このシーズンオフも西武ライオンズの菊池雄星投手がメジャーリーグ(MLB)に挑戦しようとしているが、そのMLBに「ロベルト・クレメンテ賞」というのがある。これはその年、最も積極的に人道的支援の活動を行った選手に贈られる賞で、2018年度はセントルイス・カージナルスのヤディアー・モリーナ選手が選ばれた。つい先ごろ開催された日米野球にも参加していたMLBを代表する選手である。
そのモリーナのことではない。
なぜ人道的な賞に「ロベルト・クレメンテ」の名が冠されているのか――。
首位打者4回、通算安打3000本、ゴールドグラブ12回
その人物=ロベルト・クレメンテは1934年にプエルトリコで生まれた。MLBは今でこそ、当たり前のように黒人や中南米出身の選手が多数活躍している。この賞を獲得したヤディアー・モリーナもプエルトリコ出身である。
小さい頃から身体能力に優れていたクレメンテは、高校を卒業するとMLBの9チームからオファーが来たという。その中で高い条件を提示したブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)と契約した。しかしチーム事情から、格下のマイナーチームでプレーさせられ、出場機会も削られた事に不満を持っていたという。
MLBには、実力があるにも関わらずチーム事情によって日の目を見ることができない選手を、他のチームが獲得できる救済システムのようなものがある。これによってクレメンテはピッツバーグ・パイレーツに移籍した。
その後パイレーツで実に18シーズンにわたってプレーを続け、4回の首位打者、12回のゴールドグラブ賞、リーグMVP1回、ワールドシリーズMVP1回、野球殿堂入り、そして彼の付けていた背番号「21」はパイレーツの永久欠番になっている。
・・・ドジャースはなんとももったいない。
キャリア最後になった1972年シーズン、クレメンテはケガにも悩まされていたが、102試合に出場し打率.312、オールスターにも出場し、ゴールドグラブを獲得した。シーズン終了間近の9月30日のニューヨーク・メッツ戦、第2打席に二塁打を打ち、キャリア通算安打数が3000本に到達した。
しかし、これがクレメンテ生涯最後のヒットになってしまう。
慈善精神が仇に
それまでもクレメンテはシーズンオフになると、中南米やカリブ海諸国で慈善事業に携わり、食料や野球用具などを支援していたという。このような崇高な精神が結果的に悲劇を生むとは、実に嘆かわしいものだ。
シーズンが終わった1972年12月23日、ニカラグアで大地震が起こった。
この災害に対してクレメンテはすぐに救援活動の手配を始め、現地に物資を送った。しかし最初に送った食料・衣料品・毛布などの救援物資は、現地の被災者に届かなかった――なぜなら、横領されて横流しされてしまったのである。腐敗した役人か軍人によって売りさばかれたという、実に胸糞な話だ。
これを聞いたクレメンテは「自分で届ける」と言い出した。「俺が行けば盗むヤツはいないだろ」「子供たちを助けたいんだ」と、自らニカラグアに飛ぶ準備をしたのだった。チャーター機の費用を抑えるため、安価なプロペラ機「ダグラスDC-7」という機体を借り、物資を積み込んだ。機体の最大積載量を超える量だったという。
しかしこのDC-7は、積載量オーバー以前に問題があった。もともと機械的なトラブルがあり、整備も不十分だったという。しかも1ヶ月ほど前に軽い事故を起こしていた。クレメンテはそれを知らされていなかった。
予知夢
運命の12月31日、クレメンテはプエルトリコの首都サンファンにある空港から飛び立とうとしていた。しかしフライト予定時刻から大幅に遅れていた。早い時間に天候が悪化したことや、物資の積み込みに時間がかかったことによるが、この期に及んで故障箇所を修理していたという情報もある。
実はこの前夜、クレメンテの息子ロベルト・ジュニアが「父が二度と帰ってこない」夢を見たという。さらにこの数週間前にも、祖父が飛行機が墜落する夢を見ていた。こうしたことから、妻ヴェラはクレメンテ本人に不安な予感を伝えたという。
しかしクレメンテは、頑なに出発を主張した。
実は妙な予知はこれだけではなかった。クレメンテ自身も予知夢を見ていたのだ。それは事故の数日前に見た、「自分の葬儀の夢」だった。上空から、自分の葬儀に集まっている人たちを見ている場面だったという。翌日、妻ヴェラが本人から聞いている。
【参照】Profile: Roberto Clemente/CNNfyi.com
離陸直後の墜落
遅い時間になると天候も回復し、DC-7は21時11分、滑走路に移動した。21時20分に離陸し、徐々に高度を上げていった。
離陸して約3分後の21時23分、エンジンの調子がおかしくなり、管制塔に無線が入る。
――「引き返す」
機体は旋回した直後、カリブ海に墜落した。
墜落直後に救助作業が開始されたが、機体の一部が回収されたものの、クレメンテの遺体は見つからず。乗客2名、クルー3名の計5名が全員死亡した。
ロベルト・クレメンテのホロスコープ
一応astro.comのデータを元にしているが、クレメンテのホロスコープは太陽と土星が180度になっていて、これはクソが付きそうなほど真面目に生きることになる。この太陽は獅子座だが使命感を持ち、水瓶座の土星に一気に向かう。これは血筋や内輪など関係ないよ、みな平等だと言わんばかりだ。
クレメンテが生まれた家は貧困だったが、小さい頃から母親とバプテストの教会に通って他者の幸福を祈り、恵まれない人を訪問したという。こうしたベースが後の彼の慈善精神を養ったのだろう。
ただ8ハウスあたりに天体が多くあり、このあたりがネガティブに働かなかっただろうか。
事故の時、生まれの月にトランジットの火星と海王星がそばにあった。さらに火星・冥王星には、トランジットの天王星が90度になっていた。天王星は飛行機の意味がある。また、よく見るとゆるい月・土星・海王星のTスクエアだったりもする。
後世に多大な影響を残したクレメンテの功績に敬意を表したい。
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