ジョージア州判事、トランプ起訴に対する6つの訴因を棄却――そして不倫検事ファニ・ウィリスの運命は

The White House from Washington, DC, Public domain, via Wikimedia Commons

判事、トランプ起訴で6つの訴因を棄却

トランプ氏がMeta社の事を「国民の敵」と呼んだことで、Metaの株価が下落しましたね。

さてファニ・ウィリス検事がトランプ氏らを起訴した件で動きがありました。

不倫問題で揺れているジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地方検事は、2020年選挙を覆そうとしたとしてドナルド・トランプ氏を含む19名を41の訴因で刑事起訴しました。

しかし3月13日にスコット・マカフィー判事は、41件の訴因のうち6つを破棄しました。うちトランプ氏が関わっているのは3件です。

マカフィー判事は提出書類の中で、これらの6つの訴因は「犯罪の本質的な要素は含まれているが、その性質に関する十分な詳細が記載されていない」と述べています。

判事は起訴状には被告が勧誘したとされる根本的な罪を主張すべきだったとし、「言い換えれば、勧誘された重罪を立証する追加的な要素が伴わない限り、明確な勧誘罪は成立しない」と説明しました。

ただ、本丸と言われるRICO法違反についてはまだ残っております。

RICO法(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations Act=威力脅迫及び腐敗組織に関する連邦法)とは、違法行為によって不正な利益を得るラケッティア活動による組織的犯罪を規制するもので、通常はマフィアなど組織的な違法行為に適用されるものです。

つまりトランプ氏らはマフィアのように共謀して恐喝し、選挙を覆そうとしたという主張ですが。

棄却された訴因

棄却されたのは以下の6つです。
トランプ氏が関わっているのは5、28、38です。(他にもまだ残っていますが)

  • 【カウント2】複数の被告が、ジョージア州選出の上院議員に対し、2020年12月3日に大統領選挙人を違法に任命するよう要請または指図し、宣誓に違反するよう勧誘した
  • 【カウント5】被告トランプがジョージア州下院議長に対し、2020年12月7日に大統領選挙人を不法に任命するために臨時会を招集するよう要請または働きかけ、宣誓に違反するよう勧誘した
  • 【カウント6】被告スミスとジュリアーニが、ジョージア州下院議員に対し、2020年12月10日に大統領選挙人を不正に任命するよう要請または働きかけ、宣誓に違反するよう勧誘した
  • 【カウント23】複数の被告がジョージア州選出の上院議員に対し、2020年12月30日に大統領選挙人を違法に任命するよう要請または指図し、宣誓に違反するよう勧誘した
  • 【カウント28】 被告トランプとメドウズが 2021年1月2日、ジョージア州務長官に対し、公認選挙返却に違法な影響を及ぼすよう要請または働きかけ、同長官の宣誓に違反するよう勧誘した
  • 【カウント38】被告トランプが2021年9月17日、ジョージア州務長官に対し、不法に選挙の認定を取り消すよう要請または懇願し、その宣誓に違反するよう勧誘した

この中にワシントンポストが報じた、トランプ氏とジョージア州のブラッド・ラフェンスペルガー州務長官の電話に関わるものが入っています。

このときの電話でトランプ氏は「私はただ11,780票を見つけたいだけだ」と語っていました。

しかし先日書いたようにこの電話は違法録音された疑いがあり、録音した人物が当時滞在していたフロリダ州の法律では、違法に入手された証拠は法廷では受理されないと規定されています。

また3つのでっち上げが発覚――トランプを貶めるための大ウソがめくられる

2024年3月12日

ファニ・ウィリス検事の不倫スキャンダル

今回の6つの訴因棄却も含め、このケースは土台が揺らいでいます。

これまで触れてきたように、この起訴でファニ・ウィリス検事が任命した特別検察官3人の中に不倫相手だったネイサン・ウェイド弁護士が含まれていたことで問題が浮上しました。

ウィリス検事はウェイド弁護士と不倫交際していただけでなく、公金チューチューして2人の豪華デート代などに使っていた疑惑が出たのです。ウェイド弁護士は報酬として65万ドル(約1億円)を得ており、それを2人の旅行代などに使っていたと主張された。

つまり2人には利益相反の疑いがある。

このスキャンダルによって現在裁判手続きはストップしており、マカフィー判事はウィリス検事の資格適正について裁定することを余儀なくされました。

問題になっているのは交際がスタートした時期で、ウェイド弁護士が特別検察官に任命された2021年11月1日より前か、その後かが重要な論点になっております。

ウィリス検事とウェイド弁護士はともに、2人の関係は2022年初頭まで始まっていないと主張していますが、弁護団は2人の関係がすでに2019年に始まっていたと主張しています。

トランプを起訴した不倫検事ファニ・ウィリス、マジで失脚するかもしれない件

2024年2月16日

CNN「ウィリスは大失態を犯した」

この件はCNNの法律アナリストでさえ、ウィリス検事は「下手こいた」と非難しています。

CNNの法律アナリスト、エリー・ホーニグ氏は、マカフィー判事が起訴の一部を棄却したことを受け、「起訴しておいて、裁判になる前に裁判官がそれを破棄するのは、検察の大失態だ」と述べた。

「ハッキリ言って、この事件の歴史を通じて、検事によるしくじりがいくつもあった。捜査段階まで遡ると、検事は政治的利害の対立を引き起こしたために、この事件のごく一部から失脚させられたのだ」

またウィリス検事の発言なども問題視し、「ファニ・ウィリスが教会やその他の場所で、検察の倫理規定に反すると思われる発言をしたことが問題視されている」と述べた。

ウィリスはカマラ・ハリスと会っていた?

先日の記事で書いたように、ファニ・ウィリス検事はトランプ氏を起訴するために、1月6日委員会の委員長だったリズ・チェイニー氏とも協力し合っていたことがバレていますし、さらに2023年にカマラ・ハリス副大統領と面会していたことも暴露された。

これはホワイトハウスの訪問者記録から明らかになったもので、ウィリス検事とアトランタ市長のアンドレ・ディケンズ氏は2023年2月28日午後4時50分(米国東部時間)に「VPOTUS(副大統領)」と面会したことが記されているという。

ただしこの会合はホワイトハウスの庭園で行われた大人数のガーデン・イベントのようなものだったらしく、実際にハリス副大統領とウィリス検事が会話をしたかまではわかっていません。

民主党が一番恐れていること

いずれにしてもマカフィー判事は今週中にもファニ・ウィリス検事の資格剥奪について裁定すると言われています。おそらく失脚させられるとの見方が強いですがどうなるか。

ただ民主党が焦っているのは裁判が遅延することです。

彼らはバイデンを勝たせるために、なんとしてでも大統領選挙前にトランプ氏に有罪判決を出したいわけですから、このまま裁判がズルズル遅れて行くとそのタイムリミットが微妙になってしまう。

ウィリス検事が失脚するとすれば、別の検事に引き継がれることになり、そうなるとまた時間がかかる可能性がある。

また別件のトランプ起訴
・フロリダ州の機密文書持ち出し
・1月6日国会議事堂事件への関与を含む選挙を覆す試み

これらは最高裁の”大統領免責特権”の判断待ちで2件ともストップしています。最高裁の判断は6月になると予想されている。

もちろんトランプ氏に大統領免責特権が認められればこれらの起訴は吹っ飛びますし、そうでなくても当初の目論見より裁判開始が遅れてしまう。

この先どうなっていくか見ていく必要があります。

もしトランプが有罪になりバイデンが再選するようなことになれば、まだ戦争が続く事になるでしょうし、そうなるとまた日本の税金がウクライナに持って行かれる可能性がある。

さらに台湾有事の可能性も否定できなくなる。


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2023年4月1日
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