エプスタインは「自殺する気はない」と繰り返し語っていた――NYタイムズが刑務所記録を入手

ジェフリー・エプスタイン/フロリダ州, パブリック・ドメイン, ウィキメディア・コモンズ経由で

エプスタインの刑務所記録が公開

来週、性犯罪者ジェフリー・エプスタインと共謀したとされるギレーヌ・マックスウェル氏の裁判が始まります。これは全米どころか、おそらく全世界が注目する裁判になるでしょう。

つい先ごろも、イギリスの大手銀行バークレイズのジェス・ステイリーCEOが辞任を発表しました。ステイリー氏はJPモルガンに勤めていた頃にエプスタインの担当をしており、金融監視当局から調査されていた中での突然の辞任でした。

そんな中ニューヨークタイムズが、2019年8月にニューヨークの拘留施設の中で自殺したとされる性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関する連邦刑務所局(BOP)の2,000ページを超える記録を入手したとのことです。

(この記事は有料ですがYahooで読めました)

エプスタインはフロリダ州とニューヨーク州における未成年者の性的人身売買の罪で、2019年7月6日にパリから帰国した際にニュージャージー州のテターボロ空港で逮捕され、メトロポリタン矯正センターに収監されました。

玉虫色の交友関係

起訴状によれば、エプスタインは長年にわたって未成年を含む多数の10代の少女を勧誘し、買春をしていたとされています。

最初の逮捕は2006年、フロリダ州で逮捕され18ヶ月の禁固刑が科されていますが、その後減刑され13ヶ月で出所しています。またこのときの懲役は外出が自由だったとされ、甘い処分に対して非難の声がありました。

エプスタインの交友関係はVIP・セレブ・政界・財界・金融関係・大物有力者・皇室など多岐にわたることが判明しており、これらの人々をマンハッタン・フロリダ・ニューメキシコの牧場・プライベート島などに私的に招いていたとされていて、このことがさまざまな憶測を呼ぶ理由の一つになっています。

それを裏付けるかのように、これまで多数の有名人とエプスタインが一緒に写っている写真がリークされてきました。

その中の一人、エリザベス女王の次男でチャールズ皇太子の弟アンドルー王子は、当時未成年だった女性がエプスタインを介して3回にわたってアンドルー王子との性行為を強要されたとして民事訴訟を起こされています。

アンドルー王子は全ての公職から退きました。

※また最近なにか出ちゃったみたいです↓

一度目の自殺未遂疑惑のあと、死亡

2019年7月6日に二度目の逮捕をされた後、23日にエプスタインは監房内で意識不明の状態で見つかりました。首の周りには絞められた痕跡がありましたが、エプスタインは何も覚えていないと言っています。

その後自殺監視下に置かれましたが、6日後に解かれています。

そして8月10日朝、室内で死亡した状態で見つかりました。検死官はシーツで首を吊っての自殺と判断しています。しかし多くの懐疑論があり、遺族が独自に法的検死官を雇って検死させたところ、他殺の可能性が指摘されました。

「自殺する気はない」と言っていた

ニューヨークタイムズはこれまで何度も公文書の公開請求をしてきたといい、その都度刑務所局は拒否してきたとのこと。しかし提訴に踏み切り、入手に至りました。

エプスタインは36日間拘留されており、公開された文書はその期間中のメモや報告書がまとめられたものです。ただこの文書は大幅に編集されていて、自殺未遂に関する部分などは完全に非公開になっているといいます。

公開されたBOPの文書によると、エプスタインは刑務所の心理学者に「自殺する気はない」と語っていたことがわかりました。「自分自身でそんなことはしない」。さらに「生きていることは楽しい」と述べており、保釈されることを信じていたといいます。

担当の心理学者も、エプスタインは「自殺の意図を断固として否定した」と書いているとのこと。「彼はニヤニヤしながら、なぜ俺が自殺すると思うんだ?俺は自殺なんて絶対にしない、と言っていた」と記しています。

しかし8月10日にエプスタインは亡くなりました。検死で自殺と判断されましたが、果たしてどうなのでしょう。

その他のメモや報告書においても、エプスタインは何度も「自分には生きる意味がある」と語っていたといいます。

裁判文書の公開

7月18日に保釈が却下され、その5日後に一度目の意識不明になっています。保釈却下はエプスタインにとって失望だったと心理学者は分析しています。

しかしその後もエプスタインは自殺願望を繰り返し否定していたといい、自分はユダヤ人であり、自殺は宗教に反すると話していたようです。

亡くなる前の日、ギレーヌ・マックスウェルの裁判で、これまで公開されていなかった文書が公開されることになりました。

その文書は宣誓供述書・警察の報告書などエプスタインが行ったとされる人身売買の詳細が明らかにされていたようで、この文書の公開がエプスタインの精神状態を悪化させた、と心理学的な考察の記録があるようです。

死亡する前の日の電話

9日の夜にエプスタインは電話をかけていますが、誰にかけたかという問いに「母親」と答えたといいます。

しかしエプスタインの母親は2004年に亡くなっており、実際の電話の相手はエプスタインが学費の面倒を見ていたベラルーシのガールフレンド、カリナ・シュリアック氏(当時30才)だったとのこと。

この電話の中で、エプスタインは自殺をほのめかすようなことは言っていなかったといいます。

シュリアック氏は弁護士を通じてこの件のコメントを拒否しています。

看守は居眠り、監視カメラは故障、看守記録は改ざん

エプスタインは30分ごとに警備員が様子を見ることになっていましたが、9日の夜はそれが守られていませんでした。

さらに9日に同室者が他の部屋に移されていますが、代わりの人物は入っていません。

その夜、担当していた2名の看守は眠ってしまい、3時間の間チェックされていなかったようです。またこの日の看守記録は改ざんされ、2台あった監視カメラも故障していたと報じられました。

故障したカメラを検査したのはFBIです。

いよいよマックスウェル裁判

結局エプスタインの死については、公式には自殺ということになるのでしょう。

しかし同室者の移動、看守の居眠り、看守カメラが2台とも故障など偶然いくつもの事が重ったのが不思議です。これが憶測や陰謀論を呼ぶ理由になっています。

いずれにせよマックスウェル氏の裁判は米現地11月29日に始まります。まあエプスタインの死の謎とは関係ありませんので真相が解明されることはないでしょうけど。

ちなみにマックスウェル氏は性的人身売買と偽証罪に問われており、もし有罪になった場合、最大で80年の刑が科される可能性があるとのことです。

今後も続報に期待したいと思います。

ではこの辺で失礼します。

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