ブランソン裁判
連邦最高裁判所が、重要な裁判の審理をおこなうかどうか協議するようです。
この裁判は私も含め、ほとんどの人に知られていなかったのでは。なぜなら、メディアがほぼ無視してきたからです。もしかしたら、取るに足らないB級C級レベルの訴訟として問題にさえしなかったのかもしれません。
しかし、通称「ブランソン裁判(ブランソン対アルマ裁判)」と呼ばれるこの訴訟は、現職の米国大統領と副大統領およびマイク・ペンス前副大統領、そして連邦議会の388名の議員の解任の可能性に関わるものです。
最高裁は10月24日にこの裁判をドケット(リスト入り)し、来年2023年1月6日に協議が予定されています。奇しくも1月6日というのが因縁じみていて面白い。
Brunson case update!!!! ⁰The supreme court has excepted it for conference and that date is January 6, 2023, coincidence? Also three days after the new congress swears in.  ✌️ pic.twitter.com/fOPeb96yyu
— Spaceshot76 (@straightshot76) November 30, 2022
選挙不正を訴える裁判ではない
ちなみにこの訴えは、直接選挙の不正を問うものとは少々意味合いが違うようです。
というのも最高裁は、これまでの2020年の大統領選挙にまつわる訴訟をことごとく取り扱わず、保守派を大いに失望させてきた経緯があります。最高裁のスタンスは、常に「選挙の問題は州で解決しろ」というものでした。
しかし今回はそれとは違うというのです。
ではブランソン裁判とは一体何なのか?
なぜメディアが口を閉ざすのか?
そしてこの裁判で原告の主張が認められた場合、現職の大統領・副大統領・議員らの運命はどうなるのか?
ちょっと調べてみました。(ちなみに私は専門家ではないので法的な部分はわかりません)
ブランソン兄弟
ユタ州オグデンに住む、ロイ、ラランド、デロン、ゲイナーの4人からなるブランソン兄弟。
ブランソン・ブラザースはミュージシャンでもあり、1980年台にはそれなりに売れていたという。中でもロイ氏は今年上院議員に立候補しています。
彼らは2020年の大統領選挙で、不正に操作されたという主張を目にしました。誰もが目にしてきたものです。
このとき投票を調査する案が議会に提出されましたが、マイク・ペンス副大統領を含む380人以上の議員が反対票を投じ、調査を妨害したことに兄弟は衝撃を受けたという。
これをなんとかしたいと考えたブランソン兄弟は、作戦を練ることになりました。
幸いなことにデロン氏は、金融界の腐敗を問う裁判を銀行相手に起こした事があり、法律分野ではそれなりの経験を積んでいたという。
長いストーリーの始まりです。
A+ to whoever is responsible for casting this movie. Brunson Brothers 17 Performance ! pic.twitter.com/jxTUMFkFhO
— Next Stop…ANDREW (@MrDrewENT) December 1, 2022
多数の議員が10日間の調査に反対
ロイ氏とラランド氏は、それぞれ2021年にユタ州で別々に裁判を起こします。
ロイ・ブランソン氏の提訴:2021年3月23日
ラランド・ブランソン氏の提訴:2021年6月21日
ロイ氏のケースは引き続きユタ州で係争中ですが、ラランド氏の裁判は最高裁にドケット(No.22-380)されました。まだ第10巡回区控訴裁判所で判決が出ていないにもかかわらず――これは珍しい事だそう。
なぜ異例にドケットされたのか?
それに触れる前に、そもそも米国憲法では選挙に不正疑惑があった場合、10日間の調査期間を設けて不正があったかどうかを調べることが出来ることになっているという。
しかしすでに書いたように、多くの議員から反対票が投じられ、調査は行われなかったのです。
ブランソン兄弟は、これが憲法修正第1条、憲法第6条、憲法修正第14条第3項、憲法修正第5条と第9条、さらにユタ州憲法のいくつかの条項に違反していると主張しました。
上で直接選挙不正を問うものでないと書いたのは、そういうことです。でなければ最高裁は、これまでと同じように受け付けなかったでしょう。
ブランソン兄弟の作戦勝ちと言えます。
当初はジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領、ナンシー・ペロシ下院議長の3人が被告として挙げられていましたが、その後380人以上の議員と100人以上の匿名が被告として追加されています。すべて連邦政府のメンバーです。
一度は棄却されるも、スーパーアイテムを見つける
ラランド氏の提訴は2022年2月2日に連邦政府による却下の申立が認められ、一度は棄却されました。
このすぐ直後の2月14日に第10巡回区控訴裁判所に控訴しています。
この後、ターニングポイントが来ました。
ブランソン兄弟は控訴裁判所の判断を待つ必要がないことに気付いたのです。それは「ルール11」という規則により、巡回区控訴裁判所を飛び越えて、直接最高裁判所に訴えることが出来るとわかったのです。
「ルール11」
米国控訴裁判所で係属中の事件を、その裁判所で判決が下される前に審査するための訴訟令状の申請は、その事件が通常の控訴実務から逸脱することを正当化し、当法廷での即時決定を必要とするほど、緊急の公共的重要性を持っていることを示した場合にのみ認められる。
(機械翻訳)
2022年9月23日、最高裁は嘆願書を受け取りました。
奇しくも大陽が天秤座に入った日です。
ついに最高裁が受理
9月28日、ラランド氏に最高裁の書記官から電話が入ります。嘆願書の修正を依頼され、いつ出来るか問い合わせるものでした。
10月17日にもう一度最高裁書記官から催促の連絡が入り、ラランド氏は「すぐに送る」と答えています。そして20日に修正版が最高裁に発送されました。
10月24日、ついに最高裁にドケットされました。受け付けられたということです。
これにより、被告側(議員側)の弁護士は11月23日までに反論を回答しなければなりませんでしたが、なんと、弁護士は期限までに回答をしなかったという。
それどころか弁護士が交代し、回答の権利を放棄しています。これは最高裁が次のステップに進むことを意味します。
なぜ回答を放棄したのか。もしかして反論の余地なしとお手上げだったのか。あるいは余裕で勝てると思っているのか。それとも最高裁が棄却すると思っているのか。
いずれにしてもこの結果、9人いる最高裁判事がブランソン裁判を審理するかどうかを決定することになりました。この場合は過半数ではなく、9人のうち4人が賛成すれば審理されることになるとのこと。
国会議事堂乱入事件
もう一つの疑問は、なぜ380名以上の議員は、10日間の調査に反対したのか?憲法で認められているにもかかわらず。
答えは明白でした。提案されたのが2021年1月6日、つまり国会議事堂乱入の日だったからです。
この日100名ほどの議員が、選挙違反の可能性について10日間の調査を要請することになっていました。そこにあの乱入事件が起こったのです。
夜遅くに議会が再開されましたが、すでに書いたように不正の調査は反対多数により否決されました。あのゴタゴタの混乱の中で、選挙結果はゴリ押しされました。
被告に求められているもの
この訴訟でブランソン兄弟が大統領、副大統領そして380名以上の被告議員に求めているものは何か?
――永久に罷免し、二度と公職に就かせないことです。
つまりジョー・バイデン大統領、カマラ・ハリス副大統領、マイク・ペンス前副大統領、そして調査に反対した380名以上の議員達を永久に追い出すことなのです。
そして5年以上の懲役および1万ドル以上の罰金を求めています。
もちろんこれは、米国史上初めてのケースです。
最高裁がどう判断するのか予想も付きませんが、続報を待ちたいと思います。
最高裁の判断が公開↓
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