イチローが引退、日米通算4367安打――その孤高の求道者のホロスコープを考察してみた

日米通算27年間のプロキャリア

イチローが引退だという。
残念だが年齢的なこともあり、アスリートの世界では仕方がないことだろう。

その偉業はあらためて言及するまでもなく、野球を通じて我々日本人に誇りをもたらしてくれた人物であることは異論がない。

日本で9年、アメリカに渡って18年という長きに渡って第一線で活躍し、驚きと夢と感動を与えてくれた。

私の講座ではイチローのホロスコープをサンプルにすることがあり、彼がいかに「持っている」人かを解説したりするのだが、ここでは別の面から取り上げてみようと思う。

イチローのホロスコープ

イチロー

 

イチローのホロスコープはアセンダントが射手座の最初にあるが、ちょっと微妙な位置だ。4分で1度動いてしまうので、測られたタイミングによっては前の蠍座の可能性もある。

1ハウスには射手座の金星と海王星があり、彼が好きな事に夢を抱いて常に自分を向上させていく人であることは明白である。

それを裏付けるかのように、今回の引退会見の中で「貫けたものは?」という質問に対し、イチローは「野球のことを愛したことだ」と答えているが、彼の金星はやはり野球愛なのだと認識させられた。

また、射手座は「海外」でもあるし、そもそも射手座というサイン自体が現状保持を良しとせず、常に向上を目指すサインでもあるので、日本という自分を保護してくれる環境を飛び出してまでも、自己の向上を求めていったのはこの1ハウスならではである。

堂々巡りのような

社会的立場を示す10ハウスには冥王星がある。この冥王星は天秤座5度なので、願望は結果として現れやすく、なおかつ冥王星なので、それは野球界を席巻するものでさえある。

将来を示す11ハウスの支配星が1ハウスに飛ぶので、冥王星がその場の結果を出したとしても、将来のためにまた自己を研鑽することに精進するという、まるで堂々巡りのようなホロスコープになっており、それこそが我々の知っているイチローのイメージにほかならない。

つまり大きな記録を達成しても、それに満足して奢ることなく、あらたな道に挑戦していくという、おなじみのイチロー像をこのホロスコープは表している。

まさに求道者

あらためて1ハウスの金星に注目してみると、これは射手座14度の「グランドホッグ」の度数なので、自分はまだ未熟だと感じる性質だ――あれだけ達成しているにもかかわらず。

すなわちそれが求道者のような、飽くなきネクストステップへのモチベーションになっているかのようだ。またこの金星は、ちょっと緩いけど海王星に巻き込まれるので、短絡的な道を選ばず正々堂々と精進を目指すのである。

ちなみに海王星は、弓子夫人と愛犬の一弓かもしれない。弓子夫人はイチローのためにこれまでオニギリを2800個握ってきたという。オニギリ屋か笑。いずれにしても、そうした目に見えない家族の支えが、彼の自我をサポートしているという印象を持つ。

イチローの太陽

イチローの太陽は11ハウスにあって、隣に天王星があるため、間違いなく孤高の人・自分流で切り開く人といった感じだ。それは日頃のインタビューでも見受けることができるだろう。

メディアの質問に対して、イチローはたいてい「その通り」とか「そうですね」みたいな安易に同意するような言葉は使わない。むしろ質問者に対して否定的な時さえある。必ず自己流があるのだ。それが「イチロー節」と言われるゆえんだろうが。

この天王星は天秤座23度なので、地球上の物理的なものを超えたところから無意識に何かを導いてくるアンテナのような性質がある。

時にこれは常識から外れた事のように受け取られる事もあるが(インタビューでの禅問答のような)、それは見方を変えれば、むしろ周りの人間の方が地上の常識という塀の中に閉じ込められているだけかもしれない。

常識を超える達成ができる者は、常識という塀の中に閉じ込められていないのである。

天秤座と牡牛座の生み出す能力

またこの太陽は、もっぱら現状に甘んじることなく、常に将来を見据えている。彼が「50才まで現役でいたい」などという途方もない将来像を描いていたのも、誰にも縛られずに自己を追求したい現れなのだろう。

ちなみにこの太陽は射手座の恒星ファシーズとパランしており、ちょうど弓の射手のようにターゲットに向かって突き進むことを暗示している。ファシーズは孤高であるが精神性の高い求道者でもある。

イチローの太陽は、5ハウスの火星に180度でアスペクトしている。これは太陽の意志が5ハウスへ向かい、火星の運動能力をアウトプットするいう意味になるが、実はこの180度はサイン違いでの牡牛座とのアスペクトになっている。

これは天秤座というバランス感覚と、牡牛座という少年時代からの繰り返しによって磨かれた五感センスの運動能力が、ワンバウンドの球でもヒットにしてしまうという、イチローの類まれなバッティングセンスを生み出していると思う。

ちなみに天秤座も牡牛座も支配星は金星で、それは何度も書いてきたように1ハウスにある。

自我の曲がり角

現在、イチローの太陽・天王星のある天秤座に対して、トランジットの土星・冥王星が90度になっている。これは「もう自我の曲がり角です」と天から諭しの声が降りてきているかのようだ。上にも書いたように、イチローの天王星はアンテナでもあるので、それを無意識に受信したかもしれない。

イチローは今回の引退会見の中で「たぶん明日もトレーニングしてますよ。それは変わらない」と言っていた。それがザ・イチローそのものであり、上で書いてきた「常に自己を研鑽する」このホロスコープを具現化していると言えるだろう。

ホロスコープは単なる生まれ持ったエネルギーに過ぎない。それを地上でどのように使うのかはその人間の生き方次第だ。逃げようと思えば逃げられる。(ただし逃げたら環境からしっぺ返しが来るが)

その意味でイチローはホロスコープのエネルギーをストレートに発揮してきたと思う。

異なる価値観の架け橋に

最後になるが、イチローの太陽は天秤座28度の「架け橋」の度数だ。これは異なる価値観を結びつける架け橋になるという性質である。日本の野球とアメリカの野球を身近にしたのは、何よりも誰よりもイチローだった。

またイチローは今回の会見の最後の方で、自身の今後についての質問に、日本の野球環境について「アマチュアとプロの壁が特殊な形で存在している」「(親がプロだと)自分の子供を教えられない」「そういうのって変な感じじゃないですか。」などと言及し、「今日をもって元イチローになる」ため、そこに興味があると言っている。

これはイチローのみならず、日本の純粋な野球ファンがこれまでずっと違和感を感じてきた奇妙キテレツなルールであり、彼のような実績のある野球人が、しかも公の場で「よくぞ言ってくれた」と溜飲が下がる思いである。

メジャーリーガーは普通に自分の子供をグランドに連れてきて、バッティングを教えたりキャッチボールなどをする。そういう体験が少年の心にキラキラとずっと刻まれるのは言うまでもないことだ。そういうことから、メジャーリーガーは普通に二世どころか親子三代メジャーリーガーというのもよくある。

ぜひこうした歪んだ価値観に、メジャー流の良いところを持ち込んで、それこそ架け橋になってくれることを期待したいものである。

将来何をするかはわからないが、イチローの今後の活躍に期待したい。

※こういう人のホロスコープは、いくら読んでも読めるものだ。