タイタニック号見学の潜水艇、起こるべくして起こった事故のワケとは

Isabeljohnson25, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

5名が乗った潜水艇、残されたタイムリミットは

いよいよタイムリミットが近づいております。もしかするとこれを読んでいる時点ですでに過ぎているかもしれない。

1912年に沈没したタイタニック号を見学する観光潜水艇「タイタン」が消息を絶ってから、アメリカやカナダの沿岸警備隊による捜索が続いていますが、日本時間6/22の夕~夜には酸素がなくなる可能性が高いと言われています。

情報によれば海中で異音を感知したと言われていますが、何の音か、また発生源などについて特定されていないようです。

潜水艇は現地2023年6月18日の午前8時に潜水をスタート、その後連絡を絶ったという。5名が乗っていたと言われ、パイロット1名、ガイド1名、有料の乗船客3名が乗っているという。

乗船者は

  • パキスタンの実業家シャザダ・ダウッド氏
  • ダウッド氏の息子(19)
  • イギリスの実業家で探検家のヘイミッシュ・ハーディング氏(58)
  • フランスの深海探検家でタイタニック号の専門家ポール=アンリ・ナルジョレ氏(77)
  • パイロットでオーシャンゲート社CEOのストックトン・ラッシュ氏(61)

の5名でした。

消息を絶ってから8時間後に通報

当日、母船であるポーラー・プリンス号に乗船していた22歳のビデオグラファーのアビー・ジャクソン氏が自撮りをする映像の向こうに、ちょうどタイタンが海に向かっていく姿が映っています。

これが最後の姿にならないことを祈りたい。

潜水艇は潜行開始から1時間45分後の午前9時45分、母船との連絡が途絶えました。

しかしアメリカ沿岸警備隊に通報されたのは8時間後の17時40分で、さらにカナダの沿岸警備隊に連絡が入ったのは21時13分でした。

潜水艇タイタンを運営するオーシャンゲート社は、通報が遅れた理由について説明していないという。

オーシャンゲート社は2009年に設立されていますが、その創業者でCEOのストックトン・ラッシュ氏までもがこの潜水艇に乗っているというのが、さらに厳しい状況を物語っています。

運営会社は、トラブル訴訟を起こされていた

CNNによるとオーシャンゲート社は、ここ数年、機械的なトラブルや悪天候によるツアー遅延やキャンセルなどで、訴訟が起こされていたという。

ロンドンの旅行会社は2016年に最大9名の乗客をタイタン号に乗せる契約を結んだが、オーシャンゲート社はそこまでの耐久性のある船を持っていなかったとして、支払い済みの約85万ドルの返却を求めて提訴したとのこと。

またフロリダ州の夫婦は、2018年に予定されていたタイタン号のツアーが何度も何度も延期され、払い戻しを受けられなかったとして訴えているようです。

昨年、CBSニュースのデビッド・ポーグ記者を乗せた潜水艇が潜水したものの、わずか37フィート潜ったところで故障し、中止になったという。

その後の潜水では、母船との連絡が途絶え、2時間半も行方不明になったと乗客が語っています。

一方、同社が裁判所に提出した書類によると、何度も潜水を完了しているといい、昨年は少なくとも28人がタイタニック号を見学したという。

ベテランはいらない、若い刺激的な人が欲しい

ここにきて、オーシャンゲート社のラッシュCEOの過去の発言が掘り起こされています。

ラッシュ氏は18歳で飛行機パイロットの免許を取得していますが、44歳の時に空から海に興味が移ったという。潜水艇を購入しようとしたものの失敗し、2009年にオーシャンゲート社を設立しています。

そして現在注目を浴びているのは、以前ラッシュ氏がサブオペレーター(助手)について語った内容です。

2020年8月のインタビューでラッシュ氏は、刺激的な若いサブオペレーターが欲しいと語っていました。

「私がこのビジネスを始めたとき、他にも潜水艦のオペレーターはいたのですが、彼らはたいてい元軍人の潜水艦乗組員で、50歳の白人男性ばかりでした。」

「私は、自分のチームを若くて刺激的なものにしたかった。16歳の若者に海洋技術を追求するよう促すつもりはありませんが、25歳で、潜水艦のパイロットやプラットフォームのオペレーター、あるいは私たちの技術者の一人であれば、刺激的な存在になれるでしょう」

だから非常に知的で、やる気のある若い人たちに参加してもらおうとした、と語っています。

経験豊富な元潜水艦乗組員よりも、刺激を優先していたようですね。いかにも夢追うファンタジストであり、実際性を軽視していると言わざるを得ない。

それはこの後の話で明確になっていきます。

50代白人男性、安全性を忠告して解雇されていた

その発言通り、50代の白人男性だった元海洋事業部長のデビッド・ロクリッジ氏は、オーシャンゲート社から解雇されているという。

ロクリッジ氏は、オーシャンゲート社の潜水艇が「技術的に安全でない」とラッシュCEOに警告したところ、解雇されたとのこと。

2018年の裁判書類によると、ロクリッジ氏はオーシャンゲート社による世界初のカーボンファイバー製船体やそのシステムに懸念を示し、解雇されたと記録されているようです。

ロクリッジ氏は、ラッシュCEOに口頭で何度か忠告したものの、聞き入れられなかったために報告書を作成し、安全上の懸念を記したという。

その報告書の中には、カーボンファイバーの「目に見える欠陥」が、圧力サイクル中に小さな損傷が「より大きな裂け目に拡大する危険性を高める」と警告しているとのこと。

そのため、安全確認のための非破壊検査が必要だと訴えているという。しかしこの訴えは却下され、代わりにオーシャンゲート社が開発した「音響モニタリング・システム」に頼ることになると告げられたという。

同社が自社開発したこのモニタリングシステムは、音響センサーを使って船体のカーボンファイバーが劣化する音を聞き取り、安全に浮上するのに十分な時間的余裕をもって、早期警告を検知するものである、と主張していました。

しかしロクリッジ氏は、このシステムは船が潜水するまで欠陥を警告せず、破壊寸前になってようやく「ミリ秒」の警告しか出さない、と懸念を示しました。

水深1300メートルまでしか保証されていなかった

またロクリッジ氏は、アメリカ船級協会などの船級機関にタイタン号の検査と認証を依頼するよう強く勧めていました。

その後ロクリッジ氏は、タイタン号を作った業者が水深1300メートルまでしか保証していないことを知らされたという。

にもかかわらずオーシャンゲート社は、タイタン号を水深4000メートルまで耐えられる強度にするための費用を支払うことを拒否したとのこと。

ちなみにタイタニック号は、水深3800メートルの地点にあります。

最終的にオーシャンゲート社は、「タイタン号の有人テストを行うつもりはない」と宣言し、ロクリッジ氏を解雇して会社から強制的に退去させたという。

ちなみにこの訴訟は2018年11月に和解しており、オーシャンゲート社もロクリッジ氏もコメントしていません。

安全性を軽視

ロクリッジ氏の解雇後、オーシャンゲート社はコメントを発表しました。

「海難事故の大半は、機械の故障ではなく、オペレーターのミスによるものです」と事故は人為的なものだといっています。

「高水準の運航安全を維持するためには、絶え間ない献身的な努力と集中的な企業文化が必要であり、この2つはオーシャンゲート社が非常に真剣に取り組んでいることであり、船級審査では評価されません。」

船体の検査は必要ない、と言っているかのようですが。

その後タイタン号は4000メートルまでの潜水に成功しましたが、すぐに船体に材質的な疲労が見られたことを認め、限界を3000メートルまで引き下げられたという。

これが事実だとすれば、単に安全を軽視していたという一言に尽きると思うんですけど。

オーシャンゲート社は責任に問われない

ただ乗客は、死の危険性について責任を問わない免責同意書に署名していると報じられてますね。

つまりもし事故で亡くなっても、家族は訴訟を起こすことができず、オーシャンゲート社は責任を免れることができる。

弁護士は、「乗客の誰もが、これが休暇や観光旅行でないことを知っており、免責事項には死亡の危険性が何度も明記されていたようだ」と述べています。なんでも、同意書の最初の3ページだけで3回も死亡の危険性について触れてあったという。

一人25万ドルという高額な費用を支払っているにもかかわらず、死んだらハイおしまい、って話でしたか。

ただしオーシャンゲート社に操業上の過失が認められた場合、権利放棄が争われる可能性があるとも言われています。

タイタニックの呪い?

そういえば沈没したタイタニック号も船体の脆弱性が指摘されていたかと。そのタイタニック号を見学しようとした潜水艇が同じような運命をたどった可能性があるのは、皮肉と言えば皮肉です。

しかも映画「タイタニック」の主題歌を歌ったセリーヌ・ディオンが、「スティッフパーソン症候群」という病気で活動を休止しているのも、なんだかなあという感じですが。

まさに「タイタニックの呪い」ともいうべきか・・・

いずれにしてももう時間がないので、一刻も早く救助されることを願うしかありません。

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2023年4月1日
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