ファウチ博士が研究所漏洩説を封じた
巷ではコロナの第7波が言われはじめています。
それに関して、ヴァニティ・フェアが報じたコロナウィルス起源に関する記事が波紋を呼んでいます。
記事によるとコロナウィルスが武漢研究所から漏洩したとされる説を”アンソニー・ファウチ博士が封じた”と調査団の報告書が示しているといいます。
ただ、もしかするとファウチ博士やコリンズNIH元所長は、巻き込まれた側かもしれないと思えるフシもありました。
このたびヴァニティ・フェアは10万件以上の内部文書を分析した結果、ファウチ博士が研究所漏洩説を「陰謀論」として非難するキャンペーンを主導した可能性について論じています。
New: Drawing on more than 100,000 leaked documents, an investigation by @KatherineEban shows how an organization dedicated to preventing the next pandemic found itself at the center of the lab-leak controversy. https://t.co/AIXFRlaBoI
— VANITY FAIR (@VanityFair) March 31, 2022
証拠を隠滅しようとした
ヴァニティ・フェアのキャサリン・エバン氏は、エコヘルス・アライアンスの10万以上の内部文書を分析し、5人の元スタッフに聞き取りを行い、30名以上の関係者と話したという。
それによるとエコヘルス・アライアンスの代表ピーター・ダザック氏は、武漢研究所でのウィルスの機能獲得研究に助成金を得るため、何年もかけてファウチ博士を口説いていたといいます。
そしてコロナウィルスが研究所から漏れ出したという説が出始めると、初期の頃からの証拠を隠滅しようとしました。
またファウチ博士とNIH元所長のフランシス・コリンズ氏が、ウィルスの起源について疑問を示す科学者達に反発していたことを明らかにしています。
この報告はウィルスが武漢研究所から漏洩したとされる決定的な証拠は示していませんが、漏洩説が否定されていく流れを説明しています。
ゲノム配列がデータベースから削除された
2021年6月に、生物学者のジェシー・D・ブルーム博士を中心とする科学者達のグループが、コロナウィルスの元となるSARS-CoV-2の初期のゲノム配列が、なぜか跡形もなく消えた経緯について、当初は中国の論文に掲載されていたが、その後武漢研究所の研究者の要請によってNIHのデータベースから削除された、と主張しました。
ブルーム博士によると初期のゲノム配列は、ウィルスが「どのように出現し、進化したかを追跡するための鍵」になると主張し、これが削除されたのはウィルスがどのように広がったのかを隠蔽しようとしている可能性を高めている、と考えています。
この論文の草案を受け取ったファウチ博士とコリンズ元所長は、科学者達と電話秘密会議を開いたという。
結果的にファウチ博士らは、ウィルスが自然発生した説を押し進めました。
CDC(疾病管理予防センター)のロバート・レッドフィールド博士は、この議論から排除されたと述べており、「彼らの目的は一つのストーリーを作ることだった」と述べました。
ファウチ博士を追いかけ、資金援助を求めた
エコヘルス・アライアンスのダザック代表は、以前からファウチ博士を執拗に追いかけ、資金援助を求め続けたとのこと。
2014年になってエコヘルス・アライアンスは370万ドルの助成金を受け、中国の野生コウモリから新型コロナウィルスが発生する可能性を研究したといいます。エコヘルス・アライアンスは武漢ウィルス研究所と提携し、60万ドルの資金を提供しました。
武漢の海鮮市場を起源にCOVID-19のパンデミックが起こった当初、コウモリのコロナウイルスと96.2%の類似性があることが示され、そのため多くの科学者達は『コウモリ→仲介生物→人間』へと伝わった可能性が高いと考えました。
しかし、現在まで仲介生物となるものは発見されていません。
機能獲得研究
レッドフィールド博士は、「コウモリから仲介生物を介して人間に伝わったという説は、もっともらしくないと感じていた」と述べています。
レッドフィールド博士は、武漢研究所の石正麗博士とノースカロライナ大学のラルフ・バリック博士が研究した2015年の機能獲得研究を知っていました。
この研究はノースカロライナ大学の研究室で行われていたといい、中国の研究者達がその技術を学んで、自国の研究所で独自に研究を行っていたのではないか、と仮説を立てています。
レッドフィールド博士は2020年1月に、ファウチ博士やWHOのテドロス事務局長に、研究所からの漏洩説を真剣に受け止めなければならない、と懸念を伝えていたといいます。
ファウチメールにより発覚
その後BuzzFeed Newsの情報公開請求によってファウチ博士のメールが公開され、2020年2月1日午前12時半にファウチ博士がNIAIDのヒュー・オーキンクロス主席副所長に、機能獲得研究について「午前中に話すことが肝心だ」とメールしていたことが発覚しました。
その日のうちにファウチ博士・コリンズ所長らを含む複数の科学者達による電話会議が行われました。この電話会議は極秘で行われたといい、何が議論されたかはわかっていません。
この会議に参加したクリスティアン・アンダーセン博士は、1月の時点で「ウィルスのいくつかの特徴が、人工的に作られたように見える」と指摘していました。
しかしその後、アンダーセン博士はなぜか188万ドルの資金援助を受けており、自身のツイッターアカウントを削除し、研究所漏洩説を否定するようになります。
怒鳴り合いのZoom会議
すでに書いたように2021年6月にブルーム博士が「ゲノム配列が跡形もなく消えた」とする論文の草案を書きました。これに対してコリンズ所長は6月20日に、この論文について話し合うZoom会議を開いたという。当然ブルーム博士も参加しました。
このZoom会議は論争的だったといわれています。
アンダーセン博士は以前「人工的に作られたように見える」といっていたにもかかわらず、Zoom会議では「何も異常は無い」と、手のひらを返したといいます。
アンダーセン博士はブルーム博士が連れてきた遺伝生物学者ラスマス・ニールセン博士と怒鳴り合いになったといい、その雰囲気は「科学的なミーティングにふさわしくなかった」とのこと。
アンダーセン博士は、ブルーム博士の論文の草案を「削除する」か、「記録が残らないよう修正しろ」と、驚きの提案をしたという。しかしブルーム博士は断っています。
ファウチ博士とコリンズ所長は、さすがにアンダーセンはやり過ぎだ、と距離を置いたという。
エコヘルス・アライアンスのダザック氏
これがもし事実なら、やはりキーマンはエコヘルス・アライアンスのダザック代表ですね。彼は執拗にファウチ博士に助成金を迫り、ウィルスの機能獲得研究につぎ込みましたが、その目的はよくわかりません。
ダザック氏は過去に、絶滅危惧種の保護活動、ペットの責任ある飼育などを目的とする非営利団体「ワイルドライフ・トラスト」の代表を務めていたといわれていますが、常に予算不足だったといいます。しかし2001年のバイオテロ事件、その翌年に起こったSARSが、病原菌の研究に多額の公的資金が投入されることになり、状況が一変します。
そして団体は「エコヘルス・アライアンス」という名に変わります。
ダザック氏はコウモリに注目し、ワイル・コーネル・メディカル・センターのマシュー・マッカーシー医学部助教授によれば、「コウモリが致命的なウィルスを保有していることに賭けていた」と述べています。
ダザック氏はバット・ウーマンこと石正麗博士を尊敬していたようですが、しかしそれほど武漢研究所をよく見ているわけではなかったという。エコヘルス・アライアンスの元スタッフによると、そこで行われている研究は常に謎だったとのこと。そしてダザック氏もそれを知ることが出来なかったといいます。
中国の武漢でコロナウィルスが発生した当初、ダザック氏は楽観視していたといいます。「このウィルスが拡散する能力を、積極的に阻止し、波及しても迅速に検出できる」と投稿しましたが、残念ながら阻止できるどころか、世界中に広がってしまいます。
ダザック氏はその後、研究所漏洩説を否定しました。ファウチ博士が自然発生説を唱えた時、ダザック氏は感謝のメールを送っています。
科学がねじ曲げられた
これらが事実だとすれば、流れを読んでて感じたのは、ファウチ博士やコリンズ所長はむしろ巻き込まれた側かもしれない、と思えなくもないことです。
ただ巻き込まれたにせよ、エコヘルス・アライアンスに助成金を提供したことは間違いないわけで、ゆえに協力して研究所漏洩説を否定しようとしたのは当然でしょう。
いずれにせよ、ファウチ博士を含む一部の科学者達が、何らかの思惑によって真実を明らかにしなかったとすれば、科学がねじ曲げられたと言わざるを得ません。助成金は税金から出ているわけですし。
現在NIHはエコヘルス・アライアンスへの助成金を停止しています。
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