『急展開』アンドルー王子が性的暴行で訴えられているジュフレ氏と法廷外で和解――何があったのか?

アンドルー王子とジュフレ氏が法廷外で和解

急転直下、イギリスのアンドルー王子がバージニア・ロバーツ・ジュフレ氏との和解に達しました。

ジュフレ氏は17才の時にアンドルー王子から性的暴行を受けたとニューヨークの裁判所に訴えていました。ニューヨーク州では17才は合意年齢に達していません。したがって未成年ということになります。

主張によるとジュフレ氏は、性犯罪者で刑務所内で自殺したとされるジェフリー・エプスタインのニューヨーク州マンハッタンの邸宅、エプスタインの所有するカリブ海米バージン諸島にあるリトル・セント・ジェームズ島、ロンドンのギレーヌ・マックスウェル氏のアパートの3ヶ所で、アンドルー王子から性的暴行を受けたとしていました。

アンドルー王子は、ジュフレ氏の主張を11ページにわたる書面で全面否定し、裁判の棄却を求めました。それができないなら陪審員裁判を要求する!と息巻いていた矢先でした。

気が変わったのはどうしようもない状況からだと思われます。

裁判所に和解を申立て

この和解文書は2022年2月15日にニューヨーク連邦裁判所のルイス・カプラン判事宛に提出されました。

バージニア・ジュフレとアンドルー王子は、法廷外での和解に達しました。当事者はジュフレ氏が和解金(金額非公開)を受領した時点で、規定された棄却を申請する予定です。

アンドルー王子は被害者の権利をサポートするために、ジュフレ氏の慈善団体に多額の寄付をする予定です。

アンドルー王子はジュフレ氏の人格を中傷するつもりではなく、彼女が虐待を認められた被害者として、また不当な社会からの攻撃に苦しんでいたことを受け入れています。

ジェフリー・エプスタインは長年にわたって、数え切れないほどの若い女性を人身売買していたことで知られています。アンドルー王子はエプスタインとの関係を後悔しており、自分自身や他の人のために立ち上がったジュフレ氏の勇気を称賛しています。彼は性的人身売買の悪との戦いを支援し、その犠牲者を支援することにより、エプスタインとの関係に対する後悔を示すことを誓います。

アンドルー王子はあの忌まわしき2019年のBBCでの釈明インタビューでMCのエミリー・メイトリス氏から、エプスタインとの友情を後悔しているかどうか尋ねられました。

王子はそのとき「してない」と答え、その理由を「今まで出会った人や、彼(エプスタイン)によって、あるいは彼のおかげで学ぶ機会を与えられたことが、実はとても役に立ったからです」と述べています。

・・・それがウソだったのか、あるいは気が変わったのか。

なぜ和解に持ち込んだのか

アンドルー王子側が急遽和解に持ち込んだのはなぜだったのでしょう。

この申立書は、アンドルー王子がジュフレ氏の弁護士に宣誓供述をして証拠開示をする数週間前のタイミングで提出されました。それは3月10日に行われる予定でした。その後4月にジュフレ氏が宣誓証言し、実際の裁判は9月から行われる予定でした。

もしアンドルー王子の宣誓供述が行われたとしたら、私生活や性生活のことなどを嘘偽りなく供述しなければなりません。これは王族の一員として屈辱的に恥をさらすことになり、裁判資料として使用されることを意味します。それは絶対に避けたかったはずです。

またジュフレ氏が被害に遭ったとされる当時、ロンドンのナイトクラブ「Tramp」で、アンドルー王子とジュフレ氏が一緒にいるのを見たと主張しているシュクリ・ウォーカー氏は、この目撃談を宣誓証言する予定になっていました。

アンドルー王子は「ジュフレ氏に会ったこともない」と主張しており、また「(ジュフレ氏が)誤った記憶に苦しんでいる可能性がある」と述べていたため、ウォーカー氏の目撃証言により立場が不利になる可能性がありました。

また以前ここで取り上げましたが、以前からジュフレ氏を知るキャロリン・アンドリアーノ氏が最近になって、当時ジュフレ氏から「アンドルー王子と寝た」と告白されたことを暴露しています。キャロリン氏はギレーヌ・マックスウェル氏の裁判で証人として証言していました。もし今回も証人として呼ばれたら、同じように証言した可能性があります。

さらにエリザベス女王が今年、在位70周年を記念するプラチナ・ジュビリーの祝賀記念式典を控えていることも重要な要素になったと思います。

これを達成した君主は、エリザベス女王で歴史上4人目になります。その記念すべき式典に、次男が水をぶっかけるわけにはいかなかったでしょう。ちなみに記念式典にアンドルー王子は出席できないだろうと言われています。

自分の罪は認めていない

裁判所に提出された文書では、ジュフレ氏が性的虐待の被害者として「受けて入れている」としています。

ただ和解したと言うことは、おそらくですがアンドルー王子は自分の未成年性的暴行の罪に対しては認めていないのではないかと思います。裁判が行われなくなったので、証言や証拠を提出をする必要はなくなりました。

また和解の場合は、罪を認めないという条項が含まれる場合がほとんどだと言われています。たしかに上の文書では、アンドルー王子は性的暴行を認めているとは書かれていないし、謝罪の言葉も述べていません。エプスタインの人身売買のことは書いているにもかかわらず。

ただ世間はそのように受け取らないでしょう。この和解はアンドルー王子の敗北とみられるのが普通だと思います。

ジュフレ氏の弁護団の一人デヴィッド・ボイス弁護士は「この出来事が物語っていると信じている」とコメントしました。

また同じくシグリッド・マッコーリー弁護士は「最も弱い立場の人たちに正義をもたらすために法律を駆使すべきだという信念に基づいて行動してきた事務所の代表パートナーとして、私たち生存者の代表がその伝統を守っていると、躊躇することなく言うことができます。」「バージニア・ジュフレ氏のアンドルー王子に対する訴訟が解決したことに非常に満足しています。」

エプスタインの被害者8名の代理人を務めるリサ・ブルーム氏は「我々はこの日のバージニアの勝利を歓迎します。彼女はアンドルー王子に無意味なことをストップさせ、性的虐待被害者の側に立つという、他の誰にもできないことを成し遂げたのです。私たちはバージニアの素晴らしい勇気に敬意を表します。」

一方バッキンガム宮殿は、この件に関してコメントをしていません。

和解金は1,000万ポンド以上か

イギリスの辛辣なゴシップメディアはここぞとばかりに書き立てています。またツイッターにはアンドルー王子を揶揄するミームが続々と投稿されました。

気になる和解金は非公開ですが、各メディアの予想によると1,000万ポンド(約15億円)以上と言われています。それとは別に、これまでかかった高額な弁護士費用もあります。

アンドルー王子には収入がないと言われているため、売りに出しているというスイスの別荘の売却金をあてがうか、もしくはエリザベス女王が負担しなければならないだろうと予想されています。

いずれにしても、どのように支払われるのか納税者は知る権利があると言われています。

しかしアンドルー王子が被った損害はお金だけで済まないのは明白です。王室の権威を貶め、母であるエリザベス女王の顔に泥を塗りました。兄のチャールズ皇太子や甥のウィリアム王子らが、アンドルー王子の王室の称号を剥奪するのを提案したとも言われています。

権力者が支配してきた山羊座時代は終わりを迎えつつある

権力主義の人たちは、ジュフレ氏の提訴に対して「売名」「お金目当て」と批判したでしょう。それはその手の人たちの常套手段です。

しかし今が山羊座時代だという事を知れば、これは時代が問題提起した事だと初めから分かります。なので私はエプスタイン事件の当初からずっと書き続けてきました。伊藤詩織氏の件なども同じでしょう。

#MeTooはその先駆けになりました。すべては時代の流れです。

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