トランプ裁判大逆転の可能性――最高裁が重要な審理をスタート

連邦最高裁判所/Daderot, Public domain, via Wikimedia Commons

最高裁が重要な裁判を審理

「ハムサンドでさえ有罪にできる」と揶揄されるほど偏ったニューヨークの裁判所で、ドナルド・トランプ氏の口止め料裁判が始まりました。この裁判は米国の元大統領が刑事起訴で裁かれる”アメリカ史上初の裁判”ということで注目されています。

トランプ氏は現在、これを含めて全部で4つ起訴されていますが、現時点で進行がストップしているものがあります。

というのも一部が最高裁の判断待ちだからです。ある裁判の最高裁の判決いかんによっては、トランプ氏の起訴を根本的に変える可能性がある。

全米が注目する「フィッシャーvs米国」の審理が4月16日に最高裁で始まりました。

1月6日国会議事堂事件

この裁判は2021年1月6日の米国会議事堂事件に関するものです。

この日、国会議事堂で2020年大統領選挙の最終的な選挙人投票が行われましたが、トランプ支持者が乱入したとして多くの人が逮捕されました。

今年1月にワシントンDC連邦検事局が発表したところによると、1月6日事件でこれまで1,265人以上が起訴され、460人以上に禁固刑が言い渡されたという。

https://abcnews.go.com/Politics/3-years-jan-6-numbers-1200-charged-460/story?id=106140326

ちなみにこの件でトランプ氏は「暴動を煽った」として弾劾裁判にかけられましたが、無罪になっています。

実際はトランプ氏は煽ったどころか、支持者たちに「家に帰れ」と促し、また事前に警備の強化を要請したことが後でわかっています。

サーベンス・オクスリー法

1月6日事件で逮捕された人の多くは、合衆国法典第18編1512条(c)(2)に基づいて起訴されました。

この法律はエンロン・スキャンダル後の2002年に制定された「サーベンス・オクスリー法」によって作られたもので、企業の不正行為や文書破棄に対処するために成立した連邦法です。

エンロン・スキャンダルとは、2001年にアメリカのエネルギー企業エンロン・コーポレーションが起こした会計スキャンダルです。エンロンは意図的な不正会計を行っており、起訴が近づいていることを知ると書類を破棄し始めたという。

エンロンはこれにより詐欺罪で起訴され、破綻しました。映画化もされています。

こうして出来た「サーベンス・オクスリー法」は、元来、企業の腐敗に対する手段として制定されたものですが、司法省はこれを使って1月6日事件に参加した人たちをやり玉に挙げたのです。保守派に対する弾圧とも言える。

ちなみに合衆国法典第18編1512条(c)(2)の条文は以下のようになっています。

(c)不正に、

(1)記録、文書、その他の物を、その物の完全性または公的手続きでの使用可能性を損なう目的で、改ざん、破壊、切除、隠匿した者、またはそれを試みた者、

(2)その他、公的手続きを妨害、影響、干渉した者、またはそれを試みた者は、

本タイトルに基づき罰金を科すか、20年以下の懲役に処すか、またはその両方を科す

https://www.law.cornell.edu/uscode/text/18/1512

フィッシャーvs米国

争点となっているのは、このホワイトカラー向けの条文が、暴動に参加するような行為に従事したとされる者に、適切に適用できるかを問うものです。

元警官のジョセフ・フィッシャー氏は、エドワード・ラング氏、ギャレット・ミラー氏とともに1月6日事件で起訴されました。

フィッシャー氏は、サーベンス・オクスリー法と呼ばれる合衆国法典第18編1512条(c)(2)=いわゆる威力業務妨害と、他の6つの罪状でも起訴されました。

この威力業務妨害は、1月6日事件で起訴された他の約350名にも適用されているという。

しかし被告の多くは、この法律による訴追は自分たちの状況には適用されないはずだと主張しています。

一審でワシントンDCのカール・J・ニコルズ連邦地裁判事は、1512条(c)(2)の起訴を棄却しました。ニコルズ判事は、同法はもっぱら文書、記録、その他の物品に関する犯罪を対象としていると判断しています。

司法省が上告した二審のDC巡回控訴裁判所は、1512条(c)(2)はあらゆる形態の妨害行為を包含する”キャッチオール規定”であるとし、一審の判決を覆しました。

フィッシャー氏は、DC巡回控訴裁判所の判決を不服として2023年9月に最高裁に上告しました。最高裁は12月に審理することに同意しました。

口頭弁論

4月16日、最高裁は「フィッシャーvs米国」の口頭弁論を行いました。

この裁判は、ドナルド・トランプ氏を含む多くの1月6日被告の訴追に影響を与える可能性のあるものです。最高裁は、二審の控訴裁判所の逆転判決が誤りであったかどうかを判断することになる。

特にトランプ氏にとっては、現在起訴されている連邦選挙妨害事件における4つの容疑のうち2つに関わってくるという点で、非常に大きな意味を持ちます。

もし最高裁がフィッシャー氏を勝訴とすれば、トランプ氏は裁判所に対して妨害容疑の棄却を求めることができます。

冒頭陳述で、フィッシャー氏のジェフリー・グリーン弁護士は、サーベンス・オクスリー法1512条(c)は”証拠改ざん事件のみに適用されることを意図したもの”だとし、この件には適用されないとの見解を主張しました。

しかし米国側のエリザベス・プレロガー法務長官は、フィッシャー氏らが「合同会議による選挙結果の認定を意図的に阻止しようとした」、「その公式手続きにおいて議会の仕事を妨害した」などと主張しました。

最高裁判事の反応

この日の口頭弁論で、3人いるリベラル系判事はもちろん司法省(政府)側を支持する姿勢を明らかにしています。

それに対して保守派の判事たち6人のうち少なくとも4人は、サーベンス・オクスリー法の適用に概ね懐疑的だったようです。「妨害する」「妨げる」などの用語の解釈や、座り込みやその他のデモに従事する人々を起訴するためにこの法律が使われる可能性があることに懸念を示し、政府側がこの告発をやりすぎたのではないかと疑問を呈したという。

サミュエル・アリート判事は、「この法廷で起こった抗議すべてに対して、司法省は重大な犯罪を告発していない」と述べ、妨害罪が公平に適用されていないことを示唆しています。

ニール・ゴーサッチ判事は、「裁判や連邦裁判所へのアクセスを妨害する座り込みは適格だろうか?今日の聴衆や一般教書演説での罵声は適格だろうか?投票前に火災報知器を鳴らせば、連邦刑務所に20年入る資格があるのか?」と疑問を呈した。

クラレンス・トーマス判事は「政府は過去にこの規定を他の抗議活動にも適用したことがあるのだろうか?」とプレロガー法務長官に質問しました。

プレロガー法務長官は「公的な手続きを阻止するために、人々が暴力的に建物を襲撃したような状況で、この法律を施行した例を挙げることはできません」と過去の例を挙げられなかった。

ジョン・ロバーツ最高裁長官は、1512条(c)(2)の罪が被告に適用されると判断する際、検察は(c)(1)の文言を無視した可能性があると指摘しました。

これに対してプレロガー法務長官は「被告側は言葉を理解できていない」と反論したという。

最高裁はもう一つ重要な審理をする

最高裁は6月末か7月上旬までには「フィッシャーvs米国」裁判の判決を下す予定だと言われています。

これでフィッシャー氏側が勝訴すれば、1月6日事件で有罪判決を受けた多くの被告が、異議を申し立てる可能性があります。

それともう一つ、トランプ氏にとって重要な最高裁判決が待っています。

最高裁は、トランプ氏が訴えている大統領免責特権について、4月25日に口頭弁論を行うことになっています。

基本的に米国大統領はその任期中に「訴追を受けない」という特権があり、それを最高裁が審理することになる。過去の判例ではニクソン大統領には免責特権が認められましたが、クリントン大統領には認められませんでした。

こちらもトランプ氏の免責特権が認められれば、大逆転になる可能性がある。

ただ少なくともこれを主張することで「裁判を遅らせることができた」という点で、トランプ氏にはメリットとなっています。

民主党が企んでいる「大統領選挙前にトランプを有罪にする」という目標が崩れればいいわけですから。

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