シューベルトもリストも影響を受けた――「悪魔」と呼ばれた伝説の天才バイオリニスト、ニコロ・パガニーニ

デビルと呼ばれた男

1840年の今日5月27日、ある天才バイオリニストがこの世を去った。

狂気の超絶バカテク男、ニコロ・パガニーニである。そのあまりにテクニカルな演奏技術は「悪魔に魂を売り渡した代償として手に入れたもの」と噂され、”デビル”と呼ばれた。

当時そんな事がまともに信じられていたのか、パガニーニの演奏会では、足が付いてるか見に来る観客までいたという。またある演奏会前に釘を踏んでケガをしたが、そのまま演奏を始めた。それは観客にちゃんと足があることを示すためだったとか。

パガニーニにはその容姿や言動も”デビル”と言われる要素があったようだ。目付きが鋭く浅黒く痩せていて、ギャンブル好き・女好き・冷酷・ケチ・欲深い・などである。

映画化も

クラシック音楽の知識が全くない筆者でも、パガニーニの名前は知ってた。エディ・ヴァン・ヘイレンなどで有名な「ギターのライトハンド(タッピング)奏法のルーツをたどると、パガニーニに行き着く説」が割とマジかもと思ってる。(そんな説あるのか知らないけど)

パガニーニはその伝説っぷりから、映画化もされている。『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト(原題:Der Teufelsgeiger)』という2013年のドイツ映画だ。

この映画でパガニーニを演じているのは実際のバイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットで、人気モデルでもあるイケメン。この映画でギャレットは主演・製作総指揮をこなし、劇中、5億円の名器「ストラディバリウス」で演奏している。

David Garrett (Niccolo Paganini) Caprice 24 [The Devil’s Violinist]

その超絶テクと秘密主義

パガニーニのバイオリンの超絶テクは、当時シューベルトもインスパイアされたという。またピアノの名手・リストは、若い頃にパガニーニの演奏を見て「自分はピアノのパガニーニになる」と、ピアノテクニックを研鑽したそうだ。

ある演奏会ではパガニーニのバイオリンの弦が次々と切れてしまい、最後に残ったのはG弦のみだったとか。しかし残った1本でそのまま演奏を続け、崩さず最後まで演りきった。ただこれは、パガニーニの自作自演だとも言われている。爪を伸ばして自分でハプニング的に弦を切り、「1本でもやれますが」的なパフォーマンスだったとも言われる。

パガニーニは演奏に関しては徹底した秘密主義で、自分の譜面を晒さなかった。演奏会でさえ、オーケストラに直前までパート譜を公開せず、終わった後も自ら回収した。練習でも自分のソロはひかず、本番で初めて聞く楽団員が多かったという。それだけに、その超絶テクのインパクトはあっただろう。上の映画でも演奏員の驚く表情が描かれている。

また死ぬ前に、ほとんどの楽譜を焼いて処分してしまった。わずかに残ったものも遺族が処分したという。そのため現存している楽譜は、彼の死後に書き起こされたものがほとんどとのこと。

N. Paganini Caprice no. 5 | Sumina Studer

パガニーニのホロスコープ

ニコロ・パガニーニ

ホロスコープを見ると確かに変人ぽい。

この図は個人天体がほぼ水と風のスクエアで構成されていて、他の元素は1ハウス射手座に木星・土星があるのみで、彼には哲学があることを示しているが、これだけがぽつんと浮いてる。

ベースにあるのは情感とテクニック、そんな融合だ。多彩なアイデア・応用テクニックが奇跡を起こす、という図でもある。

ただ、さすがに男女関係は破綻していると思われる。パガニーニは若い頃ナポレオン1世の妹=エリーズ・ボナパルト、2番めの妹=ポーリーヌ・ボナパルトと浮名を流したというが、姉妹丼かよ。
そして中年になると梅毒に冒された。

パガニーニがバイオリンを弾き始めたのは5才、しかし13才の頃にはマスターしてしまい、自作の曲で新技法を編み出していったという。水星は蠍座の終わり頃にあってフリー、これが彼の超絶テクの源泉である。しかし、これが死へもつながったのでは。

1840年5月27日、水銀中毒によるさまざまな症状で死去。

「デビル」の悪名から埋葬を拒否され、56年間各地を転々とした挙げ句、ようやくローマ教会から許可が降りて死体が安置された。