ドナルド・トランプのアカウントがBANされた経緯
昨日の第2弾に引き続き、イーロン・マスク氏はツイッターファイルの第3弾を公開しました。第1弾を公開したマット・タイビ氏のアカウント(@mtaibbi)で公開されています。
第1弾は2020年にニューヨークポストが、ハンター・バイデンのラップトップのデータをスクープした記事をツイッターがブロックした時の社内文書が公開されました。
第2弾は、シャドウBANがどのようにして行われていたかについて暴露しています。
今回の第3弾では、ドナルド・トランプ氏のアカウントが削除されるに至った経緯について、ツイッター社内でどのような議論がなされていたのかを掘り下げています。
まず、2020年の大統領選挙前~2021年1月6日の国会議事堂乱入事件までの情報になります。翌1月7日の社内混乱については明日公開され、1月8日については現地12月11日の日曜日に公開されるもよう。
タイビ氏は「1月6日~1月8日までのツイッター社内の話し合いは、明らかに歴史的な重要性を持っている」と書いています。
5. Whatever your opinion on the decision to remove Trump that day, the internal communications at Twitter between January 6th-January 8th have clear historical import. Even Twitter’s employees understood in the moment it was a landmark moment in the annals of speech. pic.twitter.com/tQ01n58XFc
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
1月6日国会議事堂事件の数ヶ月前から始まっていた
今回タイビ氏は、「トランプ氏を追放し終わると、すぐにTwitterの幹部は新たな力の処理を開始した」と述べました。
Twitterの幹部は、トランプ氏とその支持者による「選挙期間中と、ぶっちゃけ過去4年以上の行動」を理由に、トランプ氏を追放しました。
7. Twitter executives removed Trump in part over what one executive called the “context surrounding”: actions by Trump and supporters “over the course of the election and frankly last 4+ years.” In the end, they looked at a broad picture. But that approach can cut both ways. pic.twitter.com/Trgvq5jmhS
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
そしてそれは、国会議事堂事件の数ヶ月前から考えられていたという。
8. The bulk of the internal debate leading to Trump’s ban took place in those three January days. However, the intellectual framework was laid in the months preceding the Capitol riots.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
FBIや政府機関との会合が増えていた
幹部は大統領選挙が近づくにつれて、FBIなどの政府機関と会合する機会が増え、圧力をかけられることに悩まされていたというが、1月6日国会議事堂事件以降は、政府機関との関係を強化することに喜びを感じ始めていたといいます。
当時、信頼・安全担当責任者だったヨエル・ロス氏は、こうした会議の目的を偽ることに苦労していたことがうかがえます。「カレンダーに会議の名前がなかった」
11. After J6, internal Slacks show Twitter executives getting a kick out of intensified relationships with federal agencies. Here’s Trust and Safety head Yoel Roth, lamenting a lack of “generic enough” calendar descriptions to concealing his “very interesting” meeting partners. pic.twitter.com/kgC4eGykcO
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
会議メンバーの中には、ロス氏、法務責任者のビジャヤ・ガッデ氏、最近解雇された副顧問のジェームズ・ベーカー氏(元FBIトップ弁護士)などが含まれていました。
12. These initial reports are based on searches for docs linked to prominent executives, whose names are already public. They include Roth, former trust and policy chief Vijaya Gadde, and recently plank-walked Deputy General Counsel (and former top FBI lawyer) Jim Baker.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
上級幹部が「検閲の最高裁判所」だった
2020年10月8日に、幹部は「us2020_xfn_enforcement」というチャンネルを開始し、選挙関連の投稿の削除について議論していたという。
そこでは特に知名度の高いアカウントのことをVIT(Very Important Tweeters)と呼んでいたようです。
14. On October 8th, 2020, executives opened a channel called “us2020_xfn_enforcement.” Through J6, this would be home for discussions about election-related removals, especially ones that involved “high-profile” accounts (often called “VITs” or “Very Important Tweeters”). pic.twitter.com/xH29h4cYt9
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
ただ一般的なポ○ノ、詐欺、脅迫などの投稿に対処するセーフティオペレーションと、ロス氏やガッデ氏のような上級幹部の間には、緊張感があったという。
上級幹部らは「検閲の最高裁判所」であり、大統領に関する事件でさえも投稿の裁定を下していたとのこと。
そして彼らは、連邦執行機関や情報機関と連絡を取り合っていたことも明らかになっているという。
17. During this time, executives were also clearly liaising with federal enforcement and intelligence agencies about moderation of election-related content. While we’re still at the start of reviewing the #TwitterFiles, we’re finding out more about these interactions every day.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 9, 2022
FBIはツイッターを監視していた
一方FBIは、ツイッターを監視していたようです。
以下の文書では2つのツイートについて報告を送っています。うち1つは、共和党員のジョン・バシャム氏による郵便投票に関する投稿でした。
The FBI's second report concerned this tweet by @JohnBasham: pic.twitter.com/8J8j5GlUVx
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
またFBIはツイートにフラグを立て、捜査当局のSlackで回覧されていました。
25. The FBI-flagged tweet then got circulated in the enforcement Slack. Twitter cited Politifact to say the first story was “proven to be false,” then noted the second was already deemed “no vio on numerous occasions.” pic.twitter.com/LyyZ1opWAh
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
一方、トランプ陣営や共和党からの検閲要請は一つもなかった、とタイビ氏は述べています。
27. Examining the entire election enforcement Slack, we didn’t see one reference to moderation requests from the Trump campaign, the Trump White House, or Republicans generally. We looked. They may exist: we were told they do. However, they were absent here.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
さまざまなツールでトランプを牽制
トランプ氏は大統領選挙の1週間前に、可視性フィルターがかけられていました。これにより、誰も「返信・いいね・シェア」ができないようになっていたという。
幹部にはトランプ氏が特に違反をしているようには見えなかったが、スタッフが迅速に処理していた事にロス氏は称賛しています。
"VERY WELL DONE ON SPEED": the group is pleased the Trump tweet is dealt with quickly pic.twitter.com/WMyQjbWqNW
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
12月10日、トランプ氏が「目の前でクーデターが起きている」などと25ものツイートを連発している最中に、ツイッターは新たに「L3 deamplification」というツールを発表しました。
幹部はこのツールによって、トランプ氏をもっと迅速に制限しようとしたという。
45. On December 10th, as Trump was in the middle of firing off 25 tweets saying things like, “A coup is taking place in front of our eyes,” Twitter executives announced a new “L3 deamplification” tool. This step meant a warning label now could also come with deamplification: pic.twitter.com/MP4F7cvguw
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
また幹部は、ボットを使ってトランプ氏の主張を抑えることもしていたようです。ボットは自動化された検閲ルールの事で、例えば使われたワードによってアクションを起こすという。
49. In Twitter docs execs frequently refer to “bots,” e.g. “let’s put a bot on that.” A bot is just any automated heuristic moderation rule. It can be anything: every time a person in Brazil uses “green” and “blob” in the same sentence, action might be taken. pic.twitter.com/zkBkhSSodv
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
ツイートを制限する取り組み
タイビ氏は、最終的にトランプ氏がBANされるまで、どのようにツイートを制限していたかの取り組みについて紹介しました。
例として「バウンス」は、Twitterのアカウントにタイムアウトを与えることを意味し、通常12時間続くという。
「インタースティシャル」は、ツイートの上に物理的なラベルを貼って、見えないようにすること。
「PII」は「Public Interest Interstitial」の略で、「公共の利益」の理由から適用される挿入型のもの。
「Proactive V」は、先を見越した可視化フィルタリングのこと。
これらはすべて1月6日の国会議事堂事件に必要なバックグラウンドだった、とタイビ氏は言う。
「このプロジェクトはとんでもないものだったが、幹部達はそれを見抜けず、集団主義に感染してしまい、人々が何を、どれくらいの頻度で、誰と話していいのか、などを可能な限りコントロールするのはツイッターの責任である、と心から信じるようになってしまった」
This project was preposterous yet its leaders were unable to see this, having become infected with groupthing, coming to believe – sincerely – that it was Twitter's responsibility to control, as much as possible, what people could talk about, how often, and with whom.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
1月6日国会議事堂乱入事件の当日
そして1月6日の国会議事堂パニックが起こると、「なんてことだ」みたいな投稿が多くなり、ツイッターの検閲ツールをフルに活用するよう求める声が上がっていたという。
ある社員は「正しい対処法は何なのか?」「動画にインターステイシャルを挿入しますか?」と絶望的に問いかけています。
56. When panic first breaks out on J6 there’s a fair share of WTF-type posts, mixed in with frantic calls for Twitter to start deploying its full arsenal of moderation tools. “What is the right remediation? Do we interstitial the video?” asks one employee, in despair: pic.twitter.com/bWSPTlrzz9
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
そんな1月6日の動乱の中、ビジャヤ・ガッデ氏は全社メールで、3件のトランプ大統領のツイートが削除されたことを発表しました。「今後も全米で暴力行為を扇動し鼓舞することが十分に予想されるからです」と書かれています。
そしてこの投稿削除後、12時間のタイムアウトを要求し、今後ツイッターのルールに違反した場合は「永久BAN」になることを明確にしています。
61. The first company-wide email from Gadde on January 6th announced that 3 Trump tweets had been bounced, but more importantly signaled a determination to use legit “violations” as a guide for any possible permanent suspension: pic.twitter.com/p6WmbS2MsA
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
一方で、この日トランプ氏は「愛と平和のために家に帰りなさい」とツイートしていますが、ツイッターのスタッフは「何じゃそりゃ?」「ラベルを貼るよ」「そうだな」「俺はこれ見て感情的になってしまった」「心が痛むよ。彼は恐ろしい人間だ」などと言いたい放題です。
62. “WHAT THE ACTUAL FUCK?” Safe to say Trump’s “Go home with love & in peace” tweet mid-riot didn’t go over well at Twitter HQ: pic.twitter.com/yhi5uv4QXI
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
次回予告
1月6日が終わる頃、幹部はまだルールを適用していたという。しかし翌日には、アプローチの変更を考える事になる、とタイビ氏は述べています。
これは次のツイッターファイル公開で述べられるといい、週末はついにトランプ氏が永久BANされた事について暴露されます。
ツイッターはワシントンDCから喝采を浴び、現職大統領の声がついにこのプラットフォームから聞こえなくなる事になります。
まだまだ膨大なファイルがあるようで、今後も続くということです。
山羊座時代は刻々と終わりに近づいています。
65. By January 8th, which @BariWeiss will describe Sunday, Twitter will be receiving plaudits from “our partners” in Washington, and the sitting U.S. president will no longer be heard on the platform.
— Matt Taibbi (@mtaibbi) December 10, 2022
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