トランプ口止め料裁判、重要証人のマイケル・コーエンが証言――犯罪を証明できたのか

The White House from Washington, DC, Public domain, via Wikimedia Commons

トランプ元弁護士コーエンが証言

最新のニューヨークタイムズ/シエナ・カレッジの世論調査で、重要な激戦州6つのうち5つでトランプ氏がバイデン大統領をリードしていることが明らかになり、左派メディアが嘆いてます。
他の州はほぼ赤か青かで決まっているので、大統領選挙は激戦州を取れるかどうかがポイントですが、その意味で左派メディアが嘆くのもムリはない。

さてそのトランプ氏の口止め料裁判が進行中です。

裁判の重要証人であるマイケル・コーエン氏が5月13日にマンハッタンの法廷で証言しました。

コーエン氏はドナルド・トランプ氏の元顧問弁護士を務めており、このときの口止め料の支払いに直接関わった人物です。

コーエン氏は、2016年大統領選挙が大詰めを迎えていたとき、トランプ氏との不倫関係を主張するストーミー・ダニエルズ氏を口止めするために秘密保持契約を締結し、自己資金を使って13万ドルを支払ったと主張しています。

元ポルノ女優のダニエルズ氏は2006年に有名人のゴルフトーナメントでトランプ氏と不倫関係になったと主張していますが、トランプ氏はこの疑惑を繰り返し否定しています。

コーエン氏は、もしダニエルズ氏への口止め料支払いをしなければ、トランプ陣営の選挙運動にとって「破滅的なものになっていただろう」と証言しました。

ただ法律上、秘密保持契約(口止め料)は違法ではなく、この裁判はトランプ側が「ビジネス記録を改ざん」した罪に問われているものです。

個人で立て替えた

コーエン氏は検察側の証人のほぼラストだと言われています。

しかし今回のコーエン氏の証言はこれまでのものとほぼ変わりなく、真新しい証拠を提示したとは言い難い。

証言でコーエン氏は口止め料について、当時トランプ・オーガニゼーションのCFOだったアレン・ワイセルバーグ氏と支払いについて相談したという。

そして自分が支払うことにしたといい、個人資金を使わずにホーム・エクイティ・ライン・オブ・クレジット(HELOC)を使ったと述べた。妻にバレないようにするためだったという。

そしてコーエン氏は2016年10月27日にダニエルズ氏の弁護士キース・デビッドソン氏に送金しました。ただしその名目は口止め料ではなく「リテイナー(報酬)」としました。

後にワイセルバーグ氏が承認しトランプ・オーガニゼーションからコーエン氏に金が払い戻されていますが、このときに「弁護士費用」としたのが「ビジネス記録の改ざん」だと検察は主張しています。

問題はこれがトランプ氏が指示したものかどうか。

どれも違法ではない

ジョージワシントン大学法学部のジョナサン・ターリー教授はニューヨークポストに寄稿した文の中で、「コーエンは何も新しい情報を提供しておらず、さらに重要なことに、マンハッタン地区検事アルビン・ブラッグの案件を有利にするものは何もない」と書いています。

ターリー教授によるとコーエン氏は、トランプ氏が意図的に詐欺を働き、犯罪を隠蔽したと証言する必要があったが、けっきょくそれを証明できなかったと述べた。

「コーエンは、自分がこの支払いをまとめ、トランプにそれを進めるよう助言したことを確認することに成功しただけだ」

そしてこれはどれも違法ではないという。

けっきょくのところ、どのような犯罪が隠蔽されたのか、なぜ弁護士費用がビジネス記録の改ざんなのか、まったく明らかにされなかったということです。

ターリー教授の予想では、フアン・メルシャン判事は「訴えを却下する裁定を下すはずだ」と言っていますが、判事は強烈な反トランプですしニューヨークの裁判ですからね、さてどうなるか。

https://nypost.com/2024/05/13/opinion/mr-fix-it-michael-cohen-bombs-on-the-stand-offers-no-new-evidence-to-convict-trump/

トランプ政権の首席補佐官になれなかった

コーエン氏は証言の中で、トランプ政権における「ホワイトハウス首席補佐官」の地位を全く考慮されなかったことに失望を表明しました。

コーエン氏は、首席補佐官という役割は「望んでいなかった」と証言したが、「私の名前も入れてほしかった。少なくとも考慮はしてほしかった」と証言しました。

「自分のエゴのためだった」

代わりにコーエン氏はホワイトハウスの法律顧問補佐官の役職をオファーされたというが、それを断ってトランプ氏の個人的な顧問弁護士になることを売り込んだという。

トランプ氏はそれを受け入れ、コーエン氏を個人弁護士に任命しました。

自身のリアリティ番組を企画中

ニューヨークポストによれば、コーエン氏は自身のリアリティ番組「The Fixer」を企画中だと報じています。

Fixerとは文字通り”裏で仕切る黒幕”のことを指すものであり、コーエン氏がトランプ氏の弁護士として働いていた頃のことを映像化する企画だという。

その予告編でコーエン氏は、「私は仕事とプライベートの両方で(トランプの)問題を解決し、その過程で権力と富と名声を手に入れた。そして、私はその代償を払った」とカッコよくナレーションしています。

どうもこの人は目立ちたい人のようです笑。

大嘘つき

コーエン氏はこれまでも裁判所に嘘をつき、銀行に嘘をつき、連邦議会に嘘をつき、国税庁に嘘をつき、そのために刑務所に入ったことがあります。

コーエン氏は2006年にトランプ・オーガニゼーションに入社し、側近になっていきました。トランプ氏は2018年5月までコーエン氏を雇っていた。

2018年8月、コーエン氏は選挙資金違反、税金詐欺、銀行詐欺など8件の罪を認めました。11月にはモスクワにトランプ・タワーを建設する取り組みについて米議会委員会に嘘をついたとして有罪を認めています。

その年の12月にコーエン氏は3年の刑を言い渡され、5万ドルの罰金の支払いを命じられました。

2019年2月、ニューヨーク州最高裁判所控訴部は、同州での弁護士資格を剥奪しました。

つまり大嘘つきで目立ちたがり屋ということか。

ボーナスを減額されたことに激怒

コーエン氏の証言によると、トランプ氏は毎年クリスマスにサイン入りのクリスマスカードと共に年末のボーナスを配る風習があるという。

しかし2016年のボーナスはコーエン氏にとって屈辱だったと述べた。

この年コーエン氏は口止め料を個人で支払ったにも関わらず、ボーナスが3分の2に減額されていたと述べ、怒りを露わにしました。

13万ドルを支払ったのに払い戻しがなかったことに個人的に傷つき、侮辱されたと感じたという。

「私は本当に侮辱され、個人的に傷つき、理解できず、意味がわからなかった。選挙運動やトランプ・オーガニゼーションが彼を守るために13万ドルもの資金を提供したことを考えると、私への恩返しがボーナスを3分の2に減らすことだったのは侮辱的だった。」

雇い主を裏切る秘密録音

さらにコーエン氏は、トランプ氏との会話を秘密に録音していたテープを証拠として提出しました。トランプ氏はこの会話が録音されていることを知らなかったという。

しかしこの録音はほとんど証拠にならず、コーエン氏の説明もまったく辻褄が合わなかったらしい。

それよりも自分の雇い主を密かに録音していたという「裏切り者っぷり」の方が注目されている。

元ニュージャージー州の上級裁判所判事だったアンドリュー・ナポリターノ氏はNewsMaxの番組で、「彼が前大統領を録音していたことを明かしたのは、少し驚かされた」と語りました。

ナポリターノ氏はコーエン氏の信用性に疑問を示し、「彼は以前にも宣誓の下で嘘をついたことを認め、そのために刑務所に入った」と述べた。

「彼はドナルド・トランプを憎み、政府の望むことを言うだけの常習的な嘘つきなのか?」

「トランプが好きでも嫌いでも、こんなことはあってはならない」

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