は、予備選は行わずコーカス制に変更するから必要ない、と返信しています。コーカス制とは、共和党内の党員メンバー過半数で決めるものです。

マイク・ジョンソン下院議長は「この判決は薄っぺらな党派攻撃に他ならない」と述べ、「最高裁が覆してくれると信じている」と述べました。

テキサス州のダン・パトリック副知事(共和党)はコロラド州の裁定に「だったらバイデンの名前こそ外せ」と反撃しました。

「ジョー・バイデンが大統領になってから800万人の国境越えを許したのだから、テキサス州では投票から外すべきだろう」

法律専門家の反応

元連邦検察官のフランシー・ヘイクス氏はFOXニュースの番組で、コロラド州最高裁の判決は「ゴミのような内容だ」とコキ下ろしました。

「本当に衝撃的な意見だ。私はこれを読みましたが、数百ページにも及ぶゴミのような内容です。憲法のどこにも、これを擁護するものはない。」

「実際、コロラド州の選挙で選ばれたわけでもない4人の判事が、3億数千万人のアメリカ国民のために行ったことは、裁判も陪審員もなく、適正手続きもせず、トランプ前大統領が犯罪を犯したと決定したのです。この4人は、南北戦争後に成立した憲法修正第14条を理由に、トランプ氏がこの犯罪を犯したので投票から外すべきだと決定したのだ。それは適用できない。これまで一度も適用されたことがない驚きの決定です。」

憲法学者のジョナサン・ターリー教授は、「1月6日は抗議であって、反乱ではなかった」と述べ、コロラド州最高裁の判決は「トランプ大統領を阻止するために憲法修正第14条第3項の意味を拡大解釈した」と述べました。

そして連邦最高裁が結論を出す可能性が高いのは朗報だ、としています。

ハーバード大学法学名誉教授のアラン・ダーシャウィッツ氏は、コロラド州最高裁の決定を「不合理だ」と非難し、これほど反民主的で違憲な判決は見たことがない、と述べました。

「私は法律を教え、実務に携わって60年になるが、これほど反民主的で違憲な判決は見たことがない。バカげている」

そして自分がトランプ氏の代理人弁護をしたいとまで言っています。「私はすぐにでもそうしたいが、家族の意見を聞かなければならない」

ちなみにダーシャウィッツ氏はトランプ弾劾の時、トランプ氏の弁護を担当しました。

その他の反応

元FOXニュースの人気アンカーで、メラニア・トランプ夫人から副大統領に推されているタッカー・カールソン氏は、

「1月6日はトランプ主導の暴動ではなかった。群衆は銃を持っていなかった。政府を転覆させる計画もなかった。そのような事実はこれまで出てきていない」

「そして何よりも、トランプはそれを主導していなかった。彼は当時、何マイルも離れたホワイトハウスにいて、冷静さと非暴力を呼びかける公式声明を発表していたのです」

「では、なぜテレビではトランプが暴動を主導したと言っていたのか?・・・これはもちろん非常に明白なウソだったのです」

そして「アメリカ的ではない」と批判し、

「まさに民主主義の終わりのようだ」

エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領は、コロラド州最高裁の判決記事を引用し、

「アメリカは”民主主義”について、他の国に説教する力量を失ったな」↓


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