『リッテンハウス裁判』すべての容疑で無罪――なぜ無罪になったのか?まとめてみた

カイル・リッテンハウス氏は無罪

さて全米注目のカイル・リッテンハウス氏の裁判で評決が出ました。米現地11月19日、陪審員はすべての容疑でリッテンハウス氏を無罪としました。

評決文が読み上げられたとき、リッテンハウス氏は震えて崩れ落ちました(↓動画)。

なんと言ってもまだ10代なのです。もし自分が10代の頃こんなに大きな裁判の当事者だったらどうだったか。

ジェイコブ・ブレイク抗議活動が発端

この事件は2020年8月23日に、ウィスコンシン州ケノーシャで黒人男性ジェイコブ・ブレイク氏が白人警官に撃たれて負傷した事件が発端になり、BLMの抗議活動が暴動化していたことに端を発します。
ブレイク氏にはそれ以前から逮捕状が出ていました。

リッテンハウス氏は当時17才ながら、ライフルAR-15を持って自宅のあるイリノイ州から州境を越えて暴動が起きているケノーシャの街に向かい、地元の自警団とともに街を守ろうとしたといいます。
【追記】なおライフルはウィスコンシン州で調達していたことが明らかになっており、「州をまたいで武器を持ち込んだ」という容疑は晴れています。

この頃、ケノーシャの街はメチャクチャでした。(↓動画)

州知事はトランプ氏の支援を断る

なぜ有志ある自警団が街を守らなければいけなかったのか?――これには背景がありました。

ウィスコンシン州のトニー・エヴァース知事は、当時ケノーシャの暴動が過激化して破壊や放火など街がぶっ壊されているにもかかわらず、初日に125人、2日目に追加125人の州兵を派遣しただけでした。

抗議者は裁判所の周囲だけでも1,000人はいたとされています。

これを心配した当時のトランプ大統領とマーク・メドウズ首席補佐官が、連邦軍の派遣を打診したものの、エヴァース知事は断っています。もちろんエヴァース知事は民主党です。

勇気ある住民やリッテンハウス氏のような人間が、立ち上がらなければならないような状況だったかもしれません。

2名死亡、1名を負傷させた

ケノーシャは人口わずか10万人未満の街だとのことですが、ジェイコブ・ブレイク氏の事件があった後、BLM抗議活動の怒りのターゲットになっていました。他の都市から抗議者達が集まり、街は暴徒で満ちていました。

そんな中で事件2日目の25日の夜、リッテンハウス氏は現地の自警団と合流していました。

この夜リッテンハウス氏は抗議者達と衝突した際、ジョセフ・ローゼンバウム氏(36)とアンソニー・ヒューバー(26)を撃って死亡させ、ガイジ・グロスクロイツ氏(27)を負傷させました。

リッテンハウス氏は自ら警察に自首しています。

左派および左派メディアはリッテンハウス氏を「殺人者」「白人至上主義者」と呼び、右派は「暴動に立ち向かったヒーロー」だと擁護しました。ちなみに撃たれた3名はすべて白人です。

裁判のターニングポイント

裁判ではリッテンハウス氏の発砲が正当防衛か、殺人かが焦点になっていました。

ターニングポイントになったのは、負傷したグロスクロイツ氏が証言台に立ったときでした。

このとき、どちらが先に相手に銃を向けたかが焦点になっていましたが、グロスクロイツ氏は自分が先にリッテンハウス氏に銃を向けたことを認めてしまったのです。

これでリッテンハウス氏が自分を守ろうとして発砲したことが証明されました。

このときの検察のリアクションです。
もちろん全米で中継されています。

「おいおい、それ言っちゃダメだろ」という心の声が聞こえてきます。

評決に対するトランプ、バイデンの声明

トランプ前大統領はこの評決に声明を出しました。

「カイル・リッテンハウスがすべての容疑で無罪になったことを祝福します。これこそ無罪判決と呼べるものです。そして、これは正当防衛以外の何ものでもありません。」

一方でバイデン大統領は以下のような声明を出しています。

「ケノーシャの評決は、私も含めて多くのアメリカ人に怒りと不安を抱かせるものですが、陪審員が言ったことを認めなければなりません。
(中略)
私は法に則って、平和的に意見を述べることを全ての人に求めます。暴力や財産の破壊は、我々の民主主義にはふさわしくありません。ホワイトハウスと連邦当局は、この事件の結果に備えるためにエヴァース知事のオフィスと連絡を取っています。今日の午後に知事と話し、公共の安全を確保するために必要なあらゆる支援と援助を申し出ました。」

連邦軍の支援を断ったのは民主党のエヴァース知事ですけどね。

すでに抗議が始まっている

無罪に反発して、すでに左派の抗議活動が始まっています。

ニューヨークのブルックリン

シカゴ

コロラド州デンバー

ほかにもツイッターでは報告が上がっています。

サンフランシスコではルイ・ヴィトンのショップが略奪に遭い、BLMの本拠であるオレゴン州ポートランドでは警察が暴動を宣言しました。すでに破壊活動に発展しているようです。

リッテンハウス氏、名誉毀損の可能性

一方、リッテンハウス氏が名誉毀損を被ったとして訴訟を起こす可能性について言及されています。

リッテンハウス氏は、左派メディアなどから「私的制裁者」「白人至上主義者」などと呼ばれていました。

また2020年9月1日にMSNBCのネットワークに招かれたゲストは、リッテンハウス氏のことを「間違いなく国内のテロリスト」と述べたとのことです。街を破壊する抗議活動と比べて、どちらがテロだかわかりませんが。

元ハーバード・ロースクール教授のアラン・ダーシャウィッツ氏は、リッテンハウス氏は中傷した人やメディアに対して訴訟を起こすだろうとしています。

聖域なき構造改革世代

このあと懸念されるのは、陪審員が特定されて左派から攻撃を受けることですが、それは守らなければいけないことです。でなければ陪審員のなり手がいなくなるし、いても左派ばかりになってしまい、公正な裁判がおこなわれなくなる可能性があります。

さておき、個人的にはリッテンハウス氏の世代を「聖域なき構造改革世代」と呼んでいて、それは彼が生まれた頃に小泉政権がやっていた政策をもじってます。つまりそれまでの規制をぶっ壊したのです。

この世代はホロスコープに特徴があり、彼らが成人になって社会に出てくる頃にどんなことをやるのか興味深いです。というか、すでにリッテンハウス氏がその先例を示しましたが。何にしてもこの世代は大きな問題になる可能性を秘めています。

「歴史を知らずして占星術なし」

ではこの辺で失礼します。

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