ツイッターのライバル「Threads」出現も、EUは見送り――個人情報ぶっこ抜かれる懸念のため

Threads, Public domain, via Wikimedia Commons

Threads、EUは見送り

FaceboockやInstagramを運営するMeta社が、ツイッターのライバルとなる短文SNSプラットフォーム「Threads(スレッズ)」を公開しました。

時にちょうどツイッターが閲覧規制を行って混乱を招いた直後だけに、代替SNSとしてタイミング的にどんぴしゃでハマった感じがあり、かなり話題になっています。

Meta社は100カ国以上でThreadsを公開したといい、日本でも早くも飛びついた人がいるかと思います。

でもちょっと考えてみる必要があるかもしれません。

というのも、早くもヨーロッパのEU諸国ではThreadsのサービス開始が延期されています。理由は、個人情報の収集に関して懸念があるからです。

しかもEUでは8月25日から新しいデジタルサービス法(DSA)が施行されるため、プラットフォーム企業はそれに準拠することが必要となります。

金融や機密情報まで収集

この問題は、ツイッター上でけっこう話題になってます。

ツイッターの共同創業者で元CEOのジャック・ドーシー氏は、Threadsが収集する個人情報データについて懸念を示し、イーロン・マスク氏もそれに同意しています。

Threadsは以下の個人情報を収集するとしています。

・健康&フィットネス
・購入品
・金融情報
・位置情報
・連絡先
・人間関係
・ユーザーコンテンツ
・検索履歴
・閲覧履歴
・識別子
・利用データ
・機密情報
・診断情報
・その他のデータ

まあこれはMeta社のいつものやり方なので「やっぱりね」って感じですが、それにしても気になるのは「その他のデータ」ってなんなのでしょうか。まさか「なんでもかんでも」って意味じゃないでしょうね。

ちなみにツイッターの場合ですが、収集する個人情報には「健康&フィットネス」「金融情報」「人間関係」「機密情報」「その他のデータ」は含まれていないようです。

EUはプライバシー保護が厳しい

EUとアメリカでは、個人情報保護に対する考え方に違いがあり、アメリカはハードルが緩いという。

一方プライバシー保護が厳しいEU圏では、この問題についてこれまでSNSを運営するビッグテック企業とたびたびぶつかってきた経緯があります。そんな中でMeta社はつい先ごろも、EUから約13億ドルの罰金を科されています。

アイルランドのデータ保護委員会(DPC)の広報担当は、現時点でEU圏内ではThreadsは提供されない、と述べたという。

ところで日本のお偉いさんたちは、こういうのをどうお考えなのでしょうか。

メタバースの失敗で、起死回生を狙うか

いずれにしても新しいものにいち早く飛びつきたがる「新しモノ好き」は常にいるわけで、そういえば一時流行った音声配信アプリ「clubhouse(クラブハウス)」って今どうなっちゃってるんでしょう?

あれもセキュリティや個人情報流出のリスクがあるとかで、急にしぼんだ感じがしましたが。

Meta社は社運をかけたメタバースが事実上失敗して、株価が大暴落したあげく大量解雇を余儀なくされましたので、マーク・ザッカーバーグCEOとしては、ぜひともこれで起死回生を狙いたいところでしょう。願わくば沈みゆく船でなければよいのですが。

オリジナルのプラットフォーム開発に失敗したMeta社は、ここのところSnapchat、TikTok、StumbleUpon、Foursquare、BeReal、Clubhouseのマネをしたアプリを開発してきたみたいですが、今のところどれも成功したって話は耳にしませんね。私が知らないだけかもしれないけど。

そして今度はいよいよツイッターのマネということでしょうか。

個人情報流出に気をつけたい

ツイッターのマネとはいえ、結局のところMeta社がやることなので、言論の自由などお構いなしになるだろうというのは、これまでを見ても明らかです。Faceboockは一生懸命、ワクチンやファウチ博士を支援してきました。

いつものように保守派を検閲して、左派御用達のSNSになるんだろうなという気がしますけど、違いますでしょうか?

ただし気をつけたいのは、Meta社はこれまでも何億という個人情報流出をやらかしている会社ですので、もしThreadsに手を出すのであれば、それなりに気をつけて自己責任でって話になるかと思います。

まあThreadsをインストール時に個人情報収集について確認があるはずなので、もう始めちゃったという人は同意済みってことになりますけど。

2021年4月:5億3000万人以上の個人情報が流出
2019年12月:3億人以上の個人情報がハッキング
2019年9月:4億1900万人分の個人データが発見
2019年4月:150万人のユーザーの電子メールがアップロード
2019年4月:5億4000万人のユーザーデータが公開サーバーで見つかる
2019年3月:Faceboockのパスワード最大6億件が発見
2018年9月:最大9000万人のユーザーのデータにアタック
2018年5月:1400万人のユーザーの投稿が公開
2013年6月:バグにより600万人の個人情報が流出
2010年5月:ユーザーの同意なしに個人情報を広告主と共有

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