世界的人気DJ・アヴィーチーは自殺だった――キャリアの成功と内面の葛藤

4月20日、EDM界の人気DJであり音楽プロデューサーのアヴィーチー(Avicii)=ティム・バークリング氏が死去したというニュースが駆け巡り、音楽シーンを揺るがせた。28才のアヴィーチーは滞在先のオマーンで亡くなったという。

その後、彼の家族によって死因は自殺だったことがほのめかされた。また最新の情報では、自らガラス瓶を割り、その破片による自傷死だったと報じられている。

20代前半でスーパースターに

スウェーデン出身のアヴィーチーは、10代から自作のトラックをMy Spaceに投稿していた時に見出されたという。2010年にリリースした「Seek Bromance」は10数ヶ国のチャートでトップ20を記録した。その後もマドンナ、レニー・クラヴィッツ、ザック・ブラウン、コールドプレイなどとコラボレーションし、ダンスミュージックシーンにおいてヒット作品を生み続けた。

Girl Gone Wild – UMF Mix (Live From Ultra Music Festival)/MADONNA vs. AVICII

2013年に発表した「Wake Me Up」はフォークソングとカントリーミュージックとEDMをミックスさせたテイストで、この場違いな取り合わせが当初ダンスシーンで不評だったようだが、いざフタを開けてみればまたたく間に全米1位を獲得し大ヒットとなった。こうしたミスマッチなコンビネーションを上手くミックスした彼のセンスが発揮された形だ。

Avicii – Wake Me Up (Official Video)

やがてアヴィーチーは高収入DJの常連となり、DJライブ1回の出演料が25万ドル(約2700万円)と言われ、20代半ばにしてハリウッドに16億円の豪邸を獲得し、世界的スーパースターとなった。

過酷な生活が身体とメンタルを蝕む

一方で、その成功とは裏腹に体調の問題があった。

21歳で急性膵炎を患い、2014年胆嚢と虫垂を切除している。2013年にはタイム誌に「パーティーをし過ぎて飲みすぎている」と語っており、2016年には健康上の不安から今後はツアー活動を行わないことを表明。2017年10月26日に「Avicii: True Stories」と題してNetflixで期間限定で公開されたドキュメンタリーの中でも、友人であり監督であるレヴァン・ツィクリシュヴィリに体調への不安を語る場面があった。
wikipediaより

彼が20代で胆嚢と虫垂を切除するに至ったのは、過度のアルコール摂取が原因だというが、それはよくある、若くして名声を手に入れたことによる慢心や、浮かれたパーティー気分のようなものではなかったようだ。

実際のアヴィーチーはシャイで繊細だったという。人前に出るときの緊張を和らげるために飲んでいたといい、なによりまだメンタル的に成長過程である20代前半で突如訪れた世界的ブレイクに、彼自身が戸惑っていた。
1年に250日ものライブをこなす日々、しかも世界中を駆け回るためライブのない日は移動に費やされ、一方で制作のために60時間もスタジオに籠る生活に耐えられなかった事などが、彼の肉体や精神を追い詰めていった。それらから逃げるためにアルコールにどっぷり浸かった。

移動のバスで寝て、酒を飲むという過酷な生活は、すぐにアヴィーチーの肉体を破綻させていった。2012年に急性膵炎が襲い、入院を余儀なくされる。そして医師から胆嚢の切除を勧められて、ようやく1年後の2014年に手術を受けた。2015年に復帰した時に、激ヤセした姿は関係者を驚かせた。

カムバック、そして突然の最後

そのためついに2016年にはライブシーンから姿を消し、その後は作品リリースのみの活動になっていった。マネジメントやレーベルを変えて音楽制作に専念し、2017年夏に新作がリリースされた頃には元気を取り戻していた様子だったという。

4月8日、彼は友人のいるオマーンに旅立った。この時は長時間に及んだレコーディングを終えて、友人とゆっくり過ごすためのものだった。実際オマーンではカイトサーフィンやセイリングを楽しんだ。しかし仕事に対しても前向きであり、オマーンに滞在中もスタッフたちと打ち合わせのメールをやり取りしていたという。

回復しポジティブな雰囲気の中で、彼は自ら命を絶った。

遺族によれば「彼は意義や人生、幸せについて悩んでいた」「彼はこれ以上続けることができなかった。安らぎを見つけることを望んでいた」と公表された。

物質的な成功と精神的な葛藤のバランス

人も羨むような才能と成功を手に入れる同時に、内面では消化しきれない葛藤を抱え、その結果として自らの肉体を犠牲にするというのは、日本でも明治~昭和初期に優れた作品を残した多くの文豪たちが、自ら命を絶っていることからも分かるように、古来より人間という生物にありがちとは言え皮肉なことだ。

クリエイティブな才能は人間の内面の奥深いところから生まれるもので、作者の内面がセンシティブであればあるほど、そこから生み出される作品は多くの人の心を打つ。なぜなら、人にはないその多様な感受性が作品に投影されるからだ。その理屈からすれば、普段何も感じずに「のほほん」と生きている人間や、お金という物質を主目的としている人間からは、優れた芸術作品は生まれない。
物質と創造性は対極のものである。

「ピュアすぎた」などというような、よくあるお慰みのワードを並べても何の意味もなさない。いくら地球社会で成功しようが認められようが、個人としての彼は内面の葛藤と常に戦わなければいけなかったし、それは時に代償として、成功度に比例するほど自分では抱えきれないものになることがあり、実際アヴィーチーは自傷という形でしかそれを決着させることができなかった。

科学の無力さ

それに対して現代の医学や科学は、環境や教育や栄養や過去のトラウマなど、三次元的で現実的な後天的事象にしか原因を求めようとせず、「お酒をやめるべき」「仕事量を減らしてリラックスできる時間を持つべき」「人間関係を改善すべき」「教育システムの改善」などと目に見える対策を述べることしかできなかった。もちろんそれらを否定するわけではないが、はたしてこれまでそうした対策がなんらかの有効性をもたらしただろうか?――依然として心の問題が原因での自殺は後を絶たない。

また科学は、そうした心の問題は本人が生まれ持った個性や特性だと認めようとはしない。もちろん脳の特性などの研究などは進んでいるが、依然として上のような後天的事象にのみ答えを見出そうとしているように思えるがどうだろう。なぜなら「原因はこれだからこうすれば治る」という三次元的な理屈をつけることができなければ、お金や評価という結果に結びつかないからではなかったか。

心の葛藤に画一的な有効手段などはない。たまたま個々のケースにおいてテンポラリー的にハマることがあったかもしれないが、すなわちそれが万人に有効なわけではないのは、結果が示している。
全てはそれぞれの個人の個性だ。

アヴィーチーのホロスコープ検証

長くなったがアヴィーチーのホロスコープを見てみる。
残念ながら生時がわからないので、あくまでサインと天体のみによる考察だ。

アヴィーチー:出生ホロスコープ

アヴィーチー:出生ホロスコープ

この世代の特徴的な配置として、山羊座の初期に土星・天王星・海王星が集まっていることが挙げられる。このエネルギーはビジネス的なことで発揮されるのを暗示するが、彼の場合も例外ではなく、普通じゃないイメージ力と革新的なエネルギーがビジネスにおいて多大な結果をもたらした。

また2008年以降、この山羊座に冥王星がずっと影響を与え続けたことが、彼の実績をさらに過大なものにしたのは間違いないだろう。まさに錦織圭世代である。

一方においてこの世代的配置はアヴィーチーの場合、天秤座にある水星を過度に刺激することにもなる。もともと彼の水星は、関わる天体がハードでありしかも過剰で、言ってみればオーバーハングしているような状態だった。ただでさえこの水星は、多くの情報をピックアップし、それをイメージ化することができ、彼の器用さにつながり、それがビジネスにおいて結果をもたらすことができたが、それはネガティブな刺激とも表裏一体だった。

トランジットの冥王星はそれを過剰にし、ついにパンクさせてしまった。
錦織圭も同じで、彼も絶頂期において不運にも怪我に見舞われた。

水星は神経系統を司るため、あまりの負担は神経を消耗する。上述のように彼の水星は、明らかに度を超えて負担がかかっていた。周囲からの期待、いい作品を作るという呪縛、ビジネスで結果を出すという周囲からの負担・・・そうしたものが一気に彼をワーカホリックのような状態に押しやったと言っていい――時代がそうさせた。

彼の太陽や火星は乙女座にある。これは彼が「周囲の要求に答えたい」またそれができる実務能力を示す。だからこそ、それにのまれてしまわなかったか?

作品の中でアヴィーチーは「一緒に仕事をする人や僕のことを知っている人には、隠さずに打ち明けているんだ。僕が不安を抱え、頑張っていることをみんな知っている。だから周りからもっとライブをやるように圧力をかけられるとは思っていなかったんだ」と語っている。「みんな僕の体調が悪いのを見てきた。でも僕がライブをやめたいと言ったときにはみんなが反対した。『もうプレイはできない。僕は死んでしまう』ってみんなに言ったんだ。何度も何度もね。だから僕はもっとライブをやるべきだなんて意見は聞きたくない」。
アヴィーチー、ドキュメンタリー作品で苦悩を語っていた/ELLE online

天体が作る進化と世代の不変的サイクル

EDMというジャンルは最近耳にすることが多いが、それはDJ技術のテクニカル化がもたらした産物だ。その昔DJは、極めてアナログなスクラッチ技術から、やがてサンプリングという技術に発達しそれがリミックスを生み、現在のEDMという流れを作った。以前アナログ音源を重ねて重ねて作っていたものが、今はボタン一つでどんな加工も可能で、それは技術革新=つまり天王星がもたらした恩恵だったろう。

それらの技術が飛躍的に伸びていったのは1980年代後半~90年台にかけてで、つまり彼の生まれた世代であり、不思議なのはその時代に生まれた世代が、その技術を駆使して本格的な時代の流れにすることができるということだ。

これはまさに天体エネルギーのもたらすパワーと言っていい。

つまり天体は時代の流れを作り、そしてその時に生まれた世代が、やがてその流れを本格的なものにしていく、という地球上で不変のサイクルである。

 

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2023年4月1日
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