トランプ、ジョージア州で起訴
予想通りドナルド・トランプ氏がジョージア州検察から起訴されました。これで4度目です。
現地8月14日、ジョージア州で2020年の大統領選挙を覆そうとした疑いで19名が起訴され、トランプ氏はそれを主導したとしています。
8月25日にジョージア州フルトン郡の大陪審は、RICO法違反、公務員による宣誓違反の勧誘、公務員になりすました共謀、第一級偽造の共謀;虚偽陳述・虚偽文書作成共謀罪、虚偽文書提出共謀罪、第一級偽造共謀罪、虚偽文書提出共謀罪、公務員による宣誓違反の勧誘など、41の罪状で起訴しました。
RICO法(Racketeer Influenced and Corrupt Organizations)とは、もともとマフィアやギャングを取り締まるための法律らしく、ゆすりや恐喝などの違法行為を組織的に行い(ラケッティア活動)、自分たちの利益を得る者を取り締まるものだそうです。
この調査を主導したジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地方検事は、トランプ氏ら19人に8月25日までに自首するよう言い渡しています。
ウィリス検事は記者会見で、6ヶ月以内に裁判を行いたいと述べました。
BREAKING: Trump indicted out of Georgia probe into alleged efforts to overturn 2020 election https://t.co/mvrFXlfstx
— Fox News (@FoxNews) August 15, 2023
起訴内容
起訴状によると、
- ドナルド・トランプ被告は、2020年11月3日に行われたアメリカ合衆国大統領選挙で敗北した。彼が負けた州のひとつはジョージア州だった。
- トランプと他の被告は、トランプが負けたことを受け入れることを拒否し、故意に、不法に選挙結果をトランプに有利に変更する共謀に加わった。その共謀には、ジョージア州フルトン郡、ジョージア州の他の場所、および他の州で、2つ以上のゆすり行為を行う共通の計画と目的が含まれていた。
- 被告と未起訴の共謀者たちは犯罪組織を構成し、そのメンバーや仲間は、虚偽の陳述や書き込み、公務員へのなりすまし、偽造、虚偽書類の提出、証人への影響、コンピュータ窃盗、コンピュータ不法侵入、プライバシー侵害、州を詐取する共謀、窃盗を伴う行為、偽証を含むが、これらに限定されないさまざまな関連犯罪行為に関与していた。
- これらの虚偽陳述の目的は、ジョージア州選出の正当に選挙された有資格の大統領選挙人による合法的な選挙人投票を拒否するよう、ジョージア州議員を説得することであった。
- トランプとその家族がマイク・ペンス副大統領(当時)を不正に勧誘した。
などと主張しました。まだ他にもありますが長くなるので。
起訴された19名は以下です。
ルディ・ジュリアーニ(元トランプ顧問弁護士)
ジョン・イーストマン(弁護士)
マーク・メドウズ(元トランプ主席補佐官)
ケン・チェセボロ(弁護士)
ジェフリー・クラーク(元司法次官補)
ジェナ・エリス(元トランプ上級法律顧問)
レイ・スミス3世(弁護士)
ロバート・チーリー(弁護士)
マイケル・ローマン(トランプ陣営幹部)
デビッド・シェイファー(ジョージア州共和党委員長)
ショーン・スティル(共和党選挙人)
スティーブン・リー(牧師)
ハリソン・フロイド(親トランプ団体元代表)
トレビアン・クッティ(カニエ・ウェスト広報担当)
シドニー・パウエル(弁護士)
キャスリーン・レイサム(共和党選挙人)
スコット・ホール(世論調査員)
ミスティ・ハンプトン(コーヒー郡選挙管理官)
41ある訴因のうち、トランプ氏は13の訴因で起訴されています。
カウント9:公務員になりすました共謀罪
カウント11:第一級偽造罪の共謀
カウント13:虚偽陳述書共謀罪
カウント15:虚偽文書提出の共謀
カウント17:第一級偽造の共謀
カウント19:虚偽陳述および虚偽文書提出の共謀
カウント27:虚偽文書提出
カウント28:公務員による宣誓違反の勧誘
カウント29:虚偽陳述および虚偽文書
カウント38:公務員による宣誓違反の勧誘
カウント39:虚偽の陳述および記述
トランプが圧力をかけた誤報
トランプ氏は2020年大統領選挙後の2021年1月2日に、ジョージア州のブラッド・ラフェンスペルガー州務長官に「11,780票を見つけたい」と依頼した音声テープがワシントンポストによって報じられました。
このときトランプ氏は「不正を見つけろ」そうしたら「国の英雄になる」などと言って票の集計を修正するよう圧力をかけたと報じられました。
おそらくウィリス検事は、このときの報道なども参考にしたのでは。
しかし後に、この音声テープは改ざんされていたことが発覚しました。実際は1時間ほどの会話だったのが、4分半にまとめられていたという。
トランプ氏は「不正を見つけろ」とも「国の英雄になる」とも言っていなかったとして、ワシントンポストは訂正文を出しています。
実際の会話は、2人とも弁護士同伴の上で行われていたため、恫喝や圧力などできる状況ではなかったようです。普通に事実関係を確認しあったものだったという。
本記事の掲載から2カ月後、ジョージア州務長官がドナルド・トランプ大統領と同州トップの選挙調査官との12月の電話会談を録音した音声を公開した。この録音によって、ある情報筋から提供された情報に基づき、『ポスト』紙がこの通話におけるトランプのコメントを誤って引用したことが明らかになった。トランプ氏は調査官に「不正を見つけろ」と言ったり、そうすれば「国家の英雄」になると言ったりはしていない。
検察の失態
実はこの起訴で、検察は失態をやらかしています。
なんと大陪審の評決結果が出る前に、フライングで起訴状をWebサイトに公表してしまいました。これは裁判の公正さを損なうもので、憲法上の手続きに違反しています。
ロイターが報じてすぐに削除されたものの、すでに拡散されており物議になりました。つまりこの起訴は、もともと決まっていたのではないかとの疑惑をもたらしたのです。
検察はこの起訴状を「架空の文書」と弁明しましたが、ちゃんと事件番号も記されており、正式な起訴状と一致していたようです。
2024年大統領選に立候補しているビベック・ラマスワミ氏は、ツイッターXで検察を批判しました。
「大陪審が実際に起訴状に署名する前に起訴状を公表したことは、憲法上の適正手続きに違反しているとして、即座に却下の申し立てを行うものである。検察官が米大統領選を決めるべきではないし、もし彼らが憲法違反を犯すほど熱中しているのであれば、その事件は破棄され、彼らは責任を追及されるべきだ。」
Here we go again: another disastrous Trump indictment. It’s downright pathetic that Fulton County publicly posted the indictment on its website even before the grand jury had finished convening. Since the four prosecutions against Trump are using novel & untested legal theories,… pic.twitter.com/LOYkGcCgm5
— Vivek Ramaswamy (@VivekGRamaswamy) August 14, 2023
またマット・ゲーツ下院議員は「これは言語道断な検察の行為であり、大陪審プロセス全体が汚され、腐敗しているとみなされる極めて正当な根拠だ」とし、「解任せよ」とお怒りモード。
マジョリー・テイラー・グリーン下院議員も「これは完全に違法だ。ファニ・ウィリス検事は罷免されなければならない」と述べました。
これは別の火ダネになるかもしれません。
ヤバいエミリー・コーズ
この件で早くから話題になっていたのはウィリス検事ではなく、ジョージア州大陪審の陪審長、エミリー・コーズ氏です。
30歳だというコーズ氏は、CNN、AP通信、ニューヨークタイムズなどのインタビューで、この起訴の可能性についてベラベラと喋っちゃっています。
その中でトランプ氏について聞かれた際、「前大統領を召喚したかったんです。トランプ大統領に”厳粛に誓いますか”みたいな感じで、彼に宣誓してもらえたら、本当にクールだと思ったの。」
「それは素晴らしい瞬間だろうと思った。」
トランプが起訴される可能性はあるのかとの質問については 「ショックを受けることはないでしょう。ロケット科学じゃないんだから」
また「ウィリス検事によって、10人以上が起訴されるだろうと考えている」などとも語っていました。
正気ですかねこの人。大陪審を裁く人ですが。
The foreperson, Emily Kohrs, then continued her media tour on MSNBC, joking about how "awesome" it would be to personally subpoena Trump. pic.twitter.com/x36YqWWD59
— Tom Elliott (@tomselliott) February 22, 2023
これにはさすがのCNNのアナリスト、元米国検事エリー・ホーニグ氏でさえ、彼女のことを「検察官の悪夢」と述べました。「これは恐ろしい考えです。検察官がうろたえること請け合いだ」
「彼女は何も話してはいけないことになっている。審議については本当に話してはいけないことになっているんだ。彼女は一線を越える可能性がある。検察にとっては本当に問題になるでしょう」。
MCのアンダーソン・クーパー氏も「これは非常に深刻な事態だ。どんな人物でも起訴するという話ですからね。その人の自由を奪う可能性があるという事です。この国の歴史上初めて、元大統領の可能性があるという話だ。彼女はそのことを真剣に考えていないようだ」。
ぶつかり合い
まあいずれにしても民主党は司法を武器にしてトランプ攻撃、共和党は議会を使ってハンター・バイデンの件を追い詰める、のぶつかり合いの構図が繰り広げられています。
2024年大統領選挙が近づいているので、あっちがやるならこっちもやる、という分断がどんどん進んでいますが。
民主党はバイデン家がヤバいかもしれないので、ともかく人気の落ちないトランプ氏をなんとか有罪にして大統領選挙から排除しようと躍起なのは明白です。
最近では民主党議員の中からもバイデンはまずい、って雰囲気が出てるみたいです。ラスキン議員でさえもう認めちゃってますからね。
来年の大統領選挙まで、どんどんいろんな事が出てくると思います。目を離すな。
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