ジュリアン・アサンジの身柄引き渡し裁判
ジュリアン・アサンジ氏の身柄引き渡しに関する裁判が大詰めを迎えています。
ウィキリークスの創設者であるアサンジ氏は、機密文書漏洩などの罪で米司法省から起訴され、アメリカ側が引き渡しを求めています。
アサンジ氏は2019年から4年半以上にわたってロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されており、このたび弁護団が最後の手段と言われる申し立てを行った。
弁護団は、身柄を引き渡すことはイギリスの法律に反すると主張した。
この申し立てが却下されれば、アサンジ氏は数週間以内に送還される可能性があるという。そして最高で175年の禁固刑に処される可能性があると言われています。(実際には6~7年だろうとの見方もありますが)
ヨーロッパ各国のジャーナリスト組合や国際ジャーナリスト連盟(IFJ)は、アサンジ氏の釈放とすべての容疑を取り下げるよう要求している。
これはメディアの自由と言論を封じる権力側との戦いです。
Wikileaks founder Julian Assange in last-ditch bid to avoid US extradition https://t.co/H4Hju8ytJv
— BBC News (World) (@BBCWorld) February 20, 2024
ウィキリークスについて
ウィキリークスは非営利団体として2006年10月に設立されました。
その活動は、政府による人権や自由の侵害を暴露する文書やメディアを公開しており、その数は1000万件以上だという。
その存在が一躍脚光を浴びたのは、イラク戦争のさなか2007年7月12日に、米軍のヘリコプターによる爆撃でロイター通信の記者2名と一般民間人が死亡した時の映像を公開した時でした。
この映像でヘリに乗っていた兵士が犠牲者を笑っていた様子が映っており、世界中に拡散されて物議を醸した。
これです。
まったく武装してない人を平気で撃ってる↓(声は一部編集)
Julian Assange's extradition is being sought for such revelations as the 'Collateral Murder' gunning down of civilians including two Reuters journalists – he faces a 175 year sentence if extradited for his publishing
UK Court hearing concludes Wed 21 Feb, London #FreeAssange pic.twitter.com/jveiM1YFUU
— WikiLeaks (@wikileaks) February 20, 2024
その後もケニアやサムエルジ社による汚職、CIAのサイバー戦争や監視ツールの暴露、国家安全保障局によるフランス大統領の監視を暴露する文書なども公開してきた。
そして2016年のアメリカ大統領選挙では、民主党全国委員会(DNC)とヒラリー・クリントン陣営のメールを公開し、大騒動になった。このメール公開によりヒラリー陣営はライバルのバーニー・サンダース候補を貶めようと画策していたことがバレた。
ちなみにこのメールを暴露したのは当時民主党のスタッフだったセス・リッチ氏だと言われており、その後リッチ氏は何者かによって殺害された。
リッチ氏殺害はいまだに解決していませんし、FBIはリッチ氏のノートPCの提出を拒否し続けています。
このようにウィキリークスは、国家や企業の機密を暴露し、透明性を高め、報道の自由を支援し強化する一方で、強大な組織に挑戦してきたことで数々の賞を受賞し、称賛されてきました。
アサンジのこれまでの経緯
米国のアサンジ氏に対する告発は、2010年にウィキリークスが陸軍情報分析官チェルシー・マニング氏によってリークされた約50万件の軍事・外交機密文書を公開したことに端を発します。
このファイルには、隠された外交取引が暴露され、イラク戦争とアフガニスタン戦争での民間人の死に関する暴露も含まれていたという。
それとは別に2010年8月に、アサンジ氏にスウェーデン当局からレイプ疑惑で逮捕状が発行されました。
アサンジ氏はスウェーデンを離れてイギリスに移り、自首しますが保釈が認められました。その後イギリスの裁判所がスウェーデンに引き渡す判決を下したため、アサンジ氏はロンドンのエクアドル大使館に亡命しています。
けっきょくスウェーデンのレイプ容疑に関しては2019年10月に捜査が打ち切られています。
エクアドル大使館には7年ほど滞在しましたが、2019年4月に亡命が取り消されたため、ロンドン警視庁により逮捕されました。
その数週間後、米司法省はアサンジ氏を、マニング氏と共謀して国防総省のシステムをハッキングし、イラクとアフガニスタンでの戦争に関する秘密の外交公電と軍事ファイルを公開したとして18の罪で起訴しました。
身柄引き渡し決定まで
2021年1月にイギリスの裁判所は、アサンジ氏が自殺する可能性が高いため、米国への身柄引き渡しはできないと判断しました。
しかし7月に高等裁に控訴され、一審の決定は覆りました。理由は米国がアサンジ氏の身柄安全を保障したためだという。
2022年4月20日にイギリスの裁判所は、アサンジ氏の米国への身柄引き渡しを正式に承認し、同6月17日に当時のプリティ・パテル内務長官が承認しました。
7月1日、アサンジ氏の弁護団が控訴を申し立てました。
2023年6月6日、ロンドンの高等裁判所はアサンジの控訴を棄却した。
2024年2月20日から始まった2日間の公聴会で、弁護団は最後の逆転を試みている。もしこの上訴申請が成功しなければ、事実上イギリス国内におけるアサンジ氏の選択肢は尽きることになるという。
アサンジ擁護の高まり
アサンジ氏への擁護は、ジャーナリスト団体に限らずわりと多い。
アサンジ氏の出身国であるオーストラリア政府は、アサンジ氏の帰国を求めており、議会で釈放を求める動議が可決しています。アンソニー・アルバネーゼ首相は、昨年秋にバイデン大統領とこの件について話し合ったという。
またアムネスティ・インターナショナルのような権利擁護団体や、国境なき記者団を含む報道の自由擁護団体は、上に書いたように以前からアサンジ氏に対する米国の告訴を取り下げ、引き渡し命令を取り消すよう求めています。
さらに法廷の外では抗議デモが拡大しており、支持者、ジャーナリスト、ミュージシャン、ジェレミー・コービン元労働党党首を含む著名な政治家たちが、アサンジ氏への支持を表明するために高等裁判所に集まっていたという。
サポーターたちは「アサンジを自由に」と声を上げた。
Llibertat Julian Assange.#FreeAssange Barcelona. pic.twitter.com/rcIXOeLrTq
— Albano-Dante Fachín (@AlbanoDante76) February 20, 2024
Yesterday evening at The Royal Courts of Justice.
Crowds are already gathering for today's proceedings.
If you can't make it today, you can keep up with all the latest developments on our livestream: https://t.co/BFDmMpmgAc pic.twitter.com/bpRPnkm5FB— Free Assange – #FreeAssange (@FreeAssangeNews) February 21, 2024
公聴会の内容
1日目、アサンジ氏は体調不良のために出席しませんでした。もともと心身両面において体調は懸念されていました。
妻のステラ夫人は、アサンジ氏は肉体的にも精神的にも極度に弱っているといい、米国への身柄引き渡しに耐えられないだろうと語りました。「これがジュリアンにとって最後の審問になるかもしれない。」
「この事件によって、彼の生死が決まる。」
この日の公聴会を傍聴できる人数は限られていたとされ、ジャーナリストは傍聴できなかったという。ウィキリークス編集者のクリスティン・フラフンソン氏は「現代におけるジャーナリストにとって最も重要な事件のひとつを、ジャーナリストが傍聴できないのは不条理だ」と述べています。
アサンジの弁護団の一人エド・フィッツジェラルド氏は、 米国の保証は信用できず、身柄を引き渡された場合、アサンジ氏は著しく不公正で不釣り合いな方法で判決を下される可能性があると法廷に訴えました。
またアサンジ氏の弁護団は、トランプ大統領在任中に 、ロンドンのエクアドル大使館にいたアサンジ氏を誘拐または暗殺しようとしたCIAの陰謀の証拠があると主張したという。
確かに以前からマイク・ポンペオ氏(元CIA長官、元国務長官)はアサンジ暗殺を計画していたとの噂があります。ポンペオ氏は否定していますが。
またスペインの裁判所は、スペインに拠点を置くセキュリティ会社が、エクアドル大使館に滞在中のアサンジ氏をスパイしていたという疑惑を別途調査しているとのこと。
弁護団のもう一人マーク・サマーズ弁護士は、膨大な数のジャーナリストが起訴されることなく米国の機密情報をリークしてきたと述べ、なぜアサンジだけが違うのかと質問したとのこと。
ジャーナリズムの本質とは
まあ「秘密をバラすのはよくない」という意見もあると思いますが、じゃあ自民党の裏金は秘密のままでよかったんでしょうか?
権力のチェック機能としてジャーナリズムがあります。
いま左派メディアといわれる欧米の主流メディアは、その権力側と結託して権力の横暴を秘匿し、あるいは擁護するから始末に悪い。
これは戦時中の日本の大本営発表と同じ構図です。そして安倍政権時の忖度メディアも同じでしょう。
本来、情報というのは風の要素なので、権力には風穴を開けなければいけない。いま山羊座時代から水瓶座時代へ移る過渡期です。
自民党問題もジャニー喜多川問題も松本人志問題も宝塚歌劇団問題も、この時期に出てきた。それは「そろそろ風の時代ですよ」ということを人類に示しているのです。
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