カナダが迷走中――インドとバチバチ、うっかり元ナチス軍人を賞賛して大炎上

Sydney Phoenix / U.S. Department of Homeland Security, Public domain, via Wikimedia Commons

ここのところのカナダの迷走

ジャスティン・トルドー首相のホロスコープが示す通り、今カナダが迷走していて興味深い。

カナダは現在、自らが撒いたタネにより物議になっていて、結果、国際社会から非難に晒されるという事態になってます。

先ごろのカナダとインドとのバッチバチの対立に続き、ウクライナのゼレンスキー大統領を招いた議会の席上で、ナチスに加担した旧軍人を讃えたことで大炎上してしまいました。

こともあろうにナチス賞賛はまずい。

これによりカナダ下院議長が辞任要求を突きつけられています。

トルドー首相、インドにイチャモンを付ける

まずインドとカナダの対立騒動からいきます。

カナダのトルドー首相は、今年6月にカナダのブリティッシュコロンビア州サリーで射殺されたシーク教徒のハーディープ・シン・ニジャール氏の死に、インドが関与しているという疑惑について言及しました。

射殺されたニジャール氏は、シーク教徒の独立国を作る運動の著名なメンバーで、インドからは指名手配されており、2020年にテロリスト認定されています。

トルドー首相はこの殺人にインドが絡んでいるという疑惑を「極めて深刻なもの」だといい、国際法上「遠大な影響がある」と警告しました。

「インド、そしてインド政府は、この問題を最も真剣に受け止める必要がある。挑発したり、エスカレートさせたりするつもりはない。私たちはただ、私たちが理解している事実を並べているだけだ。」

「我々は証拠を追い、人々に責任を負わせるための作業を確実に行なうつもりだ。」

そしてカナダの外務大臣が、カナダで活動するインドの対外情報機関の最高幹部パヴァン・クマール・ライ氏を追放したのです。

インドは反発、報復合戦に

これに対してインド側は、ニジャール氏の殺害におけるいかなる役割も否定し、その疑惑は「不合理なものだ」と反発しました。

もともとインドはシーク教徒の独立運動に対して、時に血なまぐさい闘争を繰り広げてきたという。1980年代にはシーク教寺院に襲撃をかけ、数百人が死亡した事件があり、その報復で当時のインディラ・ガンディー首相が暗殺されています。

ともあれカナダによる情報高官の追放に対し、インド当局はすぐに報復し、キャメロン・マッケイ高等弁務官を召喚した後、カナダの上級外交官に5日以内の国外退去を命じました。

インド外務省は「今回の決定は、カナダ外交官の内政干渉や反インド活動への関与に対するインド政府の懸念の高まりを反映したものである」と述べています。

するとカナダ側も負けじと渡航アドバイスを更新し、インド全土でテロ攻撃の脅威があるため、渡航者に厳重な注意を払うよう国民に警告しました。

この報復合戦により、二国間貿易協定についての話し合いが頓挫し、両国の緊張が高まっています。

第二次世界大戦の軍人を招いて賞賛

この騒動の舌の根も乾かぬうちに、カナダがまたやらかしました。

国連に出席するために北米を訪れていたウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、その足でカナダを訪問し、9月22日にカナダ議会で演説をしました。

その議会に、第二次世界大戦の退役軍人ヤロスラフ・フンカ氏(98)を招待し、「ウクライナ独立のためにロシア軍と戦った英雄」と讃えたのです。(※当時はロシアじゃなくソ連ですが)

議会でアンソニー・ロタ下院議長が「彼の名前はヤロスラフ・フンカ。ウクライナの英雄であり、カナダの英雄でもある」と紹介。

すると、議会全員が総立ちしてスタンディング・オベーションです。↓

カナダとすれば、ここまでは「演出成功」だったのでしょう。

しかし、この後すぐにとんでもないことが判明します。いやマジでとんでもない。

フンカ氏はナチス親衛隊のメンバーだった

というのもこのフンカ氏は第二次世界大戦当時、第14SS武装擲弾兵師団(ガリーツィエン第1師団)のメンバーだったことが判明したのです。

第14SS武装擲弾兵師団は、簡単に言えば「ナチス親衛隊」です。今の国際社会でナチスに所属していた者を賞賛することは、ある意味で一番ヤバい。

第14SS武装擲弾兵師団はウクライナ人で構成されていたといい、1944年にはアドルフ・ヒトラーのNo.2だったハインリヒ・ヒムラーが指導者として訪問したという。ヒムラーは、ナチスの強制収容所システムを一元化した責任者です。

第14SS武装擲弾兵師団は戦後の1946年、ニュルンベルクの国際軍事法廷によって犯罪組織と認定されたナチス親衛隊の一部であり、ポーランド人とユダヤ人の民間人を大量殺害したことで、戦争犯罪と人道に対する罪を犯したと判断されました。

なぜカナダはフンカ氏の身分チェックをしなかったのか。

ユダヤ人権団体が一斉に抗議

いずれにしても時すでに遅しです。

「サイモン・ヴィーゼンタール・センター・ホロコースト研究友の会」は声明を発表し、第14SS師団は「想像を絶するレベルの残忍さと悪意で、罪のない市民を大量に殺害した責任がある」と述べました。

また、「ホロコーストの生存者とナチスと戦った第二次世界大戦の退役軍人のすべてに謝罪が必要であり、この人物がカナダ議会の神聖なホールに入り、下院議長から表彰され、スタンディングオベーションを受けたことについて説明がなされなければならない」

サイモン・ヴィーゼンタール・センターは、日本のアイドルグループ「欅坂46」の衣装が「ナチスそっくり」だと批判された時も、謝罪を要求している団体です。それくらいこの問題はシビアなのです。

さらにユダヤ人人権団体B’nai Brith Canadaのマイケル・モスティン最高経営責任者(CEO)も声明で、議会のフンカ認定は「言語道断を通り越したものだ」と述べました。

「第二次世界大戦中、ナチスの第14ヴァッフェンSS(アドルフ・ヒトラーに忠誠を誓ったナチス部隊)に所属した後、カナダに移住したフンカ氏は、出席した国会議員や上院議員からスタンディング・オベーションを受けた。」

「歴史を白紙に戻すことは許されない。カナダの兵士たちは、ナチスの蛮行から世界を解放するために戦い、命を落としたのです。」

他にもたくさんの批判が出ており、大炎上です。

下院議長に辞任要求

フンカ氏を「英雄」と呼んだアンソニー・ロタ下院議長は、野党から辞任要求を突きつけられました。まあ当然でしょうけど。

野党院内総務のアンドリュー・シェア氏は「この場合、グーグル検索をすれば、その人物が第二次世界大戦中にナチスのSS師団に所属していたという記事を見つけることができただろう」と述べ、「この問題は、あなたの声明や謝罪で終わるものではない」と非難しました。

一方ロタ下院議長は、フンカ氏のナチスとのつながりは「知らなかった」とし、彼をイベントに招待したのは「間違いだった」と述べました。

また「カナダと世界中のユダヤ人コミュニティーに深く謝罪したい。私の行動の全責任を認めます」と謝罪しました。

トルドー首相はロタ氏に辞任を求めず、記者団に対し「このようなことが起きたことに非常に動揺している」と語り、「これはカナダ議会にとって、ひいてはすべてのカナダ国民にとって、深く恥ずべきことだ」と述べました。

そしてお決まりの「ロシアの偽情報と戦うんだー」を持ち出しています。もはや伝統芸。

カナダの迷走、まだ出てくるんでしょうか。


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