GMOが女子ゴルフ試合のスポンサーを辞退
GMOインターネットグループの熊谷正寿代表が、来期予定されていた女子プロゴルフの試合のスポンサーを降りることを発表しました。
GMO熊谷氏、来年の女子ゴルフツアー主催を辞退「心から残念」協会に反発/ゴルフ/デイリースポーツ online https://t.co/Mi9dbqYxIW #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) December 20, 2021
同社は「GMOインターネット・レディース・サマンサタバサ・グローバルカップ」を主催しており、来期の賞金総額は2億円を提供する予定だったとのこと。さらに2023年は3億円で主催するつもりだったと述べています。
ネットも反発
女子プロゴルフツアーを運営する日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は、来期から試合の中継は有料放送しか認めないことを表明しており、熊谷氏はこれに反発していました。
熊谷氏は1日に日本女子プロゴルフ協会から来年度は有料放送しか放映を認めないとの連絡が来たことをつづり、14日には「有料放送だけなら主催者を降ります」と宣言した。さらに「女子プロゴルフ協会からこの一連のツイートを削除せよとの手紙がきた」と明かしていた。
ネットの反応も以前からJLPGAの決定に反発する声が多く、女子ゴルフの試合が地上波などで無料で見られなくなることに異論を唱え、今回の熊谷氏の意向を支持する声が見られました。
「JLPGAは利益を優先している」「ファンが減る」「お金を払ってまで見ない」など、多くの否定的な声が上がっています。
来季から協会が放送権を一括管理
JLPGAは来季から、日本女子プロゴルフツアーの各試合の放送権を一括管理することを決定しています。これにより放送権をネット配信業者などに販売できることになり、ツアーの充実や財政の安定化が見込めるとしています。
今まではスポンサー企業やテレビ局が主催者になっており、JLPGAは試合の公認料のみ受け取っていたようですが、来季からはこれまでのやり方が通用しなくなりました。結果としてGMOのような企業も出てくるわけです。
JLPGAは2017年から全ての放映権を持つことを主張していたといい、これまでの慣習や既得権益を引きずる主催者企業や放送局との協議がズルズルと続いていました。今年、JLPGAは思い切った決断を迫ったと言います。
『10月25日17時までに条件なしで協約書を出さなければ、競技開催の意思がないとみなし、優先交渉権は失効する』というもの。その場合、日程変更や新規募集を11月1日から始めるというダメ押しつき。放映権のJLPGA帰属を認めない限り試合はさせない、ということだ。
小林浩美会長の意向か
JLPGAが放映権料を一括管理する方向に舵を切ったのは、小林浩美会長の意向が強いと思います。
小林会長は2011年から会長に就任していますが、選手時代に米LPGAツアーに参戦していましたので米国ツアーの事情をよく知っているはずです。
LPGAに限らず米国のスポーツ協会(運営組織)は、放映権料を持ちそれを放送局に販売することで利益を得、繁栄してきました。MLBなど4大スポーツも全てそうです。またユニフォームやキャップなどグッズの販売権も持ち、各チームに利益を分配しておりwin-winの関係を保っています。
例えば米男子プロゴルフのPGAなどはこれによって資金が豊富で、引退後の選手に年金を支払っています。トッププレーヤーになるとかなりの年金額だと言われています。女子の方はわかりませんが。
著作権の問題
それと放送局が著作権を持ってしまうと、勝手に動画などを使うことができません。好プレーやナイスショットなどSNSに投稿することすらできないのです。過去の名シーンやレジェンドの選手達なども気軽に使えません。
例えばこういう伝説のシーン↓
“OH WOW!”
🗓 16 years ago today, Tiger Woods (+350 pre-tourney) sinks an iconic chip shot on 16…
He would go on to win the Masters in a sudden death playoff 🏆 pic.twitter.com/0wym6jzDVO
— GolfBet (@GolfBet) April 10, 2021
現在はこうしたネットでのプロモーションも非常に効果的な時代になっており、日本もいずれ古い慣習が見直される時が来ていると思います。
小林会長がどこまで計画しているかはわかりませんが、間違いなく米国の影響を受けていると思われ、今回しびれを切らして思い切った行動に出たというのは容易に想像できます。
時代の流れ
ファンは気軽に地上波で見られなくなると言いますが、プロ野球などにしても現在はほぼ地上波では見られなくなっており、特定のチームを追いかけているファンなどは有料チャンネルで視聴する時代になっています。サッカーなどもそうです。
かつては日テレの巨人戦が20%超えという時代がありましたが、現在はいろいろなジャンルのスポーツに人気が分散するようになり、個々のスポーツは視聴率がそれほど望めるものではなくなってきています。
その点からしてもゴルフも高い視聴率が望めるものではなく、地上波で放映するメリットはなくなってきており、そうしたことからも小林会長の判断は将来を見据えてのものだと言う気がします。
しかしファンにしてみれば、これまで無料で見ることが出来た権利を協会側の強行手段によって奪われたという思いがあり、非難の声を上げたくなる気持ちは理解できます。人間はこれまでの権利を奪われることに抵抗感が強いのです。
しかしこれも時代の流れと言えるかもしれなくて、有料放送でも見たい人は見るでしょうし、それでどうなっていくかは今後の展開次第という気がします。
熊谷氏のいう「子供達はどうやって見るのか」というのにしても、だったら今の子供達は野球やサッカーを見ていないのかという問題にも通ずることになるのでは。
ではこの辺で失礼します。
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