国防総省の最高機密文書をリークしたジャック・テイシェイラ――逮捕の経緯とは

U.S. Air National Guard, Public domain, via Wikimedia Commons

機密文書をリークした21才州兵が逮捕

ちょっと大きな事が起こりそうなタイミングに入っていますね。岸田首相演説の爆破事件が起こったのもそれかと思います。

さて米国防総省の最高機密文書がSNSなどにリークされた問題で、21才のマサチューセッツ州空軍兵ジャック・テイシェイラ氏が現地4月13日に逮捕されました。

テイシェイラ氏は保釈金は認められず、拘束されることになったという。

テイシェイラ氏は機密文書を、ゲーマーに人気のチャットアプリ「Discord」に投稿したとして起訴されました。スパイ活動法違反、機密情報の無許可の持ち出しと保持の疑いだという。最高10年の禁固刑が科される可能性があるとのことです。

先日当ブログでも書いたように、リークされた機密文書はロシア・ウクライナ戦争に関する極秘軍事計画が主で、アメリカが外国のスパイ活動を行っていたことが明らかになっており、今後外交問題に影響を及ぼす事が懸念されています。

これは2013年のエドワード・スノーデン氏によるリークよりも大きな問題になると指摘する声もあります。

【大騒動】米軍事機密文書がSNSにリーク、アメリカはゼレンスキー大統領でさえスパイしていた

2023年4月11日

Discordに機密文書を投稿

そもそもこの件については疑問があり、なぜ21才という若い兵士が最高軍事機密にアクセスできたかということ、さらに連邦軍ではなく、テイシェイラ氏が単なるマサチューセッツ州の州兵だったということです。

テイシェイラ氏はDiscord内に「Thug Shaker Central(サグ・シェイカー・セントラル)」という招待制のオンラインチャットグループを開設し、そこの管理者として「Project Zomboid」などのゲームを楽しんでいたという。

このチャットグループは10代を含む若い男性の約30人ほどがメンバーで、その中でテイシェイラ氏は「O.G.」というスクリーンネームで呼ばれていたと言われています。

またグループのメンバーは銃や軍装品の趣味で集まったという。

ニューヨークタイムズによると、テイシェイラ氏は少なくとも2022年10月頃から機密文書の共有をし始め、最終的には数百ページの文書をアップロードしたとのこと。

グループのメンバーによると、O.G.は何らかの方法で機密文書を入手し、グループに投稿したと語っているという。

彼は友人たちに知らせたかっただけ

起訴状によると、アップロードされたほとんどの文書には「TOP SECRET」マークを含む、国防情報を含む米国政府の機密情報を示す分類マークが付けられているという。また外国に公開できない「NOFORN」というマークが付いた文書も多かったと言われています。

テイシェイラ氏は州兵の技術支援スタッフで、サイバー輸送システムの技術者だったと報じられています。この職務はITインフラを扱うもので、情報分析はしないという。

2019年9月にマサチューセッツ州航空州兵の第102情報飛行隊に入隊し、マサチューセッツ州ケープコッドにあるオーティス航空州兵基地に駐留していました。

2022年7月に1等航空兵(E3)に昇進し、FOXニュースによると最高レベルの機密情報にアクセスできる「TS/SCIセキュリティクリアランス」を持っていたと報じられました。

彼はそれをアップロードすることで、情報を提供することと印象づけることが目的だったとチャットグループのメンバーは語っています。

それは当然ながら軍事オタクの好奇心を刺激し、メンバーの誰もがO.G.を尊敬していたという。「彼は漢であり、神話だった。そして伝説でもあった。誰もがこの男を尊敬していた」

「この男はキリスト教徒で反戦主義者で、何が起こっているのかを友人たちに知らせたかっただけだ」「我々のグループには、ウクライナにいる人たちが何人かいます。私たちは格闘ゲームが好きで、戦争ゲームが好きなんです」

興味が無いと怒る

またワシントンポストも、チャットグループのメンバーに詳細な取材をしています。この人物もO.G.(テイシェイラ氏)に心酔していたという。

このメンバーは4年ほど前に別の軍事ファンの集まるサーバーでO.G.と知り合い、そのサーバーがあまりに混んでいたため、自分たちの独立したグループを作ったという。それが「サグ・シェイカー・セントラル」でした。

O.G.はそこのリーダー的存在で、彼が投稿した機密情報をメンバーによく読むように求め、関心がない事が分かると怒ったという。特に若いメンバー達は、軍備品に関するYoutube動画の方に興味が惹かれていました。

O.G.は何度も「交流する気がないなら、投稿をやめる」と怒っていたとか。これが事実なら、かまってちゃんとか自己承認欲求の高い人だったんでしょうか。

そんなことが繰り返された後、O.G.はやり方を変えています。現物を写真に撮って投稿した方が、人を惹きつけるという方法でした。

そこで彼はウクライナの戦況を示す詳細な図や、ウクライナの電気施設に対するロシアのミサイル攻撃の余波を示す極秘の衛星画像など、さらに2月に米国を横断した中国のスパイ気球の写真なども投稿したのです。

そうすることで、普通の一般民間人が知り得ない真実を、仲間に知らそうとしたという。

戦争反対の立場だった

グループのメンバーによると、O.G.は米国政府に敵対しているわけではなく、またどの国の味方でもないと主張していたという。「ロシアの工作員でもなければ、ウクライナの工作員でもない」

実際、投稿していたサーバーの部屋は「bear-vs-pig(熊vs豚)」と呼ばれ、ロシアとウクライナを皮肉ったワードだといい、O.G.自身は紛争に味方をしないことを示すものだったとのこと。

その一方で、O.G.は現政権に対してネガティブな見方をしていたという。米国の、特に法執行機関や情報機関が市民を抑圧し、闇に葬ろうとする不吉な力として語っていたという。こうした「政府の行き過ぎた行為」について批判していたようです。

まさにバイデン政権がやっていることですね。

門外不出だったが、漏れてしまう

ただしO.G.が共有した機密文書は門外不出で、外に漏らすことは禁じられていたという。

メンバーのほとんどはそれを理解していたというが、そのグループにはロシアやウクライナを含む外国人が約半数含まれており、多くの文書にマークされた「NOFORN」に違反するものだったという。

こうした機密情報に最も興味を持っているように見えたメンバーは、主に「東欧圏と旧ソ連の国々の人」だったといい、ウクライナ人も興味を持っていたとのこと。

Discordってよく知らないけど、おそらく匿名チャットでしょうから、そこに流すこと自体、いつかは拡散されますよね。

実際2月28日に「サグ・シェイカー・セントラル」サーバーの10代のユーザーが、YouTuberの「wow_mao」という人物が所属する別のDiscordサーバーに、機密文書の写真を数十枚、投稿し始めたという。

この文書の中には、ウクライナの防衛能力を詳細に評価し、米国諜報機関がロシアの軍事司令部をどこまで見通せるかを示すものもあったとか。

そこから、別のサーバーなどに拡散されたようです。O.G.は3月中旬に文書の共有を止めたというが、すでに時遅し、テレグラムや4chanやツイッターに流れてしまいます。

しかもその一部は、フォトショで改ざんされたものでした。

O.G.は姿を消そうとした

O.G.はグループを閉鎖し、混乱していたという。

そしてメンバーと共に別のサーバーに移り、「身を潜めて、自分に関係しそうな情報はすべて削除するように」と指示したとのこと。

そんな中でも若いメンバーのO.G.に対する忠誠心は失われることはなく、泣くメンバーもいたという。

このワシントンポストの取材に答えた人物は、O.G.が投稿したこれらの機密文書を、世界中の人が見るべきだと考えていると述べています。

それは自分たちの税金がどのように使われているかを知る権利だといい、特にアメリカが同盟国に対してスパイしていたことに憤慨しているからだという。

保守派はテイシェイラを擁護

一部の保守派は、O.G.ことジャック・テイシェイラ氏を擁護しています。

共和党のマジョリー・テイラー・グリーン議員は以下のようにツイートしました。

ジェイク・テイシェイラは白人で、男性で、クリスチャンで、反戦主義者です。
そのため、バイデン政権にとっては敵となる。
そして、ウクライナに軍隊が駐留していること、その他多くの真実を語ってくれました。

本当の敵は誰なのか、自問自答してください。
若い下っ端の国家警備隊員ですか?
あるいは非NATOの国であるウクライナで、戦力もないのに核保有国ロシアに対して戦争を仕掛けている政権でしょうか?

またFOXニュースのタッカー・カールソン氏は

これがワシントンのやり方なのだ。真実を語ることだけが本当の罪なのです。

このグロテスクな基準に反抗するためにこそ、報道機関は存在し、憲法上の保護を受けているのです。彼らの唯一の仕事は真実を伝えることなのに、今夜、ニュースメディアはウクライナで実際に起きていることをアメリカ人に伝えた少年の逮捕を祝っているんだ。まるでウサマ・ビンラディンのように扱われている。

この子は長い長い間刑務所に入ることになるでしょう。
それが基準なのだ。メディアはその基準でいいと思っている。

政権はこの子を特定するために違法な監視技術を使ったようで、その共犯者であるワシントンポストやニューヨークタイムズの助けを借りたようです。

彼らは政府の責任を追及しているのではありません。彼らは、政府が何をしているのか、あなたに知られないようにするために、政府を助けているのです。

左派と右派の温度差

言われてみれば確かに、当初からこの問題は保守系メディアと左派メディアでは報道に温度差があったように思います。

そもそも機密文書リークを最初に報じたのはニューヨークタイムズで、さらにテイシェイラ氏の逮捕をいち早く報じたのもニューヨークタイムズでした。なぜニューヨークタイムズは先行することが出来たのか?だとしたらネタ元は誰?

またワシントンポストは約300枚の機密文書の写真を確認したと言っていますが、そのほとんどが公開されていません。確認されているのは20枚弱と言われています。もしワシントンポストの主張が事実なら、なぜ未公開のものを確認できたのか?そのネタ元は?

また最初に報じられたとき、ロイター通信は3人の米政府高官の話として「ロシアが背後にいる」と報じました。また何でもかんでも「ロシアのせいだー」「ロシアの陰謀だー」ってやつですね。
でも結局21才の州兵でした。

まあ経験上この手のニュースの場合、左派メディアは偏向があるので、個人的には一歩引いて見るようにしてます。(右に傾き過ぎてるメディアも問題ですがw)

日本でも岡本カウアン氏の「ジャニー喜多川の性加害暴露」がTVで報じられないといった偏向がありますけど、どこでも同じ事が起こってるということです。

これらは山羊座時代の弊害なのです。

しかしテイシェイラ氏やカウアン氏のように、リークで対抗するのは水瓶座時代の夜明けです。


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2023年4月1日
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