最高裁がセクション230を審理
米最高裁判所が、プラットフォーム企業を保護する法律「セクション230(通信品位法230条)」をようやく審理することになったようです。
セクション230は、まだインターネットが発展途上だった1996年に制定されたもので、プラットフォーム上で起こった事について、それを提供する企業の責任を免責するというものです。
つまり簡単に言うと”広場は貸すけど、そこで起こったトラブルについては責任を問われない”というもの。
このセクション230に守られていることによって、SNS上に投稿された誹謗中傷・デマ情報・暴力的なコンテンツ・リベンジポルノなどで人が傷ついたりしても、Twitter、Facebook、Googleなどはこれまで責任を回避することができました。
しかし世界中でこれだけネットが定着した現在、セクション230はすでに考え方が古い法律だとして、一部で見直しが要求されていました。
日本でも女子プロレスラーだった木村花氏が、ネットの誹謗中傷により自殺するという事件がありました。
Supreme Court will hear social media case testing limits of Section 230 https://t.co/0k5NGwvfhB
— The Washington Post (@washingtonpost) October 4, 2022
テロの犠牲になったノヘミ・ゴンザレスさん
今回最高裁が審理するのは、2015年にパリで起きた同時多発テロで、イスラム国(ISIS)の攻撃によって死亡した23才の女性、ノヘミ・ゴンザレス氏の遺族が起こした訴訟です。
American student Nohemi Gonzalez identified as victim in Paris massacre https://t.co/4e3c8IFCTo pic.twitter.com/A7dTmb9UIc
— TODAY (@TODAYshow) November 14, 2015
米国人のゴンザレス氏は、当時カリフォルニア州ロングビーチ州立大学の学生で、交換留学でパリのデザインスクールで学んでいたという。
現地2015年11月13日、パリで125人以上もの死者を出した同時多発テロが起き、ゴンザレス氏は友人と食事していたレストラン「ラ・ベル・エキップ」でISISの銃撃に遭い、殺害された唯一の米国人とされています。
さぞや遺族はいたたまれなかったことでしょう。
SNSがなければISISは成長していない
2016年に父親のレイナルド・ゴンザレス氏は、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提訴しました。
遺族はGoogleが運営するYoutubeが、ISISのグループの動画をアルゴリズムによって推奨したとして、過激派プロパガンダを援助したと主張しています。
「SNSがなければ、ここ数年でISISが世界で最も恐れられるテロ集団に爆発的に成長することは不可能だっただろう」と主張しました。
またYoutubeが収集したユーザー情報を利用して、ISISの動画に興味を持ちそうなユーザーに薦めるアルゴリズムを使用したと主張し、親会社のGoogleがそれを認識していたと訴えています。
「ユーザーがYouTubeで視聴した動画は、ISISが支配するシリアとイラクの一部以外の地域からの支持と、人材を募集するメインのやり方だった」
Google側は「訴状は、テロリストがそのような推薦動画を見ても、パリの攻撃と関係があったとは主張していない」とし、このケースでセクション230を持ち出すのは適当ではない、と主張しました。
もう一つの訴訟も
米現地10月3日に最高裁は、この訴訟を審理すると発表しました。この訴訟は2021年に第9巡回区控訴裁判所によって棄却されていますが、今回審理されることになりました。
さらに最高裁は、同じくセクション230に関連する別の訴訟も審理すると発表しています。
2017年にトルコのイスタンブールのクラブ「レイナ」がISISに襲撃され、39名を銃殺した事件で、巻き込まれて死亡したヨルダン国籍のナウラス・アラサフ氏の遺族が起こした訴訟です。
遺族はSNSがISISの成長を助け、テロ活動を規制する姿勢が不十分だったとして、Twitter、Google、Facebookをテロ幇助で提訴していました。
セクション230によりビッグテックをやりたい放題だった?
プラットフォームを提供するビッグテック企業は、このままセクション230を継続することを求めています。
というのもセクション230で守られていることによって、これまでやりたい放題やっても責任を問われることがありませんでした。
それどころか独自の尺度で検閲を実施し、保守派とくにトランプ氏やトランプ氏を支持する言論を弾圧し、また反ワクチン派の主張をBANするなどバイアスのかかった運営をしてきました。
その一方で、BLMやAntifaなど過激左派の抗議活動を野放しにし、街が破壊されたり多くの被害が出ています。
またバイデン政権と結託して、選挙、コロナ、ワクチン等に関して検閲や言論統制を行っていたことが明らかになっています。
流れが変わるか?
トランプ氏は大統領だった2020年5月に、セクション230の保護を制限する大統領令を出しています。
しかしバイデン大統領が就任し、ソッコーでこれを撤廃しています。
今回最高裁が遺族の主張を認めれば、今後の裁判で同じような判断をすることになっていくと思われ、そうなると流れが変わる可能性があります。
どのような判断になるか注目です。
※当ブログでは主流メディアでなかなか報じられず、検索されない情報を取り上げています。ぜひブックマークなどをご利用ください。またあなたの大切な人や、教えたい人にお知らせ・共有してください。
詳しくは→こちら