NATO仲間割れ、ポーランドはウクライナへの支援を中止――ゼレンスキーの国連演説が波紋

President Of Ukraine from Україна, CC0, via Wikimedia Commons

ポーランド「ウクライナへの武器供与やーめた」

今まさにカナダとインドがバチバチですが、ウクライナとポーランドも関係が怪しくなってます。

ポーランドは9月20日に「ウクライナへの武器供与を停止する」と発表しました。

ポーランドはウクライナに最も協力していた国だと言われており、これまで320両のソ連型戦車と、14機のMiG-29戦闘機をウクライナに送っていたという。さらに160万人とも言われるウクライナ難民を受け入れており、さまざまな支援を行ってきたもよう。

ある調査機関によると、ポーランドはウクライナに42.7億ユーロ(約6700億円)相当の支援を拠出しているとのこと。

しかしそのポーランドが怒り、マテウス・モラビエツキ首相は在ウクライナ大使を召還して抗議したという。その後「ポーランドはウクライナに武器を与えず、自国の防衛に専念する」と発表しました。

ウクライナ産の穀物輸入禁止が解除されたため

これはEU(ヨーロッパ連合)が、ポーランドを含む中東欧の加盟5カ国へのウクライナ産穀物の輸入を禁止していた措置を15日に解除したことに端を発しています。

これに対してポーランド、ハンガリー、スロバキアの3カ国が、独自に禁輸を続ける方針を明らかにしました。ウクライナの安価な穀物から自国の農家の利益を守るためです。

ウクライナは世界有数の穀物生産国だっただけに、輸出の道が閉ざされていたのはダメージだったようです。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、EUの禁輸解除を「歓迎する」と述べました。

ゼレンスキーの国連演説が火をつける

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日に国連総会で演説し、穀物輸入禁止に反対を表明しました。

加えて、「ヨーロッパの一部の人々は、自分たちの役割を演じているように見えるかもしれないが、実際にはモスクワの役者に舞台を用意する手助けをしているのだ。」と、支援国を暗に批判するような事を述べたのです。

これがポーランドを怒らせ、モラビエツキ首相はゼレンスキー大統領の発言を「開戦当初からウクライナを支援してきたポーランドにとって不当だ」と述べました。

そしてウクライナ大使を呼びつけて強い抗議を伝えたという。ポーランドのパヴェル・ヤブロンスキー外相はウクライナの大使に対し、ゼレンスキーの主張は「真実ではない」と伝えたという。

ウクライナは溺れかけている人のようだ

そもそもポーランド側には「ウクライナのオリガルヒが地元の農家を顧みず、ポーランド市場に穀物を押し付けた」との認識があるようです。これが穀物の価格を引き下げ、政府が価格保証を導入し、最終的に輸入禁止措置をとるに至ったと述べました。

ポーランドの怒りは相当らしく、アンドレイ・ドゥダ大統領は20日に国連総会で記者団に対して「ウクライナは溺れかけている人のように、ありったけのものにしがみついている。」と非難しました。

「溺れている人は非常に危険で、あなたを深みに引きずり込むことができる。単に救助者を溺れさせるだけなのだ。」

まそらそうでしょうね。6700億円も支援してきたのに噛みつかれたんですから。

なんだかなー、ゼレンスキー。

ゼレンスキーの国連演説はガラガラ

実は国連総会でのゼレンスキー大統領の演説は、空席ばかりでガラガラだったようです。多くの各国政府関係者は、退席してしまったという。

どうやらウクライナは国連での注目も薄れており、ゼレンスキー大統領の「支援クレクレ」は、もはやむなしく響くだけなのか。↓

しかしウクライナのメディアはこの演説動画を編集し、より多くの聴衆がいたように見せかけたという。つまりねつ造です。

しかし、その編集でやらかしています。なんとゼレンスキー大統領本人が聴衆の中に写ってしまっているのです。(0:14のところ)↓

これはツイッターXで嘲笑の的になっています。

一部米国議員はこれ以上のウクライナ支援に反発

ともあれ現在米国議会では、10月1日からの新たな政府予算についての交渉が土壇場を迎えつつあります。これが決裂すれば政府機関が閉鎖になる。

そんな中で21日、28人の共和党議員が、ウクライナ戦争に何十億ドルものアメリカの税金を使うことに反対すると表明しました。

これはバイデン政権が、新たに240億ドル以上の援助資金をウクライナに送るよう、議会に要求したことに対する反発です。

この先頭に立ったJ.D.バンス上院議員は、

「昨日、ウクライナをめぐる機密ブリーフィングで、アメリカは無制限の資源で無期限の紛争に資金を提供するよう求められていることが明らかになった。もうたくさんだ。これらと今後の要請に対して、同僚と私はこう言う:ノーだ。」

米国人の半数以上がウクライナの追加支援に反対

8月に行われたCNNの世論調査によると、米国がウクライナにさらなる援助を送ることに反対するアメリカ人が過半数が占めました。

それによると「米国議会はウクライナを支援するための追加資金を承認すべきではない」と答えた米国人は55%で、「承認すべき」と答えた人は45%でした。

NATO加盟国からも反発され、米国議員からも支援打ち切りの声が出ているウクライナの現状は、当初と違って逆風が吹き始めていると言わざるを得ません。

支援金を送っても、一部のウクライナ権力者の私腹を肥やすタネにならなければいいのですが・・・。


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