富裕層の所得税支払いが物議
さて米国の億万長者たちが支払った所得税が、想像以上に少なかったというリーク記事が物議になっています。
これはProPublicaというニュースメディアが報じたもので、他のメディアも驚きをもって報じています。
World's wealthiest person Jeff Bezos has twice avoided paying a penny in federal income tax in a year. Second-wealthiest man Elon Musk has also avoided federal income tax at least once.
How do we know?
We have their tax records.https://t.co/2JZJNKNfVJ— ProPublica (@propublica) June 8, 2021
ProPublicaは、IRS(米内国歳入庁=日本でいう国税庁)から15年にわたる富裕層の税務に関する資料を入手し、収入や税金だけでなく、投資や株の取引、ギャンブルなどの詳細を調べたとのことです。
所得税率わずか3.4%だった
中でもジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、ウォーレン・バフェット、ビル・ゲイツ、ルパート・マードック、マーク・ザッカーバーグ、マイケル・ブルームバーグ、ジョージ・ソロスなど最も裕福な25名に関して分析を行っています。
その結果、この25名の資産は2014~2018年の間に4,010億ドル(約43兆9,300億円)増えているものの、支払われた連邦所得税は136億ドル(約1兆4,900億円)しかなく、税率にしてわずか3.4%だったと伝えています。
【2014-2018年の所得および納税額】
資産増加 | 所得 | 納税額 | 税率 | |
ウォーレン・バフェット | 243億ドル | 1億2,500万ドル | 2,370万ドル | 0.10% |
ジェフ・ベゾス | 990億ドル | 42億2,000万ドル | 9億7,300万ドル | 0.98% |
マイケル・ブルームバーグ | 225億ドル | 100億ドル | 2億9,200万ドル | 1.30% |
イーロン・マスク | 139億ドル | 15億2,000万ドル | 4億5,500万ドル | 3.27% |
1920年の最高裁判決が引き金
こうした富裕層らは、税制システムの抜け穴やさまざまなテクニックを利用して税金を回避し、税務調査を逃れているといいます。
これには1920年の連邦最高裁の判決が影響しているようです。1916年にマートル・マコンバーという女性がスタンダードオイル社の株の配当を受けましたが、彼女は現金をもらったわけではないので所得には当たらない、として裁判所に異議を申し立てたのです。
4年後に最高裁がこれを認め、現金収入にのみ課税されるとしました。株の場合なら、利確した売却益に対して課税されるということです。この判決は物議を呼び、当時コーデル・ハル下院議員などは抜け道だと批判していました。
しかしこの判決によって、その後巨万の富を築く超富裕層が続々と生まれたというわけです。
ウォーレン・バフェット氏の戦略
ウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハサウェイ社は、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ、Apple、バンク・オブ・アメリカなどの株を保有し続け、現金化する事を避けてきたといいます。
また同社は配当金を支払わず、その資金を投資に回すことで自社株の価値を高めているとのことです。
こうした戦略をシリコンバレーのビッグテック企業らが見習い、配当を行っていないようです。マイクロソフト、オラクル、Google、Facebook、Amazon、Teslaなども配当をしていないといいます。
さまざまな租税回避テクニック
他にも巨額のローンを組んだり、慈善団体への寄付などの控除や、損失を使って利益を相殺するなど、さまざまな租税回避のオプションを利用していると報じています。
相続税についても、信託化することによって多額の相続税を支払うことなく、遺族に多くの財産を提供できるようにしているようです。
またGoogle、Facebook、マイクロソフト、アップルなどの企業は、海外に資金を移すことで、米国の法人税をほとんどか、あるいはまったく払っていないそうです。
司法長官「なぜ漏れた?」
にしても、またしても大きなリークが出ましたね。
メリック・ガーランド司法長官は、この納税者情報が大量に漏れた原因を調査することが最優先事項の一つになると述べています。
Attorney General Garland vows billionaire tax leak will be ‘top of my list’ to investigate https://t.co/nliIN6GCvF
— CNBC (@CNBC) June 9, 2021
「これは非常に深刻な問題です。もちろん国民は納税申告書についてプライバシーを持つ権利があります。」
ProPublicaが、今回どのようにして納税記録を入手したかについて記事では明らかにされておらず、コメントにも応じていないようです。
山羊座時代の弊害
リークはさておき、山羊座時代が長く続いたため、こうした富の不均衡をエスカレートさせました。
このような格差はアメリカに限らず、どこの国でも同じようなことが起こっていると思います。一部の上級国民が富を独占し、一般国民は苦しい思いを強いられています。
日本でも某人材派遣会社の大幅中抜きが物議になりました。
山羊座に限らず、どのサインも行きすぎるとそのサインなりの弊害が出ます。しかしそれは次の時代へのステップです。
そのようにして、少しずつ前進していくのです。
対策の現れ
6月初めに英国で開かれていたG7で、法人税の最低税率15%以上を目指すことで各国首脳が一致しました。
BBCニュース – G7、各国共通の法人税は最低税率「15%以上」合意 グローバル企業を視野にhttps://t.co/7scyWnmYtp
— BBC News Japan (@bbcnewsjapan) June 6, 2021
また現在エリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員らは、富裕層に対する課税を提案しているようです。
It’s one thing to know in the abstract that the ultra-rich play by a different set of rules.
It’s another thing to have the facts shoved in your face.
Let’s start to level the playing field here with a #WealthTax. https://t.co/oDu7PbRW27
— Elizabeth Warren (@ewarren) June 9, 2021
※そら笑いも出るでしょう。
超富裕層が別のルールで動いているのは、理論として知っておくべきことです。それと事実を目の前に突きつけられる事とは別物です。
#WealthTaxでフィールドを公平にすることから始めましょう。
ではこの辺で失礼します。
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