1ヶ月わたる裁判が終結
米現地2021年12月29日、60才のギレーヌ・マックスウェル氏の裁判はついに評決を迎えました。
前日に裁判長のアリソン・ネイサン判事が、いま米国で起こっているオミクロン株の感染拡大で、評決が長引いて裁判が頓挫することに懸念を示していた矢先でした。
この裁判は11月29日にスタートして12月20日に最終弁論が終わり、陪審員はクリスマス休暇を挟んで6日間にわたり40時間の審議を重ねました。
マックスウェル氏は1994年~2004年の間、大富豪ジェフリー・エプスタインの片腕として未成年の性的人身売買に共謀したとして、2020年7月2日に潜伏中のニューハンプシャー州の隠れ家のような家にいたところをFBIに逮捕されました。
ジェフリー・エプスタインは未成年の性的虐待・人身売買をした罪で2019年7月6日に逮捕されましたが、8月10日に拘留されていたメトロポリタン矯正センターの監房内で死亡した姿で発見されました。自殺と判断されましたが、エプスタインは生前「自殺などしない」と繰り返しいっていたことから、今も疑問の声は止みません。
全員一致で有罪
この日マンハッタン連邦裁判所で開かれた法廷で、20代~70代からなる男女12名の陪審員は、マックスウェル氏にかけられていた6つのうち5つの罪で有罪の評決を下しました。
12名の陪審員の判断は全員一致でした。
判決日はまだ決まっていませんが、マックスウェル氏は最長65年の禁固刑=つまり終身刑に直面しています。
JUST IN: A jury has found Ghislaine Maxwell guilty on five of six counts related to her role in Jeffrey Epstein's sexual abuse of minor girls https://t.co/zKa5clSiFQ
— CNN (@CNN) December 29, 2021
マックスウェルが問われていた罪とその評決
- カウント1【有罪】
違法性行為を行うために未成年者を旅行に誘うことに共謀した罪(最高刑5年)
原告:ジェーン氏、キャロリン氏、アニー・ファーマー氏 - カウント2【無罪】
違法な性行為を行うために未成年者を旅行に誘惑した罪(最高刑5年)
原告:ジェーン氏 - カウント3【有罪】
犯罪的な性行為を行うために未成年者の移送に共謀した罪(最高刑5年)
原告:ジェーン氏、キャロリン氏、アニー・ファーマー氏 - カウント4【有罪】
犯罪的な性行為を行うために未成年を移送した罪(最高刑10年)
原告:ジェーン氏 - カウント5【有罪】
未成年者の性的人身売買を行うことに共謀した罪(最高刑5年)
原告:キャロリン氏、(バージニア氏?) - カウント6【有罪】
未成年の性的人身売買(最高刑40年)
原告:キャロリン氏
米司法省は、ギレーヌ・マックスウェルは想像しうる最悪の犯罪の一つ、児童への性的虐待へ加担し手助けした罪で有罪になった、と声明を発表し
正義へはあまりに長い道のりだった。しかしこの日、正義は下された。
影の存在から、法廷へと一歩踏み出した少女たち=いまは成長して大人になった=の勇気を称えたい。
この組織は常に被害者の側に立って、どこまでも事実を追求し、どんなに権力やコネがあっても、法の上に立つ者はいないということを保証するために常に戦います。
弁護団が主張していたこと
マックスウェル氏は7億円ともいわれる金額をスーパー弁護団の弁護費用に用意したと言われています。
裁判を通じてマックスウェル氏の弁護団が主張していたのは
・マックスウェルはエプスタインではない
・彼女はスケープゴートにされた
・告発した女性たちは金目当てである
・記憶が曖昧だ
・検察は犯罪を合理的に証明できていない
などの点をツッコみ、無罪を主張していました。
「マックスウェルはエプスタインと一緒にいたために、ここで裁かれているのです。それは彼女の人生で最大の過ちだったかもしれないが、犯罪ではありません。」とローラ・メニンガー弁護士は主張しました。
評決を審議している際に陪審員が判事に証言記録を求めたときは、それが弁護側に有利に働くと思われ、彼らの表情が明るくなったといわれていました。
しかし最終的にこれらの主張は陪審員には届かず、5つの罪で有罪となりました。
ギレーヌ・マックスウェルの反応
この日黒いマスクをして法廷に出廷していたマックスウェル氏は、評決が読み上げられた後、ほとんど反応を示していないようだったと伝えられています。
陪審員が退場した後、自分が退場するときに傍聴席の兄弟にちらっと目線を送っただけで、それ以外はクールな反応だったとのこと。
これまでにやっていたように弁護団とハグすることもなく、この日の態度は明らかに違っていた、とレポートされています。
関係者の反応
告発者の一人ジェーン氏の代理人ロバート・グラスマン弁護士は「この評決は、明らかな叫びです。もしあなたが、他人に子供に性的虐待を簡単にするようにしたら、あなたの役割の責任も問われるでしょう。」
「ギレーヌ・マックスウェルとジェフリー・エプスタインの虐待から生還した強い女性達は、司法制度が正しかったことを知り、今夜はぐっすりと眠ることが出来ます」
17才の時にマックスウェル氏から強制され、アンドルー王子と性行為を強要されたとして民事で訴えているバージニア・ロバーツ・ジュフレ氏は
I hope that today is not the end but rather another step in justice being served. Maxwell did not act alone. Others must be held accountable. I have faith that they will be.
2/2— Virginia Giuffre (@VRSVirginia) December 29, 2021
何年も、私の魂は正義を求めていましたが、この日、まさに陪審員がそれを叶えてくれました。私はこの日をずっと忘れません。
マックスウェルの虐待の恐怖と共に生きてきた日々で、私の心はこの女のために苦しみ、人生を破壊された他の多くの少女や若い女性達に向かいます。私はこの日で終わりではなく、正義が果たされるための新たな一歩となることを願っています。マックスウェルは単独でやったのではないのです。他の誰かも責任を負わなければならない。
私は彼らがそうなることを信じています。
他の誰かも責任を負わなければならない――これがアンドルー王子のことを指しているのは明白でしょう。
ジュフレ氏から訴えられているアンドルー王子は、まず間違いなくこの裁判に注目していたでしょうし、有罪評決となった今、自分の置かれた立場に戦々恐々としているかもしれません。
そして、エプスタインと関わったVIP、金融関係者、政治家、セレブ達も同じ心境かもしれないのです。
弁護団はすでに控訴の手続き
当初この裁判は長引くことが予想され、年明けまで続くといわれていましたが、年内に評決が出ました。
弁護団は35人もの証人リストを裁判所に提出していましたが、けっきょく出廷して証言台に立ったのは10人もいませんでした。ネズミは沈みかけの船から逃げ出すとはよく言います。
マックスウェル氏の家族は、評決を不服として控訴する意向を示しています。
「私たちの妹の無罪を固く信じており、評決には大変失望しています。私たちはすでにこの夜から控訴を開始しており、最終的に彼女の無実を証明できると信じています。」
また弁護団の一人、ボビー・スターンハイム弁護士は「我々は明らかにギレーヌの無実を固く信じている。我々はこの評決にとても失望している。すでに控訴に着手しており、彼女の正当性が証明されると確信している。」と声明を出しました。
ただこの裁判で、ネイサン判事は弁護側に釘を刺しています。それはマックスウェル氏側の証人は、匿名で証言することは出来ないと禁止したことです。これによって実名で証言台に立つことを躊躇する人は少なからずいるでしょう。
マックスウェル氏の今後はどうなる?
マックスウェル氏の裁判はあと2つの偽証罪が残っており、後日審理される予定です。これは2016年にバージニア・ロバーツ・ジュフレ氏が提訴した民事訴訟の宣誓証言で、マックスウェル氏がエプスタインの性的虐待における自分の役割について虚偽の証言を行ったとして、偽証罪に問われているものです。
これらの2つの偽証罪が有罪になった場合、それぞれ最高5年の刑が科せられます。
一方このまま有罪が確定したとしても、マックスウェル氏には減刑の道が残されています。それは司法取引です。
マックスウェル氏が、エプスタインの犯罪に加担した他の関係者やVIPらの名前を当局に提供することにより、自らの刑を軽減するという方法があるのです。
裁判前から、一部でなぜこの方法を使わないのか?という声は上がっていました。ただ弁護側は、あくまで裁判で「無罪を勝ち取れる」という目算だったと思われます。
偶然のタイミング?
奇しくも水星・金星・冥王星がコンジャンクションのタイミングで、この評決が出たことに偶然とは思えない何かを感じます。
マックスウェル氏のホロスコープからすると、有罪になってもなんらおかしくないものでした。またこの件がニューヨークで裁かれたことも、それを暗示していたと思っています。マックスウェル氏はイギリス出身です。
この裁判は、当初7月に開廷される予定だったのです。それが諸事情によって年末のこの時期に延期されました。私は以前このブログで、このタイミングで裁判が設定されたことは「偶然だとしてもその巡り合わせに感心した」と書きました。まるで有罪に導かれるかのようだったからです。
しかし裁判中の報道ではたびたび検察側の能力不足が指摘され、それに対してスーパー弁護団の主張の力強さもあって、マックスウェル氏が有利に思えることもありました。
結局は有罪評決になりましたが、まだ控訴がどうなるかわかりません。
このまま見守っていきたいと思います。
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