弟がバイデンの名前を利用したことがリーク
いよいよ2月21日に下院監視・説明責任委員会による、ジョー・バイデン大統領の弟ジェームズ・バイデンの公聴会が行われます。(略してジム・バイデンとも呼ばれる)
言うまでもなくこの公聴会の目的は、バイデン大統領の弾劾調査に伴ってバイデンファミリーの汚職について調査するものです。バイデン大統領の弾劾調査は、2023年12月13日の下院議会で221対212で可決されました。↓
ジェームズ・バイデンの公聴会では、彼が携わっていた医療関連会社「アメリコア」の件が間違いなく追求されることになります。
そんな中、Politicoが爆弾スクープを投下しました。ようやく左派メディアもこういうことをやるようになった。
それによるとジェームズ・バイデンは、兄ジョー・バイデンの名前やコネを利用して有利に仕事を進めようとし、時には中東から資金を引っ張り出そうとしていたことが分かったという。
そしてジョー・バイデンはこの会社から間接的に利益を得ていた。
The Biden name: How the president’s brother became embroiled in a hospital fiasco https://t.co/JFft9plqpt
— POLITICO (@politico) February 18, 2024
アメリコアは破綻後も捜査を受けている
ジェームズ・バイデンは、アメリコアの事業拡大の資金を調達するため、中東の投資家から資金を集めると申し出たという。
しかし期待した資金が集まらなかったために財政は悪化し、2019年に破綻しました。
この破綻でスタッフは無給となり医療物資も不足したため、患者に死亡者が出たという。
破綻から4年経った今でも、連邦捜査当局はアメリコアに何があったか積極的に調査しています。その中には、不必要な検査の費用を政府に請求するためにニセの契約を結び、キックバックを受けた詐欺行為もあるとのこと。
Politicoはアメリコアについて調べるうち、バイデンファミリーとの関わりやジョー・バイデンの地位を利用した方法などが浮かび上がってきたと書いている。
それによるとアメリコアとジェームズ・バイデンの関わりは、これまで知られていた以上に深く、ジェームズの名前はこの会社の幹部として名前を連ねていたのだとか。
またアメリコアの投資家向け資料には、ジェームズ・バイデンが兄ジョーのアドバイザーだと書かれており、さらに少なくとも3人のバイデン一族がアメリコアに雇われていたという。その中にはジェームズの妻サラ・バイデン、息子ジェイミー・バイデンの名前もあるとのこと。
バイデンブランドを利用して事業拡大
アメリコアは、経営難に陥った地方の病院を買収する手段として、カナダの起業家グラント・ホワイト氏が設立していました。
地方病院の買収を進め、事業を拡大していた時にアメリコアとジェームズ・バイデンとの関わりが出来たという。
一方、兄ジョー・バイデンは2015年に長男ボーを脳腫瘍で亡くしたため、癌の対策を進める非営利団体「バイデン・キャンサー・イニシアティブ」を設立しており、そんな事も両者を結びつける材料の一つになったかもしれない。
Politicoは当時ジェームズ・バイデンは帝国を作り上げる野望を持っていたと書いている。その計画には医療関連事業が含まれていたとのこと。
ジェームズ・バイデンはアメリコアの事業拡大に「バイデン」ブランドの名前を利用しました。
アメリコアがペンシルベニア州のエルウッド・シティ病院を買収する際、州司法長官の審査が必要だったが、ジェームズ・バイデンの名前を使うことによって許可が下りたという。
つまりバイデンのブランド力が発揮されたということです。
兄ジョー・バイデンに株式を与える計画だった
ジェームズ・バイデンは、アメリコアが地方医療を活性化させる成功例を示せば、そのモデルを使って兄ジョー・バイデンが2020年に大統領選挙に出馬できる、と考えていたようです。アメリコア元幹部によると「もしアメリコアが軌道に乗れば、彼の兄が選挙に出やすくなる」と言っていたとか。
別の幹部によると、ジェームズは兄ジョー・バイデンにアメリコアの株式を与える計画を語っていたという。さらに取締役に据える計画もあったとのこと。
ただこれらは実現しなかったようです。
しかしジェームズは、投資家や買収先を口説く過程において、兄ジョー・バイデンの名前を使っていたという。
例えばジェームズは、あるマウスケア洗浄液のメーカーに対して「バイデン・キャンサー・イニシアティブがその製品を宣伝する」と申し出ています。
資金調達はうまくいかなかった
アメリコアのグラント・ホワイトCEOは、2017年10月にマンハッタンのマンダリン・オリエンタル・ホテルでジェームズ・バイデンとハンター・バイデンに会って昼食を共にし、中国のエネルギー企業CEFCチャイナ・エナジーから投資を受ける可能性について話し合ったという。
しかしこの話は、11月にCEFCのパトリック・ホー氏が逮捕されたことで狂ってしまった。
ジェームズ・バイデンは他で投資資金を探し、一方で妻や息子に手伝わせた。
親交のあったヘッジファンド・マネージャーのマイケル・ルーイット氏や、事業開発会社プラチナム・グループのアメール・ルストムCEOなどに協力を求めたという。
ルストム氏は中東の政府高官と親交があり、最終的にアメリコアは3000万ドルを調達する約束を取り付けたという。
2017年8月にジェームズは、カタール投資庁の役人カレド・スルタン・アル・ラバン氏に届ける書簡の作成を始めた。この手紙には「バイデン一族を代表して、ご関心を歓迎します」と書かれているという。
これもバイデンブランドを利用した例です。
しかしカタールからの融資は届かず、アメリコアは2018年1月までに債務超過に陥ったという。
アメリコアからの金をジョー・バイデンに
証券取引委員会(SEC)の訴状によると、同月の半ばにルーイット氏のファンドは”つなぎ融資”という形でアメリコアに200万ドルを融資したという。
この数日後、アメリコアはジェームズ・バイデンに40万ドルを送金している。名目は「ローン返済」でした。
この頃すでにジェームズは、アメリコアの社内文書や投資家向けプレゼンテーションで「パートナー」「プリンシパル」「アドバイザー」など様々な役職で書かれており、事業に深く入り込んでいたという。本社にオフィスを構え、雇用や解雇の決定に参加し始めていたとか。
3月1日、アメリコアはジェームズにさらに20万ドルを送金し、同じ日にジェームズは兄ジョー・バイデンに「ローン返済」の名目で20万ドルの小切手を発行しているとのこと。
このようなつなぎ融資でアメリコアを存続させながら、海外からの大口投資を模索していたという。
人事に介入
そんな綱渡りの中で3月9日、アメリコアの幹部達は投資家への資料を準備していた際に、財務責任者のトニー・サドゥース氏が財務諸表を作成することを拒否したため、計画が頓挫した。
このことで翌日ジェームズ・バイデンは、サドゥース氏を呼び出して解雇を通達したようだ。
その2週間後にサドゥース氏はメールで「私は十分に見てきた」「投資家パートナーはアメリコアの暴露を歓迎しないだろう」
この脅しによりアメリコアは退職合意書を作成し、約2ヶ月間しか勤務していないサドゥース氏に対して退職金10万ドルを提示したという。
CEOとジェームズ・バイデンの決裂
このころになると資金調達が上手くいかず、ジェームズ・バイデンとホワイトCEOの間に亀裂が走っていたという。
財政の逼迫はアメリコアが運営する病院にも影響し、ある病院では検査室サービスへの支払いが停止し、またある病院では従業員の健康保険料の支払いが停止されたとか。
4月に、ケンタッキー州労働局は未払い保険料について刑事調査を開始しています。
ホワイトCEOは、高利のマーチャント・キャッシングに頼ることが多くなったという。
2018年7月5日、ジェームズ・バイデンは突然ホワイトCEOとの決別を表明したという。「今後アメリコアとは関われないことがますます明白になった」
ルーイット氏のメールによると、原因はホワイトCEOが高利のキャッシングを利用したことを公表せず、会社の財務管理が全般的に悪かったため、関係が悪化したと書いているとのこと。
ホワイトCEOとの不和にもかかわらず、ジェームズ・バイデンの野望は終わることはなかった。
ジェームズとのその仲間は、アメリコアを倒産に追い込み、経営権を奪うことを画策していたという。
ついにアメリコアが破綻
ホワイトCEOとジェームズ・バイデンが決裂した後、アメリコアへの監視の目は厳しくなっていき、傘下の病院で不正請求詐欺・検査詐欺・保険詐欺などが追及されたという。
2018年のラスト数ヶ月には、従業員への給与の支払いが遅れ、医師たちは病院を見捨て、ガスと水道を止められる寸前だったとか。
そんな中で患者が死亡した事件が起こった。
数ヵ月後に市は病院を引き継ぎ、職員の多くを解雇せざるを得なくなったという。
そして2018年の大晦日にアメリコアは破産を申請しました。
ジェームズ・バイデンが約束した資金を調達できなかったことが、破綻を招いたと言われている。
詐欺で摘発も
アメリコアの清算を監督するため、司法省は管財人キャロル・フォックス氏を任命しました。
破産裁判所に提出された書類によると、アメリコアはメディケア詐欺だけで1億4,200万ドル以上を請求しているという。
2022年にフォックス氏は、ジェームズ・バイデンがアメリコアからの融資を返済していなかったとして、詐欺的譲渡で訴えています。
これに対してジェームズは、この送金は実際にはコンサルティングの報酬だったと反論しました。
けっきょくジェームズ・バイデンは、アメリコアから受け取った61万ドルのうち35万ドルを返済することに同意したことで解決したという。
また2023年9月にはSECがルーイット氏を詐欺で訴えています。アメリコア社に融資した資金がファンドの方針に違反し、またルーイット氏がファンドから470万ドルを引き出して個人的に使用していたと訴えました。
証拠はない
Just The Newsによると、下院監視・説明責任委員会は、アメリコアの管財人キャロル・フォックス氏に聞き取りを行ったという。
そにれよると、ジェームズ・バイデンがアメリコアでどのような役割を担っていたかについて、フォックス氏は「名刺はあると思いますが、彼が実際に何をしたかはわかりません」と答えたという。
またアメリコアがジェームズ・バイデンに送金した件について、コンサルティングを行った証拠は見つかっておらず、融資を証明する書類もないという。
上で書いたように、アメリコアはジェームズ・バイデンに「ローン返済」の名目で40万ドルを送金している。しかし融資を記録した書類や約束手形などはなかったというのです。
「コンサルティングやマーケティングに関する契約書も、融資に関する契約書と同じように文書化されていません」
Impeachment witness says no record of work, loan to James Biden before payment to brother https://t.co/jVboc7AvxO
— Just the News (@JustTheNews) February 7, 2024
仮面が剥がされる
つまり、アメリコアに対するジェームズ・バイデンの立ち位置がよく分からない。表向きはパートナーやらアドバイザーやら語っていたものの、その実態はなかったようです。
下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長と司法委員会のジム・ジョーダン委員長は、資金を融資したファンドのルーイット氏に証言を求める書簡を送ったという。
ルーイット氏は「全て話す」と語っているとか。
いずれにしてもPoliticoのスクープが事実なら、けっきょくジェームズ・バイデンは「バイデンブランド」を利用してアメリコアに資金調達を期待させたにもかかわらず、何も達成できなかったどころか、破綻させる要因になっただけだった。
それだけでなく、倒産させた後、自分らが経営権を奪うことまで画策していたという。
さらに金を入金させて私腹を肥やし、そこから一部を兄ジョー・バイデンに回していた。これはファミリーの汚職スキームではないのか。
バイデン大統領は、息子ハンターや弟ジェームズの仕事について「話したことはない」と主張していましたが、その仮面が剥がれていくかもしれない。
ハンター・バイデンもジェームズ・バイデンも、「バイデン」ブランドの名前を利用して有利に物事を進め、ジョー・バイデンに還元していた。ファミリーによる汚職の疑いがますます濃厚になっています。
公聴会は2月21日です。
詳しくは→こちら