パイプライン爆破はバイデンの指示だ
アメリカの著名ベテランジャーナリストのシーモア・ハーシュ氏が、2022年9月に起こったノルドストリーム・パイプラインの爆破事件は、バイデン大統領が指示したと主張したことで世界中に波紋を呼んでいます。
ハーシュ氏は、爆破作戦の計画を知る匿名の情報源を元に、パイプラインはバイデン大統領の直接の命令のもと、アメリカ海軍、CIA、ノルウェー海軍によって行われたと主張しました。
確かにパイプライン爆破は、当初から米国が絡んでいるとの噂がありました。
今回のハーシュ氏の主張はそれを具体的に示したものであり、これがトンデモ話や陰謀論の類いなのか、あるいは真実なのかは今後の展開を待つしかありません。
ちなみにハーシュ氏はニューヨークタイムズ在職時代にウォーターゲート事件を取材し、1969年にベトナム戦争での米軍兵士による「ミライ族大虐殺」とその隠蔽を暴露し、翌年ピューリッツァー賞を受賞しています。一方で今回のように匿名の情報源を使うことでも知られ、批判の声もあるようです。
The bombing of the Nord Stream underwater gas pipelines in the Baltic Sea was a covert operation ordered by the White House and carried out by the CIA, a report by a veteran investigative journalist claims https://t.co/FkXeetL6sl
— The Times and The Sunday Times (@thetimes) February 8, 2023
ノルドストリーム・パイプラインについて
ノルドストリーム・パイプラインは、天然ガスを供給するためにロシア→ドイツまでを結んだバルト海の海底パイプラインで、ノルドストリーム1(NS1)とノルドストリーム2(NS2)の2種類があります。
1997年にロシアのガスプロム社とフィンランドの石油会社Nesteによってプロジェクトがスタートしており、2011年5月にNS1が完成、9月からガスの供給がスタートしました。NS2は2021年9月に完成していますが、まだ稼働はしていません。
EU諸国は、2021年の天然ガス総輸入量の約45%がロシアからに頼っており、かなり依存していたことがわかります。
一方アメリカはノルドストリーム・パイプラインに反対しており、トランプ政権は2019年にロシアを支援する企業に制裁を加えていますし、バイデン大統領も反対の姿勢を打ち出していました。
そんな中、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻し、EUと国際エネルギー機関がロシアに対して制裁を発動、1年以内にガス輸入を3分の2、2030年までに完全に0%にする計画を発表しました。
これにより天然ガスの価格が高騰し、日本にも影響が出ているのはご存じの通りです。
パイプライン爆破事故
ロシア-ウクライナ戦争が続く中、2022年9月26日にデンマークの地質調査所が2つの地震サインを観測しました。現地時間2時3分の最初のものはM2.3、19時3分の2つ目はM2.1でした。
その後パイプラインの圧力が降下し、デンマークの空軍戦闘機がパイプラインのガス漏れを発見しています。
スウェーデンのマグダレナ・アンデルソン首相は妨害行為である可能性が高いと述べ、爆破について言及しました。
デンマーク地質調査所は、検知された揺れは地震で記録されるものとは異なり、爆発で記録されるものに似ていると述べました。
Wiredは衛星画像の解析から、ガス漏れが検出される前の数日間に、現場周辺に現れた2隻の大型未確認船舶を発見したと報じています。
11月18日スウェーデン当局は、漏洩現場から爆発物の残骸が発見されたと発表、この事件は破壊工作だと発表しました。
バイデンの決定
暴露の中でハーシュ氏は、バイデン大統領がパイプラインの破壊を決定したのは、国家安全保障について9ヶ月以上極秘議論されてきた後だったと述べています。
バイデン大統領とその外交チーム(国家安全保障顧問ジェイク・サリバン、国務長官アントニー・ブリンケン、国務次官ビクトリア・ヌーランド)らは、ノルドストリーム・パイプラインに一貫して敵意を示していたという。
というのも、ロシアひいてはプーチン大統領を独占的に儲けさせることになるからです。ガスプロム社はプーチン大統領に従順なオリガルヒが支配しており、その収入はロシア政府の年間予算の45%と言われたこともあったとか。
またNS2が稼働すれば、NS1のガス供給量の2倍が供給されることになるという。
まだロシアがウクライナに侵攻する前、バイデン大統領は「もしロシアが侵攻すれば、NS2はもう存在しない。我々はそれに終止符を打つだろう」と警告を発していました。
というかそれって破壊予告?
ノルウェーとの共同作戦
さてパイプラインへの攻撃方法について、米海軍は潜水艦による直接攻撃を提案し、空軍は遠隔操作の爆弾の投下を検討したという。CIAは「いずれにしても秘密裏に行わなければならない」と主張したとのこと。
CIAのウィリアム・バーンズ長官は、海軍の深海潜水士によるワーキンググループを設置し、潜水士を使ってパイプラインを爆発させるという秘密作戦の計画を練り始めたという。
そしてノルウェーは、この作戦の拠点として最適な場所であり、しかもノルドストリームを破壊することができれば、ノルウェーは自国の天然ガスをヨーロッパに大量に販売することができるようになるというメリットがあった。
そこで作戦メンバーはノルウェーのシークレットサービスや海軍と会談し、どこに爆薬を仕掛けるのが最適かなどの話し合いを持ったという。
ノルウェー海軍は、デンマークのボーンホルム島から数マイル離れたバルト海の浅瀬にある適切な場所を見つけたが、そこでの潜水活動がスウェーデンやデンマークの海軍に見つかる恐れがあったんだとか。そこでノルウェーはアメリカと協力し、デンマークとスウェーデンの高官数名に話しをしたという。
またロシアからの監視を逃れるため、研究開発演習を装って爆破装置を仕掛けることにしたという。この爆破装置には48時間のタイマーを仕掛け、爆発が起こった時にはすでに当事者達は現場からいなくなっていることになる。
バイデンの気が変わる
ところがここまできてバイデン大統領の気が変わります。48時間では演習から短すぎるし、アメリカが関与したことがバレてしまう恐れがあった。
そこでホワイトハウスは、「後で遠隔で爆破できるようにしてくれ」とリクエストを変更しました。これにはノルウェー側も苛立っていたとか。
ところがこの方法には問題が山積みであり、海中のさまざまなノイズで爆破装置が起動してしまう恐れがありました。
それを避けるため、誤って爆破しないような最先端の信号装置を開発する必要があったという。それをソナーブイに仕掛け、空中から投下する作戦が採用されたという。
2022年9月26日、ノルウェー海軍のP8偵察機が日常的な飛行を装い、ソナーブイを投下します。それから発せられた信号は海中を伝わってC4爆弾を起動させ、4本のパイプラインのうち3本が使用不能に陥りました。
というのがハーシュ氏の主張です。
実際のハーシュ氏のサブスタックを読んでみると、かなり事細かく具体的に記述されています。
各国の反応
もちろんホワイトハウスはハーシュ氏の主張を否定しています。
ホワイトハウス国家安全保障会議のエイドリアン・ワトソン報道官は、「これはまったくの虚偽であり、完全なフィクションだ」と述べました。
一方ロシア議会のヴャチェスラフ・ヴォロディン議長は、バイデン大統領を「テロリスト」だと非難し、バイデンとその共犯者を裁く国際調査の基礎となるべきだと述べ、このテロ攻撃によって被害を受けた国々に補償を支払うよう述べました。
ドイツのAfD党は、議会による調査を要求したという。
中国の毛寧報道官は、「ハーシュ氏が暴露した情報が事実なら、それは容認できるものではなく、関係者は責任を負わなければならない。米国は世界に対して責任ある説明をする必要がある」と述べています。
「中国は、ノルドストリーム・パイプラインの爆破を注視している。」
China follows closely the bombing of Nord Stream pipelines. pic.twitter.com/2UBPpl8RSi
— Spokesperson发言人办公室 (@MFA_China) February 10, 2023
どんどん出てくるバイデンのネガティブな流れ
ノルドストリーム・パイプラインの爆破事件はちょうど新月で起こっており、しかも水星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星が逆行中であり、個人的には後に何かを感じさせるものでした。
それが今回出てきたか、という印象です。
奇しくもこの時の天体配置は水星が海王星と絡んでおり、何か陰謀めいたものを予感させると共に、爆発エネルギーの火星はその海王星と連動していたのです。
しかしバイデン大統領にしてみれば、機密文書の持ち出しスキャンダルや、中国のスパイ気球をすぐに撃墜しなかったことで批判されているタイミングで今回の件が出てきており、なんとも流れが悪い印象です。
バイデンの首席補佐官だったロン・クレイン氏がホワイトハウスを去り、トップ経済アドバイザーのブライアン・ディース氏も去ることになり、そしてコミュニケーション・ディレクターのケイト・ベディングフィールド氏も辞めることになりました。
これは「沈みゆく船からネズミが逃げる」の例えでしょうか。
いずれにしてもパイプラインの件が今後どのような展開を見せるのか、そして混沌としてきたアメリカと中国の関係、それに絡んで世界情勢が今後どうなっていくのか、注目していくしかありません。
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