おもちゃを侮るな――スマートトイやゲームは個人情報を狙っている

Elvgashea SIX, CC0, via Wikimedia Commons

スマートトイの懸念

子供のクリスマスプレゼントにスマートトイをプレゼントした方もいるのでは。

スマートトイとは、ネットに接続したり、スマホやタブレットと連動することができる玩具です。子供が勉強できる機能を備えたものもあり、親からすれば遊びと教育を兼ねた一石二鳥のおもちゃでしょう。

ところがこのスマートトイに懸念が出ています。

全米PIRG教育基金は、人工知能(AI)を搭載したおもちゃに対する警告を発しました。

それによると、マイク、カメラ、接続機能(Wi-FiやBluetooth)、追跡機能、VRヘッドセットなどが、子供を追跡したり個人情報や識別情報(虹彩など)を収集している可能性があるという。

例えばフィッシャープライスというブランドの「スマート・トイ・ベア」というクマのおもちゃは3~8歳の子供向けのもので、話を聞いたり、話すことができたり、会話を録音するという。

しかしこのおもちゃにはセキュリティ上の欠陥があるためハッキングされる恐れがあり、製造中止になっています。

こうした脆弱性のあるおもちゃは販売中止になっているにもかかわらず、いまだに販売されているケースがあるという。

オンラインゲームの少女誘拐事件

9月にニュージャージー州の11歳の少女が、オンラインゲーム「Roblox」を通じて知り合った男に誘拐されました。

Robloxは、ユーザーが様々なゲームで遊んだり、オンラインで他のユーザーとチャットしたりすることができる人気のモバイルゲームの1つだという。

27歳のダリウス・マチルウィッチは、Robloxをプレイしているときに少女に接触したとのこと。少女は9月10日に自宅から行方不明になった。

しばらくして、自宅から200km以上離れた場所で無事に少女が発見されたという。

マチルウィッチは第一級誘拐罪と第三級児童福祉危険罪で起訴され、最高30年の禁固刑に直面しています。

Amazonのアレクサ

5月に連邦取引委員会(FTC)は、AmazonのAlexa(アレクサ)が子どもの音声記録を無期限に保存し、親が削除を要求しても記録を削除しなかったことで、子どものオンライン・プライバシー保護法規則(COPPA)に違反しているとして訴えました。

「COPPAは、いかなる理由であれ、企業が子供のデータを永久に保管することを認めていない」

Amazonはアレクサのアプリを通じて、位置情報から音声記録に至るまで、ユーザーに関する膨大な量のデータを収集しているという。

Amazonは、アレクサから収集した音声記録や位置情報を「削除できる」と、親などのユーザーに対し、目立つように繰り返し保証していたとのこと。

しかし同社は、これらの情報の一部を何年にもわたって保持し続け、この約束を守らなかったという。

これは悪質としか言いようがない。アレクサ(と同じような製品含む)使っている人いると思うけど、たぶん私生活が筒抜けです。

「FTCと司法省は、アマゾンが子供のアレクサ音声記録を永久に保持し、保護者の削除要求を弱体化させたとして、児童プライバシー法違反で起訴」↓

メタバースのVR

PIRGは、メタバースを運営するMeta社のバーチャルリアリティ(VR)ヘッドセット「Quest3(クエスト3)」と、Meta社の10~12歳向けのジュニアVRアカウントをテストしたという。

それによると、子供のアカウントには奇妙なものから不適切なものまで、さまざまな接触ややりとりがあることが分かったとのこと。他の研究でも、特に10代の少女のアカウントを使用した場合、セクハラや性的暴行未遂があったとか。

またQuestのVRヘッドセットで利用できるアプリの中には、性的なコンテンツが含まれているものがあったという。

VRヘッドセットはまた、さまざまな個人データを収集することができ、それを企業がどのように使用するかを制限する規制はないとのこと。

まあMetaはこれまでも書いてきたように、FacebookやインスタグラムやThreadsでさまざまな個人情報を収集してますし、児童性愛者に協力していると訴えられていますから、当然こういうことをやっていると考えてもおかしくはない。↓

Facebookやインスタグラムのブラック化――メッセージの暗号化は犯罪を野放しにする

2023年12月23日

企業は普通に情報収集している

PIRGは、5~7歳向けの恐竜のおもちゃ「コグニトイズ・ディノ」のような、無害に見えるおもちゃでさえ、子供の名前、誕生日、性別、住所、支払い情報、その他の個人データを収集することができると警告しています。

またスマートスピーカー、スマートウォッチなどはしつこいくらいに1日に何回も個人情報を収集しているといい、特にスマートスピーカーはユーザーの会話を何度も録音していると警告しています。

2023年にAmazonは同社のスマートスピーカーが収集したユーザーの音声データと位置情報を、削除しなかったとしてCOPPA違反で訴えられ、2500万ドルを支払って和解したという。

今年、マイクロソフト社は、Xboxゲームシステムで、保護者の同意なしにフルネーム、電話番号、電子メールアドレス、生年月日を含む子どもの情報を収集していた疑惑を解決するため、2000万ドルの支払いを命じられました。

またGoogleが運営するYoutubeは、保護者の同意なしに子どもたちの個人情報を違法に収集していた疑惑で1億7000万ドルの罰金を支払っています。

たぶんそれだけ罰金を払ってでも、個人データの方が儲かるから性懲りもなく繰り返すのでしょう。

Trouble in Toyland 2023 /PIRG


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2023年4月1日
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