社長直筆の「お願い」が話題
有名ステーキレストランチェーンの『いきなり!ステーキ』が、先ごろ店頭に社長直筆のメッセージを掲げて話題になった。
いきなり!ステーキ「お客様のご来店が減少しております」 社長直筆の「お願い」全店掲出へ#いきなりステーキ #社長 https://t.co/9cHmVupPD3
— J-CASTニュース (@jcast_news) December 10, 2019
「社長からのお願いでございます 従業員、皆元気よく笑顔でお迎えいたします」で始まるこの張り紙は、同店のコンセプトでこれまで急成長してきたことをアピールしつつ、最近は客足が遠のいていることを訴えている。
苦しい現状を吐露
「しかし、お客様のご来店が減少しております。このままではお近くの店を閉めることになります。従業員一同は明るく元気に頑張っております」
と客足が遠のいている苦境の吐露。
「お店も皆様のご希望にお答えしてほぼ全店を着席できるようにしました。メニューも定量化150g、200gからでも注文できオーダーカットも選べます」とし、
「創業者一瀬邦夫からのお願いです。ぜひ皆様のご来店を心よりお待ちしております」
この社長直筆のメッセージは、12月3日から全国のいきなり!ステーキ店舗に順次貼られていったらしい。それを12月8日、あるツイッターユーザーが投稿するとたちまち拡散、さまざまなリプライが飛び交ったという流れ。
店舗数拡大で急成長
このように社長が顧客に対してダイレクトなメッセージを伝えざるを得なかったのは、近年の同店における「客離れ」が深刻になっている背景があるもよう。
『いきなり!ステーキ』を運営するのはペッパーフードサービスという東証1部上場会社で、これまで「ステーキくに」「ペッパーランチ」などの飲食店チェーンを展開してきた。
2013年12月に新ジャンル店舗『いきなり!ステーキ』第1号店を開店、2015年10月までに64店舗というハイペースな出店をし、2016年6月に100店舗目、そして2017年末~2018年末の1年間には直営・フランチャイズ合わせて計211店舗を出店、これまで489店舗をオープンしたという。
勢いストップ
一方で2018年4月より既存店の売上が減少、以後右肩下がりとなり、2019年10月には前年同月比41.4%マイナスが報じられた。
そして今年11月に発表された2019年12月期の業績予想で下方修正し、15億2900万円の純利益予想から、25億300万円の赤字見通しに変更している。
これ、既存店の売上減少を新規出店で補うという、よくあるマイナススパイラルに嵌っているパターンかと。まあ山羊座冥王星っぽい現象だといえばそれまでだけど。
いずれにせよ、こうなってしまうとじわじわ傷が広がり、なかなか打開策が見いだせなくなる典型かな。本来はそうなる前にチェック機能を強化する必要があるが、創業型経営者だとそれが難しい場合がある。
社長「あえてやった」
そのため、社長からのダイレクトメッセージというトリッキーな奇策が浮上したのか。フジTVがペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長に直撃している。
そうした危機感から社長が発信したのが、あの切実なメッセージだった。
ペッパーフードサービス 一瀬邦夫社長:
そんなに困ってるのかと、例えば思われたくないですよね。でも、それをあえてやったんですよね。ここが正念場だと思っていますので、大勢の方にあと1回来ていただけたら。最高のステーキをね、お肉を用意してますので、来てくれたらうれしいなと思います。
怪文書も
この張り紙騒動の後にも、社内文書と思われるスタッフ向けの社長メッセージがツイッターで拡散され、物議を呼んでいる。
潰れるのでは?と話題のいきなりステーキが今度は全従業員に怪文書を配りだしたんだが… pic.twitter.com/XKRDV5AoaZ
— える (@lTfC8qI4PATLiaC) December 11, 2019
この文書は実際の社内文書なのか、捏造されたものかは今のところ判断し難い。
内容を見ると、確かに一瀬社長名義で書かれており、まず働くことの喜びを伝える文言から始まるが、最後には「ご両親、兄弟、友人にもお店に来られるように進めてください」「実家が地方の方にも、同居されていない方にも、ぜひ美味しいステーキを食べに来ていただきたいと連絡してみてください。社長からのお願いです。」(原文ママ)と身内への営業を促しているように読める。
これが本物なら「いきなり!ステーキ」の切羽詰まった状況を感じさせる。この投稿は12月14日時点でリツイート2万件に達しているが、好意的な反応はあまり見られないようだ。
それにしても身内に営業って、どこかの元国営企業のような・・・時代はどこも同じような事象を生み出すものだなあと。
ペッパーフードサービスのホロスコープ
1995年設立なので、前からこのあたりの世代についてここで触れてきたのだけど、それは個人でなく会社だとしても同じ傾向は出るかと。
なので上で書いたように、2013年から「いきなり!ステーキ」で急成長をしたのは理解できるが、いかんせんホロスコープからはやりすぎ感は否めなかった。
飲食店運営会社として、出来ればこういうポイントが欲しいという典型的なものがこの図には見られなくて、その分どうしても店舗数拡充とかそういう方向になってしまうのかなと。それと今回、ペッパーフードサービスは資産計260億円に対し、負債246億円という債務超過寸前が報じられているが、そうなったのもこの図っぽいので。
で今は、残念ながら何をやっても信頼感を失うというホロスコープ状況になってしまうので、打つ手打つ手は逆効果になりやすいかなと。
まあ飲食店なんて、ある鉄則を守ればそこそこ繁盛するのではないかという気がするが。
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